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GOMA28

Author:GOMA28
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蘇る金狼

Resurrection of Golden Wolf
Resurrection of Golden Wolf

1979年
村川透 監督
永原秀一 脚本
大藪春彦 原作


松田優作、、、朝倉哲也(東和油脂 経理部 社員)
風吹ジュン、、、永井京子(小泉の愛人)
成田三樹夫、、、小泉(東和油脂 経理部長)
小池朝雄、、、金子(同社 経理次長)
草薙幸二郎、、、竹島(同社 専務)
岸田森、、、石井(興信所 所長)
佐藤慶、、、清水(東和油脂 社長)
千葉真一、、、桜井光彦(鈴本の甥)
真行寺君枝、、、清水絵里子(清水社長の末娘)
結城しのぶ、、、牧雪子(バー・ルナのマダムで桜井の愛人)
南原宏治、、、磯川(市会議員で県の公安委員)


BSで入っていた。これは松田優作の代表作のひとつではないか、、、。
観ておいて損はないと思い、観てみた。
若い。
皆、若い。

何と謂うか、「松田優作」という感じの映画であった。時代感も色濃くしっかりあった。
だが、松田優作だけみれば「ブラックレイン」の佐藤浩史の方が遥かに強度は高い。


松田優作が、マセラティ・メラク、BMW520、ランボルギーニ・カウンタックに乗っていた。
ホントに贅沢な役柄だ。
特に、最後にカウンタックに乗りながら勝利に酔ってニヒルな高笑い?をしていた。
交通法規完全無視で。ここまで命知らずの無法なやり方で勝ち取ってきた。
全てが上手くいき、いまや悪徳企業の重役にまで上り詰めたのだ。
そりゃ、高笑いもでるわな。わたしもカウンタック乗りたい!(爆。

どこを切ってもギャグであっても虚無的に淡々と進む。
彼は普段はコテコテの黒縁眼鏡のサラリーマンであるが、夜毎ボクシングジムでパンチを鍛える男。
かつらと眼鏡を取ればワイルドな孤高の、、、野心家であろうか、、、外道な事をやって野望を遂げる男である。
彼特有の美学が感じられるが、意味不明な部分も美学なのかどうかが分からなかったりする。
(子分を皆殺しにしておいて、親分とのヘロインの取引にご丁寧に代金を支払っている。そのまま薬だけ軽く強奪できる状況ではないか、何でだ、、、というような)。

適度なカースタントもあり、ちょっとコミカルな千葉真一がいて暗躍するが、割とあっけなく殺されたり、、、。
岸田森が訳の分からぬ壊れた興信所 所長なのだが、やってることは、ほとんど殺し屋である。
彼も派手に自意識過剰に殺される(幅広くいろんな役をやる人だ)。
色々出てくるが、次々に殺される。松田優作はかなり近距離を走って抜けるが被弾しないし掠りもしない。
風吹ジュンとの関係は、確かにありそうなリアリティを醸しているが、意外性とか新鮮味はこれと謂って、ない。
(松田優作に対して風吹ジュンが何というか平凡な感じで物足りない気がしたのも影響するか)。

物語自体は、ハードボイルドの定番路線で、基本フォーマットに沿ったかたちであろう。
特に目新しさや逸脱感や驚きを得たというものでもない。
所謂企業ヤクザ映画か。


だがひとつ、些細な部分であるが、松田優作が麻薬元締めの市会議員磯川に詰め寄った際、銃を構えた用心棒に背後から狙われたときに捏ねた理屈が面白い。
「ちんぴらめ、後ろをふり向いてみろ、ゆっくりとだぞ~」と磯川に謂われた後だ。

「いいかね、この距離からあの種類の銃をぶっぱなせば、弾は完全に俺のからだを貫通して、あんたに当たるんだよ。それにだ、おれのからだを貫通するときは 弾は炸裂しない。だからまだ助かる見込みはある。ところがあんたのからだにくいこむときは、弾のつぶれがひどいから、間違いなく即死だな」
「無知だねえ、弾ってのはねえ、一番抵抗の少ないところを抜ける性質があるんだ。俺がからだの向きをちょっと変えるだけで、あんたの心臓めがけて飛ばせることもできるんだよ」
「試してみるか?」 「撃ってみな、撃ってみなよ、おい!」
これを聞いて躊躇して怯んだ隙に形勢逆転である(笑。
これには感心した。
大分以前、この部分は松田優作のアドリブだとか話を聞いた覚えがある。
ホントかどうか分からないが、、、凄いと思った。
そんな部分がこの映画には幾つもありそうな気がする。
彼独自のシチュエーションが脈々と流れているのだ。身体性が感じられる。

「わかった、撃つな、撃つな、たのむ、お願いだ、殺さないで」
というチンピラに対し「ダメ、ダメ」、「家族はいるのか、こどもは」
「いるいる、い~っぱいいるんだ」
「死んだほうが幸せになれるよ」
と躊躇わず撃ち殺す。
このときの「ダメ、ダメ」がとても彼らしい。親がこどもを窘めるような目線の言い方なのだ(笑。
この「ダメ、ダメ」は癖になるかも。

Resurrection of Golden Wolf002

絶対に撃たれないハードボイルドヒーローであるが、愛人に腹を刺されて死ぬというのも、必然的な流れであった。
ただ、絶命するまでがかなりの尺を取る。
松田優作の独り芝居の独壇場である。
瀕死の身でありながら、絞め殺した風吹ジュンを抱きかかえ階下(ここは教会の廃墟か)に投げ捨て、そこにふたりで海外に高飛びするための搭乗券の一枚をハラハラと落とす。
その後、彼独りで飛行場に入るが、俯瞰するカメラ視線で、鞄をさげて何もなかったかの如くの足取りで歩を進めるも、急に体のバランスを崩し腕脚の制御を失い無残に潰れ倒れ込む様子が映される。
これだけで充分、巧みで饒舌な表現だ。

また力を振り絞りぎこちなく起き上がって歩く。
飛行機搭乗中に明らかに体調の異変を悟った客室乗務員から声を掛けられるが、顔面蒼白で意味不明の事を口走り(もしかしたら、これもアドリブか)シートの中で精気を完全に失った人形のように崩れて事切れる。


やはり「彼の映画」だとつくづく思う。



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