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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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昼顔

Belle de jour002

Belle de jour
1967年
フランス・イタリア

ルイス・ブニュエル監督・脚本

カトリーヌ・ドヌーヴ、、、セヴリーヌ(ピエールの妻)
ジャン・ソレル、、、ピエール(夫、医師)
ピエール・クレマンティ、、、マルセル(若いチンピラ)
ミッシェル・ピコリ、、、マッソン(女好きの夫の友人)


「欲望のあいまいな対象」「自由の幻想」「ブルジョワジーの密かな愉しみ」「小間使の日記」など観てきたが、これは美しいがとても普通に観ることができた。頭を捻る部分がない。感覚は捻るが(笑。


カトリーヌ・ドヌーヴ繋がりで、、、。
馬車の鈴の音で始まる導入部。
現実とは真逆なサディスティックな性的夢想である。

所々で、「反撥」に似た幻想が見られるが、これは一種の妄想であり、白昼夢である。
現実が異様に克明に描かれ、ささくれ立って立ち現れている映像ではない。
「反撥」は優れてシュール・レアリスティカルな作品であったが、こちらでは現実と妄想が織り成す心象が印象的に描かれる。

非常に自制心があり理性的で優しい夫をもつ、放逸な性衝動に身を任せてゆく若妻がじっくりと描かれる。
カトリーヌ・ドヌーヴが最初から最後までひたすら克明に描写される点では、「反撥」と同じであるが。
夢に見るサディスティックな性愛の欲望を現実に解き放つとどのようなドラマが生まれるか、、、。

セヴリーヌは、夫の女好きな友人マッソンから聞いた高級売春宿に自ら足を運び内緒で務めることにする。
「売春は最も古くからある職業だよ。知っているかい?」彼女にとって少しばかり後押しとなっただろうか。
夢にも現れる欲望を補償する半ば無意識で意図的な行為であろう。
女主には、彼女の上品で貞淑な雰囲気が気に入られ直ぐに雇われる。
2時から5時までの契約できまり。
その働く時間帯から名前は「昼顔」となる。
娼館の女主のセンスはなかなかのものである。
客相手の百戦錬磨という感じで、話のもって行き方もうまい。

そこにやって来る客も飛んでもない性癖のある客がいて面白いことは面白いのだが。
日本人はどう見ても日本人ではない。
この時代でも、あんなイメージなのか?しかも支払いに「芸者カード?」を出して、断られ現金を出すという、、、。
笑えない変な設定だ。日本(人)のイメージがまだ随分デタラメで稚拙である。
著名な産婦人科医もかなりどぎついマゾヒストの客であり、各自に合わせた作法を心得ている必要があることを彼女は知る。
そして屍体愛好家の公爵家に呼ばれ屍体に扮することまで経験する。
彼女はその高級売春宿の稼ぎ頭にまでなっていた。

このドラマで強烈なスパイスを効かせているのが、銀の差し歯と仕込みステッキが凶暴さを際立てるマルセルである。
短絡的に人殺しをする衝動的で激情型の人間である。
単に危ないだけである。
しかし、セヴリーヌと相思相愛の仲になってしまう。
彼には夫にない粗野で粗暴なむき出しのエネルギーがある。
そういうところに惹かれたのか。
しかし、彼女は夫への愛は別の次元のものとしてしっかり持っているという。
だが、よりによってマッソンに娼婦の仕事を知られてしまい、きっと最後に罰せられると、罪悪感に苛まれる。
(これは絶対に誰かにバレるものだ。単に時間の問題だろう)。

彼女は娼館を止めるが、それに腹を立てたマルセルが彼女の高級な自宅に押しかけてくる。
経済的に恵まれていて、立派な夫もいる事を知る。
彼はセヴリーヌを独占したい為、夫を邪魔だとして銃殺を企てる。
自宅前で待ち伏せしたマルセルにピエールは撃たれる(確か3発)。
ピエールはそこから車で逃走を図るが、ポリスに撃たれ死ぬ。
直ぐに病院に運ばれたピエールは一命を取り留める。
彼女が予感していた罰は自分自身ではなく夫に下ってしまった。

最後、車椅子で口がきけず身体の自由の効かない夫に対し、始めて深い愛情を感じるセヴリーヌであった。
マッソンにより彼女の娼婦として働いた一件も夫に伝えられていた。
彼女の幻想で、最初と同じように馬車の鈴の音が響く、、、。
何故かとても安堵感を与える光景だ。

Belle de jour

反撥

Repulsion001.png

Repulsion
1965年
イギリス

ロマン・ポランスキー監督・脚本

「水の中のナイフ」「ローズマリーの赤ちゃん」「袋小路」どれもとても印象深い。
「袋小路」では特にフランソワーズ・ドルレアックの美しさが際立っていた。
凄い姉妹がいたものであるとつくづく思う。
もっとも姉の方は美人薄命であったが、、、。

雰囲気的には「ブラック・スワン」に近いものを感じた。向こうがこれに近いのだが。
デヴィッド・リンチに通じるものは勿論、濃い。

カトリーヌ・ドヌーヴ、、、キャロル・ルドゥー (美容院で働く)
イアン・ヘンドリー、、、マイケル(姉の妻子持ちの恋人)
ジョン・フレイザー、、、コリン(キャロルに一方的に言い寄る男)
イヴォンヌ・フルノー、、、ヘレン・ルドゥー (姉)


この狂気のディテールの描きこみは、まさにシュールレアリスムだ。
心的状況を克明にリアルに描写することで、異様な時空の歪みが出てくる。
カメラワークも秀逸だ。遠近法を加速させた扉から扉への視線とか、、、最初の目の接写などまるでこちらがブニュエル?
最後のとても意味ありげな(意味を持たせているが)キャロルの子供のころの写真のアップ、、、。
演出が饒舌。コンセントを入れずにアイロンがけしているところなど、、、細やかな狂気の描写。

まずキャロルの潔癖性が発端の症状として始まる。
彼女は姉の家に住んでいるが、姉の不倫の恋人がそこに寝泊まりしていることに対する嫌悪感が募っていた。
病理的には何とも言えないものだが、奔放な姉と愛人の恋愛関係が現実に彼女に引き起こした影響は小さくはない。
リビドーの強烈な突き上げと性に対する(その対象~男の醸す生理的な)嫌悪が綯交ぜになり、それを内面化して内向してゆく。
無表情にしきりに無意識に鼻をこする。
無気力と無感覚が彼女を支配してゆく。

美容院で客に怪我を負わせて、外に出られなくなるにつれ、症状は重くなる。
アパートの室内は荒れて行き、ジャガイモからは芽が出て、(ウサギの)肉料理はテーブルに放置されたまま腐臭を放ってゆく。
この引き籠りと無秩序ぶりは相当重度になっているが、姉は恋人と旅行に出て行ってしまっている。
独りで放置されると症状の悪化はおそらく加速するだろう。

カトリーヌ・ドヌーヴの端正で硬質な美が狂気を孕むと、かなり不気味で怖い光景を生む。
冷ややかで無垢な感触が、悍ましさを増幅する。
連動して歪む時空がその相貌を顕にしてゆく。
部屋のスイッチを切ったかと思えば、壁に大きな亀裂が走る。
不安な足取りを多くの手が絡めとろうとする。
時計の音の異様な響き。
突然、現れ彼女に乱暴する男の幻影。

情緒を完全に失った真っ白な顔。
彼女に熱い思いを寄せるコリンがその情熱を滾らせ部屋にやって来た時の人形のような冷えた対応。
こちらを窺っていた向かいの老婆が部屋の扉を閉めると同時に、彼の頭を鈍器で滅多打ちにして殺す。
無表情で屍を引きずりバスタブに沈める。

部屋を内側から釘で打ち付け閉ざす。
外に出て逃げないのだ!そんな選択肢は彼女には最早存在しない。
内側に尚も深く閉じ籠ろうとする。
この心的な状況こそ恐ろしい。

突然ブザーが鳴り響き、家主が扉をこじ開けて入ってくる。
彼は家賃が収められていないことに激怒し乗り込んで来たのだった。
しかしキャロルがすんなり家賃を手渡すと、今度は彼女に言い寄ってくる。
仲良くなれたら部屋代はタダだと言って抱き着いて来たところを剃刀で首を切りつけ、その後は滅多切りにして殺す。
ソファの向こう側に遺体は落ちる。

荒れ放題の電話線も切断されたアパートに姉と不倫相手が旅行から帰って来る。
ベッドの下から全く生気を失ったキャロルが発見される。
しかし姉の愛人に抱きかかえられてゆく姿は妙に怪しい笑みと言い、これからどう変貌してゆくのかまた不安をわれわれに植え付けるものだ。


これもロマン・ポランスキーの、ただものではない作品であった。



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