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ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー

ELLES001.jpg

ELLES
2011年
フランス・ポーランド・ドイツ

マルゴスカ・シュモウスカ監督・脚本

ジュリエット・ビノシュ、、、アンヌ(ELLES雑誌記者)
ジョアンナ・クーリグ、、、アリツィア(女子大生)
アナイス・ドゥムースティエ、、、シャルロット(女子大生)
ルイ=ド・ドゥ・ランクザン、、、夫

ジュリエット・ビノシュ主演でなければまず観ない。
邦題が悪すぎる。
”ELLES”である。彼女ら~ELLES(雑誌名)で良かろうに、、、。
題が作品の品格を落としている。


クラシック音楽~最初の頃のは思い出せないがワグナー、マーラー、ベートーベンなどを基調としている。
が、そこに、、、あのシャンソン、、、何であったっけ、、、が介入してくる。
インテリア、服、ドレス、調度、色調などが彼女の生活の質を綺麗に表しているが、、、
冷蔵庫のドアにいちいち引っかかる。(何かが必ず邪魔してドアが閉まらないのだ)。
ここに綻び、不協和音が現れてくる。
そういうものだ。
一見整然としているように見えて、、、
エントロピーが静かに増大してくる。


熟年夫婦となると子供を介して繋がっている部分が大きい。
もうお互い同士の関係の瑞々しい更新は困難となってきている。
これはある意味、人間における普遍的で深刻な問題なのだ。
しかし、肝心の子供は親の預かり知れない何者かとなっている。
価値観が理解不能になっている。(長男の大学生の部屋にはチェ・ゲバラのポスターが飾ってあった)。
(ついでに次男の小学生は、流行りのゲームばかりしている)。
コミュニケーション自体も不全に陥っていることは明白だ。
特に大学生の長男は相当に生意気で親を馬鹿にしている。

”ELLES”の雑誌記者であるアンヌは、女子大生の援助交際の記事を書くために、見た目もごく普通の可愛らしい女子大生に取材を持ち込む。彼女らのネット上の広告を見てインタビューをするのだ。
最初は壁を作る彼女らであったが、アンヌの彼女らに対する先入観(偏見)が薄らぎ、一緒にパスタを食べたりお酒を飲んだり、シャンソン(クラシックではない)で踊ってみたりしているうちに、彼女らも心を開き質問に全て答え、赤裸々な話をしてゆく。
明らかにアンヌに好意を示し、自分の本当の名前も明かす。
夫がアンヌの今取り組んでいる仕事を、娼婦の取材と蔑視していることに彼女は大きな意識の落差を覚える。
更に、長男が学校をサボり薬をやったことに対して、夫は妻が家庭を向いていないと批判する。
「わたしたちの責任じゃないの?」というアンヌに取り合わず、上司を呼ぶ今夜のディナーの食事や振る舞いばかりを気にしている。

実際女子大生のふたりは、経済的な必要性、バイトでは勉強する時間すらなくなってしまうため始めたのだが、時間とお金の余裕で、人間として女性としても明るく力強く暮らしていることを知る。
ほとんどネガティブな感情は持っていない。それ以前の生活の方が遥かに辛く惨めであったのだ。
確かにこころが全てを受け入れているわけではない。
社会的にも知人にも秘密の仕事で余裕を持てているのだ。
しかし、少なくとも女性として扱われ、逞しく生活を営んでいることにアンヌは動揺し、自分の置かれた現状が逆照射されることとなる。
特に「女性」としてである。
ここでの性的な描写が女性監督のためか、感情的な流れも含め、かなりリアルに受け取れる。


夫が招待した上司たちとのディナーを囲むと彼女には彼らが皆、取材を続けているふたりの女子大生の客でもあることを想像する。確かに買うものたち~需要があるために成り立つ構造なのだ。
彼女はそれまでの日常に、自分の深層の欲望に自覚的になっている。
ディナーの場が耐え切れず席を突然離れ、外気に当たりにゆく。
もうどうでも良いわ、、、とか漏らしていた、、、。


翌朝、綺麗な食卓を親子で囲む朝食の光景が流れる。
食事はみんなで仲良くとらねばならない。
それぞれがこころは離れていても、食事を共にとることが家族を取り敢えず繋ぎ留める。
そんな静かで明るい映像が続き、エンドロールへ、、、。



プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

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