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シャイン

Shine.jpg

Shine
1996年
オーストラリア

スコット・ヒックス監督・原案
ジャン・サーディ脚本
デヴィッド・ハーシュフェルダー音楽

ジェフリー・ラッシュ、、、デイヴィッド・ヘルフゴット(精神を病む天才ピアニスト)
ノア・テイラー、、、デイヴィッド・ヘルフゴット(青年期)
アーミン・ミューラー=スタール、、、ピーター・ヘルフゴット(父)
リン・レッドグレイヴ、、、ギリアン(妻)


またしてもジェフリー・ラッシュ!泣ける。
実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットを演じるがこれが鬼気迫る。
ひたすら、凄い。

彼が出ていて凄くないものはないが、これは特に、、、極めつけだ。
実際に弾いているようにしか見えない。
(ジェフリー・ラッシュ自身ピアノは弾ける人だが)。
流れている流麗な音はデイヴィッド・ヘルフゴット当人の弾くものだという、、、。
これまた凄く迫るものがある。


旋律同士が挑み合い、激しいカデンツァ、、、難曲中の難曲と言われるラフマニノフ『ピアノ協奏曲第3番』に拘るデイヴィッド。
父が彼に何より弾かせたがった作曲家であった。
彼がこの曲に拘るのも父に認めてもらいたかったことが大きい。
専門家たちは少年のうちは、まずモーツァルトから始めさせたいというが父はラフマニノフなのだ。

デイヴィッドは音楽家の夢を絶たれた過去を持つ父からピアノ~音楽の厳格な教育を受けて育ってきた。
彼はめきめき才能を発揮し、数々のコンクールで注目を浴びるようになる。
当然のごとく、専門家筋からの更なる教育の必要性や留学などの誘いが舞い込んでくる。

だが、父親は頑固にそれらを拒否する。
自分の溺愛する息子を手放せないのだ。
他人の手に渡すことは断固として許さない。行きたいとせがむ息子に暴力まで振るう。
その為、アメリカ留学費用を協力して集めてくれた周囲の人々や滞在先の家族の善意も踏みにじり、彼を家に閉じ込めてしまう。
自閉的で独善的な人、、、少なくとも子離れの出来ない父であったようだ。

どれほどの度合いであるかは分からぬが、これが精神に及ぼす影響は小さいとは思えない。
父ピーターは同じ年頃の異性との接触も尽く排除していたように映る。
しかし、年配のロシア女流作家との交流を経て、彼は自分の道を歩くことを決意するに至る。
父に激しく叱責され勘当されて、彼ははじめて独りで行動し、イギリスの王立音楽院に特待生入学する。

そこで教授に天才を見出され、特別にレッスンを受ける。
しかし挑む曲が常にラフマニノフなのだ。
こころは父の願いに繋がったままだ。(無意識的にかどうなのか、、、ある意味難曲は不利でもある)。
そのときの教授とのやり取りが笑えるようで、実は笑えない。
「第三番は大曲だ。正気の沙汰じゃない」(教授)
「では正気でなければいいんですね?」(デヴィッド)

この後、彼はコンサートで見事ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第3番』を弾きこなしたところで倒れ、父のもとに帰ってくるが父はもはや彼を受け入れなかった。
父はしかし彼の演奏をラジオで聴き涙していたのだが、、、。
デイヴィッドは精神に異常をきたしてしまう。
その後、言動に問題が見られるとのことで、彼は精神病院に入院させられてしまった。
そこでは、ピアノは体に悪いため弾くなと指導されていた。
しかしひょんなことからデヴィッドがピアノが弾けることが分かり、外に預けられることになる。
かつてデヴィッドのファンであった人だ。
しかしそこも奇行の為、ピアノに鍵をかけられてしまう等、居ることが出来なくなる。

あるとき外出し、バーで『くまんばちの飛行』をピアノで弾いてみせた時に多くの客から絶賛され、またピアノを聴衆の前で弾く喜びを久々に味わう。
これは彼にとり、やはり良いことであったのだ。いや、最善の方法ではないか!
ちょうどその頃彼に理解を示す婦人ギリアンと結婚し、彼女の支えの元、コンサート会場にカムバックすることになる。
文字通り、輝きを取り戻したということだ。
それ以降、思う存分ピアノをステージで弾く生活が続いたようである。
ある意味、こういった形での復帰というものは困難を極めるものだと想うが、自分を活かし認めてくれる愛する伴侶の力は大きいと思わざるを得ない。


ジェフリー・ラッシュは映画の中で、見事に弾きまくっていて驚きの連続であったが、父のピーターが具体的に音楽を教える場面があっても良かったのではないか。
これには物足りなさを覚えた。あれだけ他人の教育を拒んだ人である。
青年期のノア・テイラーも大変良い味を出していた。
成長期の次第に音楽に、いやラフマニノフにのめり込んでゆく過程が説得力もって伝わって来る。
とても揺れ動きにも共感を覚える。


だが何といってもジェフリー・ラッシュの圧倒的な演技力により、この映画は素晴らしい作品となっているといえよう。
と同時に、デイヴィッド・ヘルフゴットというピアニストへの興味も沸く。
実際に彼の弾く曲が聴けるのだ。

美味しい映画である。

バンテージ・ポイント

Vantage Point001

Vantage Point
2008年
アメリカ

ピート・トラヴィス監督
バリー・レヴィ脚本

デニス・クエイド、、、トーマス・バーンズ(シークレットサービス)
ウィリアム・ハート、、、ヘンリー・アシュトン(アメリカ大統領)
マシュー・フォックス、、、ケント・テイラー(バーンズの同僚)
フォレスト・ウィテカー 、、、ハワード・ルイス(アメリカ人旅行者)
エドガー・ラミレス、、、ハビエル(元特殊部隊員)
シガニー・ウィーバー、、、レックス・ブルックス(テレビ局の女性プロデューサー)
サイード・タグマウイ、、、ベンワル・スワレス(テロ実行グループリーダー)
エドゥアルド・ノリエガ、、、エンリケ(地元サラマンカ警察の警官)
ブルース・マッギル、、、フィル・マカルー(大統領の側近)

「有利な見地」

黒澤明の『羅生門』みたいにそれぞれの登場人物の視点でこの事件が描かれてゆく形式。

スペイン・サラマンカでのテロ撲滅を誓う国際サミット開催の公衆の前での演説を狙った大統領狙撃事件を巡る物語。
西洋とアラブ諸国との歴史的合意をみる歴史的意味からも世界が注目している。
その為、テロを成功させれば、その影響も大きく、どちらにとっても正念場となる。
昨年大統領の盾となり彼の命を救ったシークレットサービスのトーマス・バーンズが休職から戻り、最初の任務がこのサミットでの大統領の警護であった。
いきなりの大仕事である。

この映画、8人の人物の事件となる23分前からの行動がそれぞれ追われてゆく。
(一人毎に時間が23分前に巻き戻される形式を採る)。
その人間の目線ではなく、その人間を追ったカメラ目線だ。
一つの一連の光景が遺す謎を次の光景が答えを明かす機能を担い、、、
最後にそれらの光景が全て一つの事件の真相へと繋がるものとなってゆく。
(つまり、ひとつの行動の光景の影になっていた部分を他の人間の行動の光景が照らし出し、、、という構成なのだ)。

○レックス・ブルックスを中心とするテレビ局スタッフ側から
○シークレット・サービス、トーマス・バーンズ側から
○地元サラマンカの刑事、エンリケ側から
○旅行者、ハワード・ルイス側から
○米大統領、ヘンリー・アシュトン側から
○ハビエルを中心としたテロリスト側から、そのまま事件の顛末へ流れ込む、、、。

テロの現状を「アメリカの外交政策にも責任の一端がある」などアナウンサーに言わしめたり、熾烈な情報戦とは言えそれに従うしかない大統領本人の受身の立場を見せたり、テロのプラカードに「ドルの為の流血はごめんだ」の文字があり、これがドルの攻防戦でもあることなど、反テロ陣営に対する批判的な面も匂わせていた。
スワレスが携帯のガジェットで一連の操作を綿密な計画の元、正確に行っているのも極めて今日的だ。
またそのような組織の非常さもよく表していた。
ハビエルのように弟を人質に取られテロ活動を強いられ、最後に兄弟とも殺害されるケースも。

事件の実際の詳細に迫るのも尽くヴィデオの確認による。
(ヴィデオの今日的役割は次第に大きくなることも分かる)。
ただし、ヴィデオは後手に回った側の後追いの確認となるが、、、。
しかしベテランであるバーンズのように正確に見れば、解決は早い。
このような大行事の番組を仕切るTVニュースのプロジューサーの裏での仕事振りも分かるものであった。

カーチェイスもかなりのレベルのものである。
一番信頼のおけると思っていた同僚のテイラーがテロ陣営であったのも、この戦いの根深さ永遠性を感じる。
情報戦から言えばテロ組織の方が一枚上手であった。
結局、全てが絶妙に絡み、偶然の要素も大きく入り事故によってバーンズによる大統領救出が成功する。
これで二回立て続けに彼は大統領を救う。
テロとの戦いの終結の為のサミットをどのように活かすかの双方の思惑の戦いでもある。
側近の推す強いアメリカを誇示する報復活動を行えばテロリストに屈することになる。
「報復体制を解け。こころを強く持ち、当初の目的をこそ達成しなければならない。」
大統領が意外にもかなりの人格者であった為、助かって後味が良かった。


全体に実によく練られた構成であった。

これは、よくできた映画と言える。

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
日々思うことを綴ってゆきます。
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
悪しからず。
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