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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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戦場にかける橋

The Bridge on The River Kwai

The Bridge on The River Kwai
1957年
イギリス、アメリカ
原作ピエール・ブール『戦場にかける橋』(1952年)、、、かなり内容やキャラクターを変えているらしい。

デヴィッド・リーン監督
ブログで取り上げている彼の映画では、この映画~「アラビアのロレンス」~先日の「ドクトル・ジバゴ」となる。
何れも圧倒的な大作である。
「アラビアのロレンス」のファイサル国王、(「ドクトル・ジバゴ」でもジバゴの兄・エフグラフをクールに演じていた)アレック・ギネスが渾身の演技。
これだけでもう100点満点の映画だ。

マルコム・アーノルド音楽
主題歌『クワイ河マーチ』

運動会によくかかっていたが、最近は新しい曲ばかりが掛かるようになった。ちょっと寂しい。
今ならかえってこの曲をかける方が新鮮である。
この曲はマルコム・アーノルドが、『ボギー大佐』を映画『戦場にかける橋』のテーマ音楽として編作曲した行進曲である。


アレック・ギネス、、、ニコルソン大佐
ウィリアム・ホールデン、、、シアーズ(アメリカ海軍二等兵だが中佐を名乗る)
早川雪洲、、、斎藤大佐
ジェームズ・ドナルド、、、クリプトン軍医
ジャック・ホーキンス、、、ウォーデン少佐
ジェフリー・ホーン、、、ジョイス

最期のニコルソン大佐の呟き”What have I done?”
~これに尽きる。
余りに重い。



「戦場にかける橋」とは、タイ王国のクウェー川に架かるクウェー川鉄橋を指す。
(この映画の影響で、観光客は絶えないという)。
史実では、橋は破壊されず、木橋と鉄橋の2本が作られ、鉄橋は今も使われている。
また、ニコルソン大佐のモデルとなった大佐は、出来る限りサボタージュさせる方に注力した人らしい。
実際の橋の建造は、日本軍の設計で英国捕虜は指示に従い単純労働を行っただけだという。
日本のインフラ工事の技術は当時から世界一であった。今は重機(コマツ)の性能も含め圧倒的であるが。


タイとビルマの国境付近にある第十六捕虜収容所が舞台
イギリス軍兵士と日本人大佐との確執と交流を描く
彼らを強制的に泰緬鉄道建設に動員しようとする


クリプトン軍医の視座がどうやら映画を観る側にとても近く感じられる。
事の成り行きや全体を客観的に冷静に観ている。
ニコルソン大佐も斎藤大佐もおかしいと分析している。ほぼこちらの目線だ。

ニコルソン大佐の矛盾を生きる生き様はあそこまで徹底すると爽やかだ。
懲罰房(オーブン)に入れられても自分の主張(軍人としての教義)を曲げないで、オーブンから出されても、衰弱してふらつきながらも背筋を伸ばして歩く。
英国軍人としての矜持を忘れないあの歩き方が彼の人格を充分に表す説得力を持っていた。

斎藤大佐も芸術家になるため英国留学したが、結局エンジニアの道を選び軍に入ったという。(ちょっとヒトラーにダブる)。
ニコルソン大佐がジュネーブ協定に反するものを一切拒否するため、鋭く対立するが働き手の捕虜が動かず完成が覚束無い。
妥協案も受け付けないため、橋の建造が絶望的な事態にまでなり、ついに日露戦争に勝利した記念日の恩赦(でっち上げに近い)として彼の要求を全て受け入れることにする。
この譲歩で彼のプライドはずたずたとなる。(部屋で一人泣き崩れる)。
橋の設計にも致命的なミスがあり、作業人員配置も不適切であった為、英国捕虜軍主導の計画で一から作り直されて、見事完成をみる。この頃にはもう威張り散らしていた頃の威厳など微塵もなく、自決をいつするか考えているだけのようである。

シアーズは、およそ軍人らしさのない何よりも身の安全を考え、明るく楽しく生きることをモットーとしたアメリカ男。
彼の脱獄後のいっときのシーンときたら、ラブコメディかと思うくらいであった。
まさかこのコンテクストでロマンスはなかろうと思っていたため少し戸惑ったものだ。
パラシュート降下を訓練なしでぶっつけ本番で行うこととなった時の彼の反応は確かに笑えた。
運の良さでやって来た感じの色男であったが、最後はその運も尽きたというところか、、、。

前半はニコルソン大佐と斎藤大佐の意地の張り合い。
(ある意味、ふたりは似た者同士でもある)。
それを距離を持って見守るクリプトン軍医の実にまっとうな姿勢~見解が窺える。
後半は脱走したのに甘い餌に釣られて戻ることにしたシアーズとウォーデン少佐に若手のジョイスで、山場の橋の爆破に関わってゆくスペクタクルだ。
特に終盤の張り詰めた緊張は、それまでの全てがここ~列車の通過を待つ橋のかかる渓谷に収斂する。
ニコルソン大佐と斎藤大佐が異変に気づきふたりでその導線の先を手繰り寄せてゆく。
そして、一気に余りにも酷く儚い全的崩壊となる。

実際に橋を爆破しているシーンは、ちょっとCGでは味わえない、リアリティと本物の迫力を感じる。
それにしてもあれだけ苦労して作った橋である。
ニコルソン大佐としても爆破しようとする相手がイギリス人であっても(いやあるからこそ)呆然としたことであろう。
彼は純粋に大佐として、兵士の弛みを橋の建造という目的によって正し、英国の誇る技術を見せつけ、後の人々にも捕虜となっても奴隷には身を落とさなかった自分たちの生き様を残したかったのだ。
これは半ば、28年に渡る彼自らの軍人として、何をなしたかの証明~形が欲しかったのではないか。
立派な橋を造るということにシフトしたところで、例の楡の木の話題(600年の耐久性)が出てしまい、彼はもうジュネーブ協定などどこへか飛んでしまい、持てるリソース全てを動員した傑作を作り上げた。
ある意味、彼の人生の全てが流れ込んだ結晶とも謂えよう。
しかし、客観的に見れば、これは反逆罪に当たろうか?


クリプトン軍医のやり場のない絶望の叫びが、心に残る。

ニコルソン大佐の矛盾を孕んだプライドと生真面目な情熱にとても惹きつけられた。
やはりアレック・ギネスに尽きる、、、。



”Bon voyage.”

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