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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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グランドホテル~プロコルハルム

GrandHotel001.jpg

たまたま、聴いてしまった1973年度のアルバム。
プロコル・ハルムの不滅の名作であり、時折聴いてしまうもの。

一部の隙も無いアルバムというのは、ほとんどない。
奇跡的な一枚としてこれがある。
退廃の美学である。
これほどどうでもよい、語るべきことなどもはや何もない内容を美しく虚しく歌い尽くしたアルバムは他にない。
典雅で諧謔に満ちた荒涼とした美(神の不在)を描ききった希にみる作品。
勿論、大傑作という以外にない。


グランドホテル、、、どうやらフランスの一流ホテルのようであり、グランドホテル形式の映画のようであり、、、。
思い切り空虚でチープな煌びやかさと喧騒が見事に奏でられる。
これ以外の的確なオーケストラアレンジがありえるだろうか。
特に中間部のどうでも良いバイオリンによる見せかけのマイナーメロディのセンスは極めつけである。
安物メロドラマ(宮廷音楽風アレンジ)をカットアップして非常に上質な音楽に設えている。
リズム・テンポ・調・曲想も目まぐるしく変わる構成力は流石である。

トゥジュール・アモール、、、リリカルでハイテンポのピアノイントロから続くギターとオルガン音色が小気味よい。
ギターの畳み掛けもきっちり決まっていてロビン・トロワーをちょっぴり彷彿させるところでもある。
フランス行って山小屋借りようかな、、、
スペイン行ってピストル買おうか、、、
頭に一発、ズトンとね。
これだけあっけらかんとした歌詞がこれだけのノリと心地よさは、ないだろう。

ア・ラム・テール、、、極めて美しいリリカルなワルツ。
ピアノとオルガンの融合は見事だ。
しかし特筆すべきは、ゲーリー・ブルッカーのボーカルは、このような曲でこそ際立つということ。
彼はコンポーザー・ピアニストだけでなく、ボーカリストとして如何に魅力的かがここで充分に味わえる。
何処までも広がりを感じる何処までも空虚な曲である。
僕は土人の目を逃れ独りでラムを呑んで生きてゆくよ。
そして街を焼き払い、飛行機を借りて空にストーリーを書くんだ。
神様がきっと買ってくれるさ。

TVシーザー、、、また魅惑的なピアノフレーズから、、、。
ここでもオーケストラは全く自然にプロコルハルムのメンバーになっている。
楽曲の基盤の構成要素である。ゲーリー・ブルッカーの面目躍如である。
楽曲自体が初めからオーケストレーションで書かれたものと、プロデューサーがオーケストラアレンジを後から入れたものとの歴然とした差である。
BBCシンガーズも全面的に入っている。
キース・リードの詩の韻も心地よい陶酔を呼ぶ。
サウンドと詩が不可分に退廃的な様式美で貫かれている。
”T.V.CEASAR Mighty Mouse”である。一筋縄ではない言語感覚。
イメージのはっきり伝わるハイパーセンスである。
テレビでお馴染みマイティマウスは何処の家にも住みついてるのさ、、、。

スーベニール・オブ・ロンドン、、、アコースティックギターとオルガン主体で極めて投げやりな曲想。
ブルッカーも殊更ソウルフルな歌唱スタイルであるが、からからに乾ききった覚めた歌である。
ロンドン土産をもってきちゃってさ、、、
である。
いい加減にしなさい、である。
アルバムとしてはなくてはならない絶妙なアクセントではあるが、まことに安くておバカなテーマ。
これもグランドホテルの一幕であることは確か。

ブリンギング・ホーム・ザ・ベーコン、、、天才バリー・J・ウィルソンのドラミングの際立つナンバー。
オルガンフレーズもよく、そこにギターがまた上手く絡む。
ブクブク太った赤ん坊を連れてきたかと思ったら、それはどうやら皇室に生まれた子らしい。
よくまあ、、、それにしてもグロテスクをスタイリッシュに描く手腕には呆れる。
”クイーン・イズ・デッド”にしてもそうだが、イギリスでは大丈夫なのか?
もう心配するでもないが、、、シニカルを超えているが詩になっているため芸術的に昇華されているといえる。

フォー・ロコリス・ジョン、、、漆黒の宙を彷徨うかのような不安を掻き立てる曲。ここでもドラミングが際立っている。
非常に優れた彼らからしか生まれてこない表情を持つ曲。
これほど詩と曲の裂け目のない作品は珍しい。他の曲も勿論そうだが。
不安というより、どうしようもない居心地の悪さ、身を捩る違和感を覚えないではいられない。
しかし曲の魅力が麻薬的に作用し、奇妙な快感に変じてゆく、、、。
ジョンは、何の病気なのか、どの医者にも判らない。
病気かどうかも、、、
彼の体温はいつだって正常だった。
彼が海に沈んでゆくとき、彼は自分に手を振っている人々の姿を見た、、、

ファイアーズ、、、厳かなピアノイントロで始まる。
ある意味、プロコル・ハルムの曲の中で最も哀調のある曲と言えよう。
BBCシンガーズのスキャットが全面に躍動的に押し出される。
ゲーリー・ブルッカーのボーカルも冴える。
ここでもテンポと調性の変化が曲想を深め豊かにしている。
戦争譚であるが、言葉からスッポリ魂の抜け落ちた世界が透いて見える。
美しいが限りなく冷ややかに覚めた、逆説的な様式美の楽曲である。
如何にもグランドホテルらしい話であろう。
最後から二番目の曲としての重要な役割を完璧に果たして、終わる。

ロバーツボックス、、、もはや蛇足だ。ダメ押しか。
プロコルハルム(ゲーリー・ブルッカー)以外の誰からも生まれない格調とポップさと絶望に満ちたドラマチックな楽曲。
乾ききった上に光もない。
ここでも変幻自在な展開で一気に駆け抜ける。
ゲーリー・ブルカーの低音"doctor"のシニカルな多重スキャットの味わい。
エンディングの永遠に続くかの如き、虚空に向けた劇的に高揚する彼のリフレイン、、、
Just a pinch to ease the pain
I'll never trouble you again
これはまず教会では歌われまい。
あくまでもグランドホテルである。

救いが欲しいのではない。
ただ痛みを忘れさせて欲しいのだ。

わかるか!!!

と神に告げている。


全曲に渡ってバリー・J・ウィルソンのドラミングが光っていた。
曲を支えるのがドラムであることを痛感する。



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