ブリュッセルより愛をこめて ~Close Cover

何十年ぶりに「ブリュッセルより愛をこめて」を探し出して、聴いた。
ベルギーのクレプスキュールレーベルから出たオムニバスアルバムだ。
LPをかけるのも久しぶり。
元は確かカセットテープで発売されたものであるはず。(記憶が確かならば、、、怪しい)。1980年に録音されたようだ。LP版はもっと後で出たはず。
一時期、LPを必死でリッピングしてパソコンにためていたものだが、やっていられなくなった。
CD買ったほうが早いとなり、暫くはCDを買っていたが、それも場所をとり、やがてiTunesで購入するようになった。
だが、LPで持っている音源が全てデジタル化しているわけではない。
特別な愛着のあるシングル(特にフラ・リッポ・リッピのファーストSG)や幾つかのEP版など、ほとんど出てはいない。だからといって、その都度、LPを探りには行かなくなってしまった。
保管してある場所が、単にアクセスしにくいのだ。
昨日、あえてレコード棚を調べると、レア物レコードが結構出てくる、出てくる。
最近ちょっと希なほど、新鮮な気分に浸れたものだ。
しばし惚けてジャケットに見蕩れてしまう。
特に、クレプスキュール、ファクトリーものの30cmシングルがたくさん見つかった。
すでに記憶に無く、初めて見るようなものも幾つか、、、。
(他にオランダ、フランス、イタリア、フィンランド、ノルウェー、今話題のギリシャ物など、、、いずれ聴き直して面白いものは報告します)。
結局、広い意味でのロック(現代音楽含む)は、世界各地、人のいるところには何処にも、恐らくはあることを実感した。
わたしはそれらを高校(大学)時代に西新宿まで足繁く通い、集めたものだ。
その西洋(米もあり)直輸入レコード専門店は雑居ビルの2階あたりにあり、隣は進学塾だった。
そこで、ブライアン・イーノプロジュースの”ノー・ニューヨーク”最後の在庫1枚をギリギリゲットしたことは、今でも覚えている。
まるでアイドルタレントのようにトレンディーにキメた女子高生(だと思う)にすんでのところで持っていかれるところだった。
こっちははるばる長距離を電車に乗って買いに来ているのだ。
ちょいと出かけて訪れました風な娘に負けてはいられない(笑。わたしの武勇伝である?(基本バーゲンセールのオバタリアンと同じだ)。
勿論、”ノー・ニューヨーク”は想像を遥かに超える絶品-収穫であった。
本当にラッキーであった。
何を話題にしていたか?そうだ「ブリュッセルより愛をこめて」である。
純粋無垢な鋭いナイフとなって突き刺さってくるヴィニ・ライリー( The Durutti Column)の2曲がどうしても際立つが、ソフト・ヴァーティクトのThe Fosse(後にClose Coverに改名)が、わたしにとって特別だ。
よくそれをBGMにして、トリスタンツァラの「近似的人間」の朗読をしていた?!
単なる趣味だ(笑。
しかし実に合う。もしお暇があれば試されたし(笑。
それから何よりトーマス・ドルビーの"AirWaves"にハッとした。
一際瑞々しい感性に煌めいている。
トッド・ラングレンばりの極上ポップセンスだ。
初めて聴いたような感動を味わってしまった。(大丈夫か?)
(彼はシンセサイザー奏者・プロジューサー、様々な音楽配信システムの発明家だけではない)。
最近、こんなしなやかな曲を聴く機会がほとんどないことに気づく。
それから、ハロルド・バッド。マイケル・ナイマン。
ソフト・ヴァーティクト(WIM_MERTENS)の様式美とはまた異なる趣のミニマム・ミュージックである。
リリカルという言葉はハロルド・バッドのこんな曲のためにあるような。
マイケル・ナイマンのいかにもミニマム・ミュージックというなかにも感性の冴え渡る曲。
ア・サーティン・レイシオ。懐かしい、としか言えない。
ビル・ネルソン、アンテナを久々に思い出した。
エリックサティをバックにしたジャンヌ・モローのインタビュー、ヌーベルバーグ・シネマ気分になれて得した気分である。NYで神と奉らえていたブライアン・イーノのインタビューもあり、理知的なイーノの軽やかな語り口がBGMに不思議な感じで溶け込み心地よい。
なかなか趣深い楽しい企画である。
オムニバスアルバムでA面からD面まで4面を、ターンテーブルに塩化ビニール版をひっくり返しながらじっくり聴くという身振りを本当に久しぶりに味わった。
良いものである。と同時に気づいたのは、音がとても良いこと。
さらに何故か、贅沢な気分であった。
近頃、パソコンでiTunesから聴くことが多かった。
音楽に対し、何もせずターンテーブルを眺めながら聴くような向き合い方をしていなかったのだ。
音質だって、パソコンにつないだスピーカーでは限界が大きすぎた。
何とも、とりとめのないことばかり書いてしまった。
ヴィニ・ライリーは3度目の脳梗塞の発作に倒れ今現在も闘病中だ。
他人事ではない。
(世界中のファンからの募金を甥が最近まで募っていたようだ。一段落はしたのだろうか。ゆっくりして欲しい)。