釉薬

釉薬で失敗してしまった。
釉薬そのものというより、その扱いの問題である。
わたしはこれまで、釉薬を塗って不味かったという経験が無かったため、今回はかなりのショックだった。
施釉においては、下絵の具をしっかり塗ってから、透明釉を塗るという方法を主にとっていた為、今回のように不透明な釉で色を出すことに関しては経験が少ない。ただ、選んだ色は特に問題のない色であった為、その色になれば良いと簡単に想いこんでいた。
が、甘かった。
サンプルの色と同じ色が出たのは、4分の1。真っ白のものだけ。
それだけは綺麗な発色であったが、後はかなりの酷さ。
なぜこうなったのか、一つは2色混ざった色があり、釉の混入が考えられ、釉薬の管理上の問題が挙げられる。
それから、焼く時の温度調整から来る相当な経験上のコントロールが不可欠となる現象。どのくらいの時間で最高温度に達するようにするかなど、温度と時間関係の設定により、微妙に色は変わる。
しかし、ごく普通の焼きで、このような醜い発色が起きるとは思わない。
さらにサンプルと、蓋のネーム、その釉薬の入った容器の関係が異なっていたことが充分考えられる。これも管理上の問題というのか、管理とかいうレベルの以前の問題ではないか。
白系を選んだのに全くの黒があった。
青のはずが所々に青が点在するだけ、殆どが黄土色だったり。
これはあり得ない。いくら何でも。
釉薬の色から焼き上がりの色は釉薬を熟知していなければ想像できないものであるから、それ等ネームの対応関係が違っていたら万事休すだ。これは誰でも困惑するはず。
初歩というより前提的な環境ができていなかった、というよりほとんど打ち捨てられていたというべきか。
よく使っているヒトにしか分からない私有特権的環境となっていたのか?恐らくそれであろう。
わたしの経験不足が1番の原因であるが、相当がっかりした。
しかし上で「醜い色」と書いたが、別にその色それじたいが醜い訳ではない。
色は関係で決まる。
ことばと同様に。
単に単独の単語としてみれば、、、。
かなり有機的で複雑怪奇な形態であれば、それを演出するに適した色あいには思える。
今回のわたしの作品が幾何学的な直線・曲線形態であったが為、色がそぐわなかったように見える。
とは言えそれらを置く場所、その色彩的なコントラスト如何で、かなり面白く映えるかも知れない。
あくまでも場所-コンテクストによって決まる。
理屈ではそう言っても良い。
どうだろう。
幾何学的な立体なので、スッキリフラットに塗られていた方が良い。
それを強調するような。
正反対の有機的で茫洋とした色。
不透明色を重ねて塗って焼き直そうか、やはり検討したい。
という気持ちは依然としてある。
感覚を理屈でねじ伏せるのは難しい。
実際手にしたヒトに聞いてみたい。
中には真っ白で当たりのヒトもいるが。
しかし、とっても形体が気に入っていて、色が想定外だったものは、ちょっと諦めきれない。
置く場所で落ち着き馴染めばよいが。
そうでなければ、、、。
なんとかしよう。
なんとかしましょう。

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