Alice in Wanderland を観て

2010年
アメリカ
ティム・バートン監督
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』原作
実写とモーションキャプチャによる。
ジョニー・デップ、、、マッドハッター
アン・ハサウェイ、、、白の女王(ミラーナ)
ミア・ワシコウスカ、、、アリス・キングスレー
リス・エバンス、、、ザニック・ハイトップ
ヘレナ・ボナム・カーター、、、赤の女王(イラスベス)
ジョニー・ディップ繋がりで、こっちも観てみた。
いつものジョニーだ。相変わらずの芸達者。ここでは、マッドハッター。
ゴジラ好きで広く知られるティム・バートン監督。
アリスはミア・ワシコウスカ。多くの有名女優が志願するなか、役を射止めただけのことはある、確かな個性のある女優だ。似たようなヒトが思いつかない新鮮さがある。
白の女王が、アン・ハサウェイ、最近だとレ・ミゼラブルであらゆる賞の助演女優賞を総めしていたのが記憶に新しい。大変お茶目な役作りをしている。
赤の女王は頭がデカすぎて特殊メイクもすごく、もはや誰だか分からない。が、経歴の華々しい英国での知名度は極めて高い、大英帝国勲章も受けているヘレナ・ボナム・カーター。
後のCGキャラもよく出来ている。チャシャ猫、双子、青虫、、、。
そして何よりなのが、子供に見せられる内容。
それなりに分かって楽しめる映像。
であること。
これはすごく大きい。
これは貴重な映画だ!
二つのアリス、不思議の国、鏡の国の続編のアリスの冒険を描くという設定である。
このアリスは、預言書に「救世主」と記されていて、ワンダーランドを赤の女王の支配から救う役になっている。
アリス特有の知的遊びはなく、言葉遊びもあるが瑣末なもので、モーションキャプチャ・3Dによる画像の楽しさを見せる映画である。
アリスは監督の言うように「一つのカルチャーである」から、もう自由に作ってよいという捉え方がある。
確かに、映画だけでも「何とかアリス」は沢山ある。
名前だけアリスだが、どこがアリスだか分からないものもある。
この映画はこれまでのアリスから見ても少し成長したアリスの姿を綺麗にそれらしく楽しく見せてくれている。
絶えずアリスは、ここに居ることを夢だと思おうとするが、実際に13年前に訪れた記憶が、夢として残っていただけであった。13年ぶりに実際にワンダーランドに戻り、大きくなったり小さく縮んだりを繰り返しながら、スリリングな冒険をする。
やがて預言書を受け容れ、赤の女王の支配を終わらせるため、敵の怪獣と闘う。
戦闘シーンもよく出来ている。
ミア・ワシコウスカもほぼ新人ながらテンションの高い彼女ならではの絵を作っている。
続編があるとか聞くが大いに期待できる。

このワンダーランドは赤の女王の支配の元、異形の者たちの謀略や動物の虐待など暴力的な場面も描かれているが、それらの話が圧倒的な画像処理で、昇華されている。
新しい情報量に達した画像世界は、観念・価値観も変質させる次元をもつことが分かる映画だ。
所謂、ストーリーだけを読んでも掴めない世界である。
現実に戻った、いや、穴から這い出た二の腕に相変わらず、引っかき傷のあるアリスは、極東貿易を提唱し意気揚々と商船に乗り込む。ある意味、奴隷制といい植民地支配といい、イデオロギー的見方に落ち込めばそれまでだが、映像作品としての強度がそれを救っている。
異形の世界であったが、その中に親和的に溶け込み、ヒロインとしての華を打ち出せるミア・ワシコウスカには未知の魅力を感じた。
ヘレナ・ボナム・カーターとジョニー・ディップについては、もはや何も言うことなどない。