chocolat やはりショコラは最強♡

Chocolat
2000年
アメリカ
ラッセ・ハルストレム監督
ジョアン・ハリス小説『ショコラ』原作
ジュリエット・ビノシュ 、、、ヴィアンヌ
ヴィクトワール・ティヴィソル 、、、アヌーク
ジョニー・デップ 、、、ルー
アルフレッド・モリナ 、、、レノ伯爵
ヒュー・オコナー 、、、アンリ神父
レナ・オリン 、、、ジョゼフィーヌ
キャリー=アン・モス、、、カロリーヌ
ジュディ・デンチ、、、アルマンド
やはり、”チョコレート”という映画が悪いものであるはずがない。
大変綺麗な素晴らしい映画であった!
お伽話風で、時代設定がよく分からず、箱庭的な村に人形のような登場人物がそろう。
そこは北風が吹きすさび、船着場もある。
模型のような街に、他所者もやって来るのだ。
しかし排他的で厳格な風習を持つ村長や村人はそれを受け入れたがらない。
特に村長は村をまとめることに何より躍起になっている。
まとめるための排他的な掟とくに教会をコントロールして。
そこへ北風に乗って南米にルーツを持つ本格的なチョコレートを作る母娘がやって来る。
彼女らはchocolatを広めるために宿命的に北風と共に放浪する。
海賊(ジプシーか)もやって来る。音楽というこれまた伝染性の高いメディアも引っさげ。
スウィーツも音楽も、どちらも秩序の外への誘惑(魅惑)者の象徴として。
秩序は他者を何より恐れる。
しかし、いかに教会ー宗教の力(超自我)を利用しても、チョコの美味と音楽の魅力の次元に勝てる訳はない。
chocolat店を開いた母娘に辛く当たっていた村人も、彼女がその人にぴったり合ったチョコを出すことに惹かれてゆく。
やがて村人は、身を解放する正しさを知る。
そして自分らしく(自律的になり)自らの強さを発揮していく。
I know What I like.
それを押し止めることは出来ない。
チョコの美味しさは普遍的なのである。
ついに村長もチョコの美味しさに平伏す。
美味しさに感動して泣く。当たり前だ。断食なんぞしているから、なおさらだ。(しかし悪気はなく憎めない)
そして若い神父は目覚める。
「わたしは神の奇跡的な復活を語れば良いのでしょうか?違います。神のそのような神性について語るよりも、人間性について語りましょう。彼がどのように地上で暮らしたか、その優しさや寛容についてを。わたしはこう思います。人間の価値とは何を禁じるかでは決まらない、何を否定し、拒み排除するかではありません。むしろ何を受け入れるかで決まるのでは?何を創造し、誰を歓迎するかで、、、。」
彼ももうお決まりの教会の脅し文句や村長の口パクオウムをやめて自分の言葉で語り始め、村人たちを感動させている。
ホットチョコを飲んだからだ。
村長は祭りでジュリエット・ビノシュにとても晴れやかな笑顔を送る。
ビノシュも暖かい笑顔で返す。
これがホットチョコの力だ。
また、北風が吹くが、風はまだそのときではないことをビノシュに告げる。
母娘はこの村を離れようとしたが、この村人たちの暖かさでここに留まることを選ぶ。
ジョニー・ディップも何故かまた帰って来る。
彼らもまた放浪・遍歴から解放される。
(放浪に縛られなくなる)
チョコは何者をも解放する!!
甘く溶かしてしまう。
なんという素晴らしい♡
ジュリエット・ビノシュがあまりに適役で、他の女優が思い当たらない。
まさにチョコレート映画にぴったり、の笑顔である。
村長の憎めない伯爵も若い神父も絵を描く少年もそのママもおばあちゃんも、DVに遭って転がり込んで来た女性も皆、素敵だった。
そうあの犬連れのおじいちゃんも。
言うまでもなく、素顔風のジョニー・ディップも、他の映画の彼よりよかった。
ただ、一人だけあの特異な(グリューネヴァルト風な)絵を描く少年の存在は、特別他から浮き立っていた。
温厚だが強烈な個性を秘めた彼は誰なのか?
まさか監督(子供の頃の)?