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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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ダニエラという女

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COMBIEN TU M'AIMES?  HOW MUCH DO YOU LOVE ME?
2005年
フランス

ベルトラン・ブリエ監督・脚本

モニカ・ベルッチ ダニエラ(娼婦)
ベルナール・カンパン フランソワ(心臓の悪い男)
ジェラール・ドパルデュー シャルリー(ダニエラの腐れ縁の愛人)
ジャン=ピエール・ダルッサン アンドレ(フランソワの主治医)


この映画をDVDで観たとき、まずはこりゃダメだ!わたしは受けつけない類いのものだ。
と感じた。
話もそうだが、主演女優も全く共感できないタイプの女優であったからだ。
しかし、うんと距離をもって観てみると、これはルーリードの「キャロラインの話」でもあるのでは?
と、感じられるところはあった。
もちろん、あれほど退廃的(文学的)で悲劇的ではないにしろ、ぼんやり・あっけらかんとしたプチ・キャロラインの話だと気づく。

なんというか、あの主演女優演じるところの娼婦が、いわゆるお金と元締めに束縛された娼婦であることと、尊ばれ自立した女性として解放されてあることとの間で、おおきく揺れている存在である点において。
もっと言えば、身体的にどうしても娼婦なのだが、精神的に愛される女でありたいとも強く願っていてその葛藤する自分のコントロールが出来ないで麻痺状態にいること。
自分を冷静に分析したり、真摯に悩むのではなく、漠然と問題は把握しつつタバコと酒の助けも借り、荒涼とした気分のうちにいつづけること。
それらにおいて、プチ・キャロラインだ。


スピードをやり、真っ逆さまに落ちてゆくキャロラインまではいかず。

しかしその相手役の男性は、あれほど心臓が弱く頼りなかったのに、何故見違えるように逞しくなっていったのか分からない。男としてあのジェラール・ドパルデュー演じるマフィアのボス?にも対等以上に余裕を持って渡り合っている。
普通なら相手にされない娼婦の彼女と暮らしたくらいのことで、何故あんなに自信をつけるのかが全く不明である。
おまけに心臓も文字通り強くなっている。友達の医者は娼婦の彼女の診察をしただけで心臓麻痺で死んでいる。彼も心臓は弱かったのか。単にそういうこともある、といった意味もない運びに過ぎないだろう。



キャロラインの相手、ルーリードはもう尽くしてもどうにもならない、ということで、諦めてしまう。
心身ともども疲弊し尽くして。
そうだろう。
もう彼女のために時間を費やすことは止めた。
彼女がリストカットしたのは、他の誰かのせいかも知れない。
カタストロフ。
そして余韻。

アラスカはあまりに寒い。 アラスカはあまりに寒い。  アラスカはあまりに寒い。

もはや次の日は、ない。



しかし。


彼らは友達との大騒ぎのパーティーの翌朝、生暖かな陽の射す部屋で、またぼんやりした朝食を摂るのである。
考えてみれば、此方の方が普遍的・現代的に麻痺した光景だ。
当分このカップルはこのような朝食を来る日も来る日も摂り続けるのだろう。
その光景はわれわれの食卓での姿に重なってゆく。
ひとつ。
またひとつ。と。
偏在する光景。
しかしひたひたとエントロピーは増大してゆく。

やがて忽然と立ち枯れするように、どちらも椅子から崩れ落ち。
あとには、、、。
生暖かな黄色く差し込む光だけが微細なチリの舞う姿を映している。


そんなもんだ。


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天使の肌

the dark morning
PEAU D'ANGE
ONCE UPON AN ANGEL
2002年
フランス

ヴァンサン・ペレーズ監督・脚本

モルガーヌ・モレ 、、、アンジェル(家政婦の少女)
ギョーム・ドパルデュー グ、、、レゴワール(帰郷した青年)


一口に言って、崇高な映画でした。
モルガン・モレの涼やかで凛とした、自然な演技は素晴らしい。
そしてこのような切ない物語には適役であったと思います。


モレ演じるまだ少女のような若い女性は、貧しい実家から口減らしのような形で、離れた町へ住み込みのメイドに出されます。
真面目だが不器用で素直な彼女は、その町で母親の葬儀に戻った青年と偶然出遭います。
青年は癒えない蟠りを抱えており、愛情を素直に受け入れることができません。
豪雨の夜、運命的に二人は結ばれます。
一夜限りでの別れになりますが、彼女はその後も一途に彼のことを思い続けます。
彼女もその家を飛び出し洗濯の仕事などをしつつ、紆余曲折しながらも彼が製薬会社に勤めていることを知り、
身近な場所に身を寄せようとします。

そんな中で、彼女は殺人事件の共犯者扱いされて投獄されることとなります。
そこで彼に助けを求め、やっと面会が叶いますが、彼はすでに会社での地位を築き社長の娘と結婚を果たしていました。
彼女はそれをやさしく許し、将来を気にする彼に、「いまを生きること」を諭すのです。
刑務所で知り合った教会の尼僧たちと花を植えるしごとを一心に続け、やがて冤罪から解け彼女は釈放されます。
神を嫌う彼女ですが、自由の身になった後も自ら教会に残り、花を育てる奉仕を続けます。
自分が植えた花は見事に満開になりますが。彼女はまだ若くして不慮の事故で帰らぬ人となります。



豪雨、雷、爆音のポップミュージック等も鳴りますが、
過剰に煽るような刺激的演出は一切なく、物語は淡々と静謐のうちに展開してゆきます。
荒涼感と寂寞感はあっても一種宗教的な希望の光が穏やかに射しており全体のトーンが統一されています。
それに絡む音楽も効果的で破れ目が見られません。

主人公の女性は、文字通り「野の花」のような目立たぬ清楚な女性でした。
しかし慎み深く高貴で忘れがたい魅力をもった女性であったことがつくづく思い知らされます。

結局彼も彼女のことを忘れることはできませんでした。
「強い林檎の香りは記憶の底に残る。」
彼女のなにも求めない無償の愛に触れ
愛を受け入れることの出来ない彼の心が癒されていたのでしょう。
いもじくも彼が彼女に遭ったときに放った「君は尼僧のようだね」という言葉のごとく彼女は聖母のような女性だった。

彼は母からの愛を素直に受け入れることができ、母の墓に花を手向ける。
そしてエンドロール、、、。


彼の名前を小声で呼び、亡くなるときの彼女の笑顔があまりに切ない。


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