桜がいきなり咲いた。

桜がいきなり咲き、近辺の街路と公園がパッと明るくなった。
TVを見ると、スカイツリーが臨める場所で桜のお花見して1杯なんてことを勧めているものがあったが、興味ない。
外に出ればどこにでも桜が咲き誇っている。
これらの桜を見ないでは勿体無い。
こういう時は車で出かける楽しみも増える。
市役所前道路に長くピンクのトンネルができ、車が柔らかい光に包まれるようで運転していても気持ちがいい。
いつもより速度を抑えてなるべく時間をかけて通り過ぎる。
用を足して帰るときも、わざと桜街道を多く潜れる道を選ぶ。
すぐに桜は散っていまう。
風に
雨に
アスファルトの上に濡れて積もった桜を見ることは悲しい。
そんな去年の記憶を重ねながら車を走らせる。
これが土の上だったら、「満開の桜の木の下で」を想わせる場所になる。こともある。
深い山道であったら、かなり危険だ。
ずっと続く満開の桜並木。
ときおり何かの意図を感じるほどの強風が吹きすさび、ザーッと桜の花が波のようになびき、花弁が渦を巻いて舞う。
それが断続的に続き、ついに旅人は発狂に至る。
桜の木の下には血に染まったヒトの頭部が埋まっている。
髑髏が次々にゴロゴロ転がり出る。
こんなもの、ついさっきまで視界には無かった。
桜色の世界に、いつしか新鮮な真紅の血が、いたるところから吹き出しているではないか!
もはや目の焦点が定まらない旅人は桜の花びらの渦のように舞い散る中、声にならない叫び声をあげ、走り続ける。
そんな白昼夢に浸ってしまいそうになる。
この時期は体調も不全になる。
桜を外部に感じながら、すべての戸を閉め、暗い中でひたすら眠りたい。
「アフリカの印象」を書いたレーモンルーセルのように。
鮮明な夢想を生きたい。
わたしは、ここのところ、ずっと左手親指が腱鞘炎になって使い物にならない。
何故そうなったのか原因は分からない。

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