
都知事選は日本人好みの物語選挙となりそうで、安部vs細川のNHK大河ドラマチックな闘いに、わくわくしている向きも多いのではと思います。細川側は原発是非を争点にしようとしていますが、それは良いことだと思います。
私は原発は止めてほしい派ですので、東京から変えて行ってもらうのは大変意味があると思っています。
ぜひ、お願いしたい。北海道の貴重な例もありますし。
ここでグリーンエネルギー化の推進に当たって前提として押さえて置くべきことのいくつかを分かる範囲で列挙しておきたいと思います。あくまでも断片的なものです。
まず、最初に原発はCO2排出による地球温暖化、気象異常を引き起こす化石燃料に対する代替のクリーンエネルギーとして期待され登場しました。最初のグリーンエネルギーこそ原発でした。(しかし、今現在、地球がCO2により、温暖化している事実はありません.がここでは一般的な論拠に従い話を進めます)
ですから、原発を止めて火力発電だなんてとんでもない逆行となります。ここはまず前提です。
原発に対して語られるのは、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電、水力発電、風力発電となります。
スティーブ・ジョブスにも多大な影響を与えた「ホールアース・カタログ」のスチュアート・ブランドが、原発推進派に転向したことは、世界に衝撃を与えました。今でいえばグリーンエネルギーを提唱する尖鋭的なエコロジストでその後のグリーンピースや多くのエンバイロメンタリストを排出させた中心人物です。それが一言でいえば「理想と現実のギャップを埋めてCO2の大気への放出を止めることが可能な唯一の技術は原子力である」という認識にたった転向です。それだけ地球環境(大気の自己浄化作用)がのっぴきならない事態に追い込まれているという科学的データを基にした考えだとは思いますが、エコロジストたちを唖然とさせたことは事実です。
吉本隆明氏も最期まで原発推進派でした(その細かい理論はここでは省きます)。
少なくとも、単に「放射性廃棄物の処理は解決困難だから原発には反対だ」的な、なかばヒステリックに部分的な面に極度に反応した反対運動で事態が変わるようなことはまずあり得ないことの確認はしておくべきでしょう。
とりあえず原発に対するグリーン電力のメリットとデメリットを挙げておきます。
グリーン電力とは、風力や太陽光や地熱などの再生可能エネルギーで電力をおこします。再生可能エネルギーは原理的には枯渇がなく、いつまでも利用可能なしくみによるエネルギー源をさします。
メリットとしては、
①二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量が少ない。②枯渇性エネルギーにくらべて有害物質の排出量が少ない(地熱にはイオウ分の影響がある)。③環境への影響が小さい(風力発電には低周波騒音や鳥類への影響がある)。④放射性廃棄物を出さない。⑤小規模分散型に設置できるので、柔軟に建設できる。⑥移設、廃棄、リサイクルが比較的容易になる。⑦エネルギー供給地と需要地が近接できるので地産地消になる。⑧地域の気象条件や地域資源を有効に活用できる。⑨農業との共存にすぐれている。⑩電力だけでなく熱などの廃棄されがちなエネルギーを有効活用できる。⑪修理が比較的容易で、オルタナティブ・テクノロジーが促進できる。⑫送電網に接続するタイプでも独立タイプでも、両用できる。⑬中間搾取が少ない。⑭災害やテロなどの有事に強い。⑮安全性が高い。⑯兵器などへの転用 が少ない。⑰立地選定から発電・廃棄まで、差別的な要素が少ない。⑱途上国の技術移転にふさわしい。
デメリットとしは、
①気象条件に左右され、発電量が不安定である。②エネルギー密度が低いので大きな面積が必要になる。③発電コストが高い。④資源が偏在して立地適性が限られる。
以上の点が挙げられます。
グリーン電力システムについての様々な試みや理論は沢山書籍でも紹介されているので、とても斜め読みすら叶いませんが、ただ発電テクノロジーと経費、作っておしまいというものではなく、新しいグリーンテクノロジーシステムとして大きく広げる必要があります。
つまりこのメリットとデメリットの改善策を掲げたところで、実際に経済・雇用の創出等の問題がここに繰りこまれなければ、事態を進めることはできないでしょう。
有望な例としては、いまアメリカで推進されているグリーンカラー・エコノミーという経済と雇用を発電事業のなかで同時に考えて行く運動が注目されています。
それは、グリーン電力の推進を元に、自然環境の保護とその質を向上させること、温室効果ガスと有毒物質の排出の削減、ハイブリッド車や屋上庭園の波及、エネルギー輸送手段の改善などをプロジェクト化することを提唱しています。
それと同時に、活動にかかわるグリーンカラー・ジョブという仕事と雇用の創出を見出しています。そこに働く人はグリーンカラー・ワーカーとなります。ちょっとやってみたい気もする仕事です。
特に日本は以前から官僚と政治家と産業界をパイプでつながなければ何も動かない国と言われます。
ここには有効な経済的システムの裏付けが不可欠でしょう。
単にグリーン電力が安全だ!というだけでは何も動きません。
「放射性廃棄物の処理は解決困難だから原発には反対だ」であとはだれかに丸投げはやはり心もとない。
葛巻では畜糞バイオマス、木質バイオマスのガス化による発電、ペレットボイラー、ゼロエネルギー住宅にもとりくみ、地域における再生可能エネルギー施設を16カ所にものばしたそうです。お釣りの来る電力エネルギーの創出です。
今後、市民風力発電所建設をコミュニティ・ビジネスにしていく方針をとっており、現在日本におけるもっとも進んだモデルでしょう。
外国を参考にする前に日本でも先進的な取り組みがすでになされています。
東京が取り組んでできないはずはない、のでは。それにとても面白いと思いますが。
エネルギーの形態を変えるということは、単に原発をソーラー等と挿げ替えるというレベルに留まらず、社会変革を伴うものになるということ。社会の諸問題を取り込んでゆく大事業となる必然性をもち得ます。
ともかく環境の異常・悪化が進行しており、地球のホメオスタシスが保てないとなると、スチュアート・ブランドのように動く人も出てくるはずです。でもこれは単なる現状維持に他ありません。原発の脅威は変わらない。
出来るだけ早くグリーンカラー・エコノミー的な取り組みを日本的な形で進められないか、と考えます。
原発問題だけを取り上げないで、と言っている向きは、この問題をどのように把握しているのか、です。
最期に面白い書物があります。
『17億年前の原子炉』(黒田和夫)
ウラン鉱床が自然に核反応して原子炉になったという話です。
20億年前にすでにウラン235の同位体が5パーセントほどに達し、その一部がアフリカのオクロ鉱床で臨界を迎えた!
こんな時期にすでに地球上に原子炉があったとは。フェルミの原子炉より早く。
風力イメージ?17億年前の原子炉―核宇宙化学の最前線 (ブルーバックス)
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