電子書籍についてひとこと

最近電子書籍を自ら出す人が増えているそうです。Web上でひっかかり、ちょっと気になったのでそれについての若干の私見を述べるつもりです。
電子書籍というと、私は昔から青空文庫などで版権フリーとなった文豪の本を、携帯やモバイルノートで読んでいました。有島武郎や田山花袋や島崎藤村に菊池寛それから国木田独歩、梶井基次郎、横光利一、坂口安吾、芥川龍之介などなど、通勤の行き帰りに時間の無駄はなかったと思います。身になったかどうかは分かりませんが、本当に濃密で圧倒的な世界を堪能しました。お陰で何本も電車に傘を忘れたものです。それはさておき。
これからはどんどん個人レベルで電子書籍を出すべきです!という内容の話をWeb上で力説している方々のビデオによると、紙媒体(書籍)のように枚数書かなくても、素人でも、本になるそうです。どういうメカニズムでできるのか分からなかったのですが、競合相手がほとんどない市場なので、本にすればたちまち売れると言います。
コンサルティングをしている方のようで、詳しい話はそれに参加した人にのみ教えるということらしく、概要を述べていただけのようですが、なんでも書籍の一般的な値段に比べ、電子書籍は缶ジュース一本分の値段で購入でき、在庫も存在しない。スマートフォンで読めるため書籍より手軽でこれからの需要が大いに見込める。3年間くらい経験した事柄があればすぐにそれを元に、ほとんど書けなくても本はできてしまう。自分のブランディングに役立つ。はじめる人は出てきたが、まだまだ参入者が少ない。やるのなら今のうち、ということです。
感想を絡めてわかる範囲で確認だけしておきます。自分にとっての確認でもあります(笑)。
やはりじっくり沈思しながら読み進める本については、ずっしりとした書籍を机上において読みたいです。それ以外の読み方はあまり想像できません。大判の写真集もそうです。あの大きさが絶対必要となります。(写真となりますと光点か網目印刷か銀粒子そのものかの問題も出てきます)
やはり、電子書籍となると、小説・物語の類とハウツー物と旅や観光に役立つ特集物や芸能関係等ムック本として出回っているものならそのまま移行してもほぼ成り立つ気がします。ですから、例えば、温泉マニアでその筋の大家の書いた大きな出版社から出ている書籍が2000~4000円位の間で販売されていたとすれば、200円でそこそこの情報が得られれば、それで用を足そうという人がいても可笑しくはないです。その市場に需要の目が一般的に向いてくれば活性化していくはずです。買う人も、名もない、しかし名を売ろうとしている人の書いた温泉旅の案内であっても、端から専門家の書籍のような充実した内容は、その価格からも期待はせず割り切っています。
その点は問題ないのですが、スマートフォン上で読むからには、当然同じ画面でWeb情報も確認できます。最近大変充実してきたキュレーションサイトとの競合はどうなんでしょう?200円とは言え購入したものには、伊香保温泉の近くのこの価格帯で泊まれるホテルが3つしか載っていなかったが、キュレーションサイトには12も載っており情報もずっと濃かったとか十分にありそうなことです。また、それを簡単に比較検討できるユーザーインターフェイスがその電子書籍に搭載されているか、調べ物の本であればその機能は必須です。Webサイトはその点内部リンクが充実しており、まとめて表示も簡単にできるようになっています。もしそれがなければムック本の方がローテックであるがために、指でページをまたいで押さえつつ何ページにもわたり確認できるなど、大変使いやすいです。それがあるため私はどんな類のジャンルであっても「本」はなくならないと思っています。紙は偉大なメディアです。そのフェティッシュな魅力から言っても、、、。
これはあくまでもユーザー側から見たことです。電子書籍を出す側から言えば、今更ブログ等で記事を書いても検索上位に表示されるようなサイトは到底できない。ならば、競合の薄い場所で兎も角、名前だけでも売っておきたい、となるのでしょうか?そこでブランディングして集客に結びつけたいと。内容は兎も角として。
競合のないうちは、ある程度それはできるかと思いますが、市場が活性化してくれば、大手企業や大手出版社が圧倒的なコンテンツを引っさげて参入してくるのは目に見えています。そうなると素人本等一瞬にして吹き飛んでしまうはずです。その道のライターを使い同価格で来ますから。
ひとつ、例のコンサルティングの方が言っていた秘密の方法、書けなくても身近な経験さえあれば本が、たしか3万字ほどの本が、できてしまう!ということの具体的な内容が分からないので興味は覚えるのですが、やはりわたしたちが「もの」に求めるのはあくまでも、コンテンツの質です。それ以外にはない。
本当に良いものなら買いますが、そうでなければ買いません。これははっきりしています。良いコンテンツをくれた人のことは忘れませんが、そうでなければすぐに忘れ思い出しもしません。すべては価値の問題です。どうなんだろう?どういう内容のものができるのだろう?まさか自動ツールで書くわけではないでしょうし。ブランディング?ありえない。
なんであっても、すべてはコンテンツの質で決まると思います。

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