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GOMA28

Author:GOMA28
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あなたになら言える秘密のこと

The Secret Life of Words001

The Secret Life of Words
2005
スペイン

イザベル・コイシェ 監督・脚本

サラ・ポーリー、、、ハンナ
ティム・ロビンス、、、ジョゼフ
ハビエル・カマラ、、、サイモン
エディ・マーサン、、、ヴィクター
スティーヴン・マッキントッシュ、、、シュリッツァー医師
ダニエル・メイズ、、、マーティン
ジュリー・クリスティ、、、インゲ
レオノール・ワトリング、、、ジョゼフの友人の妻


「言葉に秘められしもの」

凄まじくヘビーな運命を背負わされた女性の物語。
どんな経験を持とうと、生きているのなら生きねばなるまい。
わたしも生きるしかないので生きているし、敵は全て完膚なきまでに叩き潰していくつもり。
(基本、激しい悪意と害意と殺意しかない)。

The Secret Life of Words002

ハンナは戦争で残虐の限りを尽くされ親友を含め周囲の多くの人の死の中で辛うじて生き残ったが、、、
自らが生き残ったことを恥じ、たった独りで生きて来た。死と隣り合わせに生きて来たその延長であるかのように。
確かに独りでこころを閉ざして生きる以外に生きる術はなかっただろう。
職場でも誰とも話さず、時間割通りの日常を送り、余暇など持たずに大変質素な食事を摂っていた。
舞台はイギリスである。彼女は外国人(クロアチア人?である)。

ハンナは4年間無遅刻無欠勤で務めた会社から一か月間の休暇をとるように言われる。
上司はパンフレットまでよこし強制的に何処かのリゾート地で休むことを言い渡してきた。
そこで、海洋の海底油田掘削施設で大怪我を負い酷い火傷で目の見えない状態のジョゼフの看護役に就くことに。
リゾートなど論外であったのだ。彼女にとり。
時折、彼女はカウンセラーに電話をするが一言も喋らずに切る。しかし彼女からだという事はカウンセラーには分かる。

The Secret Life of Words004

掘削時に事故で大火事となるが自ら火に飛び込んだ友人を助けようとしてジョゼフはその姿になったという。
彼はその友人の妻に恋をしてしまった結果であることを心から悔いていた。
一方こころを閉ざしていたハンナも少しづつ自分のことを話すようになってゆく。
人を助けることで少しでも解れるものがあるのだ。
彼の目が一時的に見えない状態であったことも彼女を解放する助けとなったか。

The Secret Life of Words005

彼女はカウンセラーの検診をずっと受けてはいたが電話には一切出ることは無かった。
喋らないのだ。
だが、ジョゼフが小出しに自分のこころにしまっていた秘密を騙って行く。
自分が海で働いているのに泳げない事、少年期に父親に海に投げ込まれたのに助けるべき父も泳げなかった事など、、、。
更にジョゼフが親友の妻に送った本の内容を語り、それが今のふたりの現状に重なる物語でもあり、彼女もこころを開いて行く。
彼女はついにカウンセラーにかつて話した虐殺の経験の一部を語る。

The Secret Life of Words003

この悲惨さ残虐さは彼にとり想像を超えるものであった。
(まず普通、他人に話せるような内容のモノではなっかった)。
普段はお喋りのジョゼフも一言も返せない。
ただ彼女を抱き寄せ泣くばかりであった。

ヘリで運ばれ彼は病院に入院し付き添った彼女は無言でその場から立ち去る。
ジョゼフは漸く視力は戻り、大火傷の傷も癒え次の仕事を選ぶときになっていた。
当時の他の仕事仲間はチリの掘削現場に派遣されていたようだ。
ジョゼフはハンナを探し、彼女のカウンセラーと逢う。
そしてハンナと共に生きたいということを告げる。
カウンセラーはハンナの告白のビデオがありそれを見ることが出来るか彼に聞く。彼はそれを見ずに彼女に返す。
ジョゼフは彼女にはわたしが必要であり、わたしも彼女が必要だと宣言する(淡々と)。
(この確信はどこから湧いて来るのかは謎に思えたが、彼は揺ぎ無い気持ちであったようだ)。

The Secret Life of Words006

職場帰りのハンナをジョゼフは待っていた。
彼女の置いて行ったバッグを渡し、石鹸を一つ貰ったことを告げる。
彼女はバッグを受け取り、足早に帰ろうとするが、彼は共に暮らそう、今すぐにと謂う。
そんなことをしたらわたしは泣いてその涙で部屋は一杯になると返す。
それならわたしは泳ぎを習い泳ぎ切ってみせると謂う。

家には彼女がキッチンに寛ぎ、外から2人の子供が楽しそうに走って来るのが窺える。
そんなエンディングであった。
残虐な体験内容がショッキングであったが、実際に行われていたのであれば、伝える意味はある。
最後はともかく、久しぶりの共感可能な映画であった。



UーNextにて









愛欲のセラピー

Sybille001.jpg

Sybille
2019
フランス

ジュスティーヌ・トリエ 監督

ヴィルジニー・エフィラ、、、シビル(セラピスト、小説家)
アデル・エグザルコプロス、、、マルゴ〔マルゴット・ヴァシリス〕(女優)
ギャスパー・ウリエル、、、イゴール(俳優)
ニールス・シュネデール、、、エディト
ザンドラ・ヒュラー、、、ミカ(監督)
ロール・カラミー、、、エディス
ポール・アミ、、、エティエンヌ
アルチュール・アラリ、、、カッツ


「愛欲のセラピー」なんていう邦題にすればウケるとかこれを付けた奴は思ったのかね?
引くわ。アホが。ともかく下品で趣味悪。

Sybille002.jpeg

つまりこのシビルという女性、自分が他人のセラピーをしつつ、自らもフラッシュバックで過去の恋愛体験などを咀嚼し自己セラピーも行っていたのね。
別れた彼氏ガブリエルとの恋でその時出来た娘もいる。

セラピスト続けていると小説書く時間が取れない。小説家としてやって行くことに決めたのだが。
セラピーは辞めようとしたのだが、どうしても切れないクライアントはそのまま継続して診ている状況。

そのなかのひとり、マルゴという売り出し中の映画女優の件は難航していた。
彼女は言い寄られた共演俳優と関係を持ってしまい、妊娠していた。
しかし彼女を妊娠させた俳優は監督ミカの彼氏なのだ。監督は彼との子供を欲していた。しかし監督よりも先に浮気相手との間に出来てしまったのだ。何でまたよりによって、と思うが、妊娠していたら撮影自体にも影響が出よう。
何でおフランスの人々は後先考えずに恋愛に浸るのだろうか、、、別におフランスに限らないが、、、。
ここで産んだりしたら女優生命も危ない。監督に殺されかねない。で、悩んでいた。
勝手にしろ、とわたしなら言い放つが(爆。

シビルもやってられないわ。という感じで、どうするか自分で決めなさいと突っぱねていたのだが、再三再四に渡り縋って来る。
現場でもどうにも演技に集中できなかったり、自殺未遂をして疾走してみたりで、撮影が予定通りに進まず混乱をきたしていた。
限界に来た監督に撮影現場まで来て、彼女を何とかしてほしいと懇願されては行かざるを得なくなってしまう。
未だこの時点で、手の焼ける新米女優マルゴが自分の彼氏の子供を身籠っていることは知らぬのだが。
相当デンジャラスな冒険ではないの、、、わたしなら絶対行かない。無理。
撮影場所は、孤島ストロンボリである。この場所わたしにも聞き覚えがある。確かイングリッド・バーグマンの有名映画のロケ地でもあったな、、、などと呑気に構えている訳にはいかなかった(ある意味当然)。

Sybille003.jpg

シビルはこの地でかなり上手くマルゴを演技に乗せ、監督を安心させついでに監督の悩みも聴き両者の信頼を得る。
そして監督がマルゴに業を煮やして、船上での恋愛シーンに呆れ海に飛び込み島に泳いで帰ってしまった後、シビルがマイクを付けそのシーンを残ったスタッフと共に撮ってしまう。この場面の出来に監督も満足。更に信頼を深めることに。
この監督も何とも言えぬが、、、。

この小説家兼セラピストも何と言うかマルゴと同様の体質なのか、おフランス人特有の恋愛感覚なのか、酔ったところで浜辺を歩いたらイゴールに誘惑され関係を持ってしまう。このイゴールこそ問題の種ではないの?
その件で悩み母娘関係でトラウマを持ってしょっちゅう拗らせに来る姉に電話で相談するのだが、例のマイクがまだ生きていて、撮影中の監督、スタッフに知れ渡ってしまうことに。
監督は呆れ、マルゴはもうぶち切れてホテルのシビルの持ち物を破壊して大暴れ。
彼女は直ぐに島から引き返す。
それから二年だったか、彼女の小説は発売される。
何とあの時のいざこざをもとに書いた小説らしい(大丈夫か)。
この頃にはマルゴとも和解しており彼女も買って読んだという。自分だと分る部分については嬉しいと述べていた。
もう当時の事は、対象化して整理したのだろう。
姉は読んだといっていたが、明らかに読んでいないことがはっきりしていた。ただの拗らせ女。

Sybille004.jpg

最後には「私の人生はフィクション。好きなように書き換えられる」とか開き直っているシビルであったが、、、。
幼い娘に「私、パパに似ている?」、「嫌いじゃない?」などと思いっきり切ない気持ちを味合わせて来たことを確認し、娘を抱き締めて終わり、、、。

何とも、、、そんな大した小説では無いなという事だけは分かる(笑。
主演女優はふたりともとても綺麗であった。
アデル・エグザルコプロスを久しぶりに観たが、もっと出番が欲しい。





U-Nextにて











ヘルレイザー2と3を観たが

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Hellbound: Hellraiser II
1991
トニー・ランデル監督
ピーター・アトキンス脚本

アシュレイ・ローレンス、、、カースティ・コットン
クレア・ヒギンズ、、、ジュリア・コットン(義母)
ダグ・ブラッドレイ、、、魔道士ピンヘッド./エリオット・スペンサー大尉
ケネス・クラナム、、、フィリップ・チャナード博士
イモゲン・ボアマン、、、ティファニー(自閉した少女)
ショーン・チャップマン、、、フランク・コットン(叔父)
ウィリアム・ホープ、、、カイル・マクレー(助手)
バービー・ワイルド、、、魔道士フィメール
ニコラス・ヴィンス、、、魔道士チャタラー
サイモン・バムフォード、、、魔道士バターボール

カースティーは事件後、精神病院にいる。周囲は彼女に耳を貸さない。夢の中で父が彼女に助けを求める。
そんななか、何と精神病院の院長チャナードは、キューブパズルの研究をしており、自閉少女ティファニーを使ってパズルを実行し魔導師を召喚してしまう。自分でやらなければ犠牲にならないと思ったか。
それから、4人の魔導師はほとんど事態を認識していない。前もそうだったが。
ここでも彼氏とフランクはちょいと出て来るが、例の義母のジュリアがしつこく出て来る(笑。
チャナードが自分の病院の患者を生贄にしてジュリアを蘇らせるのだ。要するに生き血があれば生き返る吸血鬼の類でもあるか。
ここでは、キイアイテムがマットレスである。マットレスに乗った生贄をマットレスに同化?したジュリアが襲い蘇るのだ。
まあ基本的にその後はグチャグチャの展開である。好きにやってというところ。

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Hellraiser III: Hell on Earth
1992
アンソニー・ヒコックス監督
ピーター・アトキンス脚本

テリー・ファレル 、、、 ジョーイ・サマースキル(テレビレポーター)
ダグ・ブラッドレイ 、、、 魔道士ピンヘッド/エリオット・スペンサー大尉
ポーラ・マーシャル 、、、 テリー(ジョーイの協力者)
ケヴィン・バーンハート 、、、 J.P.モンロー(クラブ「ボイラー室」オーナー)
ケン・カーペンター 、、、 ドク
アシュレイ・ローレンス 、、、 カースティー(ビデオテープ映像のみ)


ヒロインの悪夢がかなりのシーンを占める。
そこでのやりとりで事態~関係が分る部分が多い。
地獄から人の血で実体化して暴れている魔道士ピンヘッドとその前の姿であるまともな人、エリオット・スペンサー大尉との闘いにヒロインであるジョーイが絡む形に。
ここでは、ピンヘッドがかなり強いことが分かる。クラブで遊んでた男女全員を様々なやり方で惨殺するのだ。趣味は悪いが、それは前作からの引継ぎで。
新しい魔導師?いや、ピンヘッドの制作した魔物という立ち位置か、が沢山出て来て暴れまくる。
色々グチャグチャしてちぐはぐでもあるが何とか最後にキューブにクリーチャーたちを吸い込ませて一段落。

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基本、もうどうでもよい(笑。

2は、完全に1の続編であったが、3は新キャストで新たな展開?
ではあるが、2はもうハチャメチャで、訳が分からん。何でそうなるのばかり、、、ピンヘッドも本来の目的を3では忘れているような。
3は取り敢えず、2よりは物語がしっかりしてはいたが、ヒロインがどういうつもりで行動しているのかよく分からぬところは2と同様。
2は魔導師がどうのと謂う前に、ヒロインが不思議で何を考えてそういう行動に出ているのか、そちらに戸惑いスプラッター惨劇にも身が入らない。オマケにキューブの使い方(タイミングも含めた)。何なんだか、、、。
一番、何だかわからなかったのが、義母に姿を変え自閉少女を助けるところ。思わず何で?と口走ってしまった。
あそこどういう必然性と意味があったのか、さっぱり分からない。
兎も角、痛い気持ち悪い、ドクドクしい、所謂スプラッター度は、続編程上がっているように思える。
それが好きな人には、このシリーズは美味しいと思われる。

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まあ、どうでもよいか。
そう、1.2のヒロインも3のヒロインもなかなか素敵な女優であった。
でも流石にヒロインが頑張ったところで限界はある。
テリー・ファレルは「スタートレック」に出ていた。

もう観なくてよいね。
そう思った。



U-Nextにて




ヘル・レイザー

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Hellraiser
1987
イギリス


クライヴ・バーカー 監督・脚本
クライヴ・バーカー『ヘルバウンド・ハート』原作
クリストファー・ヤング 音楽

アシュレイ・ローレンス、、、カースティ・コットン(フランクの娘)
アンドリュー・ロビンソン、、、ラリー・コットン (フランクの弟)
クレア・ヒギンズ、、、ジュリア・コットン(ラリーの妻、カースティの義母)
ショーン・チャップマン、、、フランク・コットン (ラリーの兄、カースティの父)
ロバート・ハインズ、、、スティーヴ (カースティの彼氏)
ダグ・ブラッドレイ、、、魔道士ピンヘッド
グレース・カービー、、、魔道士フィメール
ニコラス・ヴィンス、、、魔道士チャタラー
サイモン・バムフォード、、、魔道士バターボール


「ルマルシャンの箱」という立体パズルがキイ・ガジェットとなる。
そのパズルを実行すると快楽が味わえると謂うのだが、魔導師が4体顕われ、肉体は引き裂かれ失われてしまう。
究極の快楽と苦痛を知るそうだ。少なくとも快楽を味わっているようには見えなかったが。
苦痛だけは感じられたが、、、。
そういうの好きな人もいるみたいだし、それはそれでよい。

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まず「ルマルシャンの箱」というのが超然と存在する。
捨てても火に投げ込んでもびくともしないキューブであり魔物がちゃんと回収してはそれを使う人間のもとへ渡って行くようだ。
だが、その箱の由来や背景や目的は分からない。説明となるシーンはほぼないのだ。ただそれを使った者は人間界には戻ることは無理だ。身体が無いのではどうにもならない。

しかしここではラリーと謂う男が無理やり人を殺し血を吸って体を得てゆく。
血を吸い取る生贄男たちはフランクの愛人であるジュリアが誘惑して連れて来るのだ。
干乾びたからだから徐々に骨や肉が付き始め、段々人間の姿に近づき、最後は弟を殺して普通の人間と区別はつかない「弟の姿」となる。
これで良しと思ったところであったが、弟の娘カースティが父が殺されていることを知り、父だと思っていた者が魔物のフランクであることに気付く。

Hellraiser003.jpg

そして父の姿をしたフランクと義母であり魔物フランクの愛人であるジュリアにカースティは襲われる。
しかもフランクとその愛人の義母から逃げる際に例のキューブを持ってきてしまう。
そして天性のキューブ使いであったか、キューブを回して実行してしまうのだ。
お前は「ルマルシャンの箱」で我々を召喚したなあ~と彼女のところに4魔導師が現れ、おまえも快楽を知りたいのか~と肉体を破壊しようとする。
わたしはそんなつもりじゃないわ。叔父のフランクが逃げたのよ、彼の居場所教えるからわたしに構わないで、と伝える。
何だこいつらフランクがなにやってるのか把握してないのか。
攻防戦となるが、魔導師は圧倒的である。しかしキューブパズルの申し子カースティは、キューブを回しながらエイっとばかりに一体ずつ魔物を封じ込めてゆく。こりゃ天才かも。その使い方をいつ会得したのかは分からないが、キューブを回転させながら、ついに皆封じ込めてしまう。これ以外に魔物の処理は不可能であろう。

Hellraiser001.jpg

ということで、 キューブパズルの得意な少女カースティの勝利に終わる。
この物語でも彼女を助けにタイミングよく乗り込んで来た彼氏のスティーヴは何の役にも立たない。
定番である。

そしてこの物語は、その7とかまで続いているそうだが、まず続編に繋ぐ、魔物が火の中から「ルマルシャンの箱」を取り出して夜空に消えていくところで終わり。
続きは、”2”を見ましょうということになる。
CGはほぼ無く、全部ウルトラQと同等の特撮勝負であったが、今のVFXに見劣りするようなクオリティーではない。
充分、頑張っていた。

2も観るかも。




U-Nextにて








フラッド

Hard Rain001

Hard Rain
1998
アメリカ

ミカエル・サロモン 監督
グレアム・ヨスト 脚本

モーガン・フリーマン、、、ジム(強盗のリーダー)
クリスチャン・スレーター、、、トム(現金輸送係)
ランディ・クエイド、、、マイク(保安官)
ミニー・ドライヴァー、、、カレン(教会関係者)
エド・アズナー、、、チャーリー(トムの相棒)
マイケル・グリアン、、、ケニー(強盗団)
ダン・フロレク、、、メーラー(強盗団)
ウェイン・デュヴァル、、、ハンク(ダムの管理人)
ピーター・マーニック、、、フィル(警官)
マーク・ロルストン、、、ウェイン(警官)


「フラッド」でも分かるが、原題の「ハードレイン」の方がこの場合、自然の無慈悲さはよく窺える。
インディアナ州のハンティングバーグは、大変な豪雨に見舞われ、町のほとんどが冠水し、上流のダムの決壊で洪水に見舞われる。
現金輸送車で各銀行から集めた金を巡り、水が凄い勢いで増水する間、輸送の職員、保安官たち、強盗の3者に教会のステンドグラスの修繕に当たった女性も絡み、激しい攻防が展開されるクライムアクションであり人間ドラマでもある。

Hard Rain004

CGは恐らく使わず、スタジオセットでこの洪水シーンを作った感じなのだが、、、。
水の迫力と熱演は凄かった。
セットの設営とその撮影、演技共にかなり大変だったろうな、と思うし費用も相当かかったはず。
銃は勿論、ボートによるアクションもたっぷりあり、余所見をする余裕はない。
とても良い出来だった。

最初は、現状に耐え地道に自分の職務を全うして頑張る人たちが描写されているかに見え、、、。
現金輸送車が大雨で路肩を外れ立ち往生してしまったと思ったものが仕組まれた罠であったことが判明する。
この降り続く豪雨と宙吊り状態の金の存在により、ひとの抑圧していた欲望が一気に頭をもたげたと謂うところか。
ドンドン嵩を増してゆく水にモノが流され削られ壊されてゆく状況の圧力に精神が蝕まれてゆく過程で。

Hard Rain002

強盗団のリーダーのジム、現金輸送係のトム、保安官のマイクの主演者たちは、申し分なかったが、ヒロインが今一つ馴染まなかった。その場にいる必然性があまり感じられないのと女優のオーラの問題。他にも相応しい女優はいくらでもいるように思えた。

ジムは、如何にも大物リーダー感があったが、結局、相手の保安官チームのあくどさにトムと組んで闘うこととなった流れは分かる。
しかも完全に狙いが同じなのだ。盗賊の逮捕ではなく自らがそれとなったのだ。よってはっきり敵である(爆。
トムは、増水した雨で動かなくなった輸送車が強盗団に襲われたとき、迷わず金を隠したのは命を守るための担保としてだろうが、歩きにくい水量のなか、逃げる速度を考えると微妙な判断に思える。普通ならそのまま逃げたら単に目撃者として撃ち殺されてお仕舞であろうし現金隠すのはクレバーであるが。

保安官は元は真面目で、任期満了するまで幾ら住民の不評を買おうと、責任を持って街を守る意志を持っていたことは窺えるが、ダムの決壊と共に大義はもうどうでもよくなり、輸送車の金を強奪して老後の安寧を確保しようと決める。尽くしてきたが報われない。もうすぐ任期を終える。先が心許ない。そこに益々激しく降り注ぐ雨、ついにダムの決壊とまで来た時に彼の中の何かも崩壊したのだろう。
われわれも日常生活が悉く上手く行かず、外的要因で流されたり紆余曲折して疲労困憊したりしているうちに、これまでの役割を全部投げ出してしまおうという衝動に駆られることはあろう(大概踏みとどまるが、このような持続する災害が堰を切ってしまうことはあるかも知れない)。

ヒロインの動きはどうにも取って付けたような感じで、とりあえずクライムアクション(+ディザスター)モノには女性も何らかの形でいれなければ、そしてパニック度、スリルを際立たせる役目を担って貰うというところだろうが、、、女優がしっくりこなかった。

Hard Rain003

ハラハラ感はかなり高く、演出も凝っており、危機からの脱出も一発では上手く行かず、何度もトライ&エラーを繰り返して脱するところもなかなかであった。
最後の鬼と化したようなマイクの執念が怖さを充分に魅せていたが、トムに撃ち殺される。
このトムであるが、最初に現金を隠した時、明らかにこやつはどさくさ紛れにせしめる気だろうと思っていたが、ついに最後までくすねることは無く、州警察に渡すつもりであったようだ。ちょっと何か企んでいるような顔に終始思えていたのだが。
そして終盤は、トムとカレンを守り、悪の警官たちと渡り合ったジムに礼を謂い、彼を逃がす。
その際に笑顔と共に現金の入ったバッグ2つのうち1つをボートに乗せてゆく。

他の連中は金に振り回され皆命を落としたが、無欲のトムとカレン、欲はブレずに持っているが、流されず冷静で判断を誤らない盗賊のジムは生き残る。
わたしもモーガン・フリーマンが生き残ると嬉しい(笑。



U-Nextにて













中国の植物学者の娘たち

Les Filles du botaniste000

Les Filles du botaniste
フランス、カナダ
2006

ダイ・シージエ 監督・脚本
ナディーヌ・ペロン 脚本
エリック・レヴィ 音楽
ギイ・デュフォー 撮影

ミレーヌ・ジャンパノイ、、、リー・ミン(植物学の実習生)
リー・シャオラン、、、チェン・アン(チェン教授の娘)
リン・トンフー、、、チェン教授(植物学者)
ワン・ウェイグワン、、、チェン・タン(アンの兄)
グエン・ニュー・クイン、、、孤児院の院長


あの圧倒的な傑作「春夏秋冬そして春」でもそうだが、絶景のなかを舟に乗っての移動が毎日の生活。
ここでも「植物園」に行くのに舟で移動していた。
買い物行くにもそう。新聞を買うにも。

Les Filles du botaniste001

そして、壮麗な湖面と空の対象のめくるめく景観に圧倒される。
その傍らでふたりの女性の秘め事が極めて危うく果敢ない美を灯す。
植物園の温室?が幻想的で怪しく官能的。
ふたりの女性もむせ返るような湿度と植物の放つ香に包まれ何ともエキゾチックで綺麗。

Les Filles du botaniste002

だが、そこはホントに危うい小さなシェルターに過ぎない。
外界は、男尊女卑の家父長制度などと謂うレベルではなく。
この植物学者のオヤジは、娘を一生自分の身の廻りの世話の為に買い殺しするつもりか。
そして実習生を見初めたにせよ、彼女の意志などお構いなく強引に息子の嫁にしようとする。
粗暴で感性も想像力も微塵もない野蛮な息子。
だが、娘~妹も兄と一緒になれば私達も一緒に暮らせるわね、と謂うのは余りに世間知らずで浅慮。
ミンは子供を無理やり作らされることになるし、兄もいつまでも兵に出ている訳でもないだろう。
向うで出世して呼ばれてしまうかもしれないし。退役したら地獄ではないか。
縁を切ってふたりで逃げるしか手は無いのは明らか。結婚は何れにせよ軽はずみであった。

Les Filles du botaniste003

しかし娘のアンも余りに長く、頑迷な父との二人暮らしが続き、共依存関係が成り立ってしまっていた。
単に封建的な家父長制から来る風習を超え、大変根深い相互の依存関係が成立しており、初めてこころのときめき踊る相手と巡り合ったにも関わらず、その勢いで手に手を取り逃避行という訳にはいかないのだ。
ここが厄介な所。
アンにとり父はまだともかく、植物園は命である。あの温室での薬物実験。あの湿った空間に充ちる麻薬のなかでの恍惚の眠り。
もしわたしでも、あの魅惑の環境はちょっと捨てられまい。この場こそ最大のネックであるか。
われわれは悉く身軽ではない。誰もが囚われ人なのだ。

Les Filles du botaniste004

しかしあのポンコツゴリラみたいな兄と結婚するくらいなら、、、
あのお寺に逃げ込んで、尼僧みたいな立場でふたりで共に生きるとか無理かなあ。
孤児院の院長を頼り、ふたりで仕事のできる場を作ってもらうとか。
その過程で植物実験施設も作れる可能性はあろう。
才能も知識もあるのに世間知らずで何ともこのふたり勿体ない。

囚われの身の悲劇だ。
もっともミンの方は、父が中国人、母がロシア人で、地震により両親を亡くして幼少時、唐山孤児院へ預けられたという。
この根無し草であることから、誰よりも帰属意識は希薄である。
敢えて言えば孤児院の院長に恩義を感じているくらい。
ミンに身を任せアンは植物園に見切りをつけふたりで逃げるべきであった。

Les Filles du botaniste005

父に隠れて温室の薬の煙の中で愛し合っているところを見咎められる。
当然、バレるのは時間の問題であろう。
ミンに刃物を持って、この魔物メ~と襲い掛かったところをアンに棒で打たれて昏倒。
このオヤジ普段、空威張りしている割にはダサい。
しかしここでふたりで夜逃げすることは出来なかった。
アンが、おとうさ~んと元に戻ってしまい、ふたりは裁判にかけられることに。
父は心臓病も抱えていた為に亡くなってしまったのだ。
裁判長はいとも容易く、人々を震撼させる自然に反した大罪が父を殺すこととなった、と述べ、判決を言い渡す。

Les Filles du botaniste006

極刑はない。何それ、と唖然である。
不自然って制度の方が遥かに不自然なのだ。
それに自然かどうかの問題ではない。
ミンは孤児院の院長に二人の灰を混ぜて湖に撒いてくれるように手紙を書き、例のお坊さんと共にそれが果たされた。

やはり寺に匿ってもらい、院長のところに泣きつけば何とかなったかも知れない。
勿体ない。
とても悲しいエンディングである。



U-Nextにて











水の中のつぼみ

Naissance des pieuvres001

Naissance des pieuvres
2007
フランス

セリーヌ・シアマ 監督・脚本


ポーリーヌ・アキュアール、、、マリー(15歳の少女)
ルイーズ・ブラシェール、、、アンヌ(マリーの同級生)
アデル・エネル、、、フロリアーヌ(上級生の花形選手)
ワレン・ジャッカン、、、フランソワ(男子選手)


監督の処女作。
マリーは腐れ縁の同級生アンヌと普段はつるんでいるが、ある日アンヌの属するアーティスティックスイミングクラブの演技発表会の際、上級生で花形選手のフロリアーヌの姿に一目惚れしてしまう。
マリーは憧れのフロリアーヌに近づきたいが為、クラブに入り、彼女の演技を近くで見学させてもらう。

Naissance des pieuvres002

しかしその条件としてフロリアーヌのお願いを聴かなくてはならない。
それが彼女が彼氏と逢いに行くときに怪しまれぬように彼女を家から連れ出し、落ち合う場所まで一緒に行き、彼女が彼氏と共に過ごす間外で待っていて、終わったら一緒に帰るというもの。

流石に何度か付き合ったところで、嫌気がさしてもうこんなことに付き合わない、とはっきり断る。
当然、そりゃそうだとこちらも思う。
アーティスティックスイミングの演技をしている時、終わってプールから上がり挨拶していたフロリアーヌは確かに綺麗で輝いていたが、日常生活や彼氏とイチャイチャしている時の彼女には特に魅力は感じられない。
マリーもそう思ったのではないか。
スターとは兎角、そういったものなのかも。

Naissance des pieuvres003

しかしフロリアーヌの方がマリーを必要とするようになっていた。
彼女にこころを許していたのだ。
フロリアーヌは容姿が端麗である為、男子にやたらとモテ、周囲から妬まれていた。
その雰囲気に対する反発から殊更に人前で見せつけるなどして、孤立を深め苦悶しているところはある。
マリーには率直に話し、男性とも最後までは行けず、突き放して逃げて来てしまっていると告白する。
このことで、マリーとフロリアーヌの関係は深まる。

一方、ずっと一緒に何となくつるんでいるアンヌは独特の個性を持ち他者と広く付き合えるタイプではなく自閉的な特性をみせるぽっちゃり形である。マリーとフロリアーヌの美形に対し、逆の意味で目立つ方だ。
しかし性的な欲求はかなり強く、フロリアーヌのプールでの彼氏のフランソワを狙っている。
自分の世界に入りこんでおり、客観性はあまり感じられない。
幼児性もあり、オマケ欲しさに自分の年齢では頼まないランチを頼み、そのオマケで遊んでいるところをしみじみ見ていたマリーに、あんたは自分を巨乳だとか言ってるけど、ただのデブのガキよ、もううんざり、と呆れられる。
確かによく分かる。ネックレスを万引きしてフランソワにぬけぬけと渡しに行ったりもするのだ。

Naissance des pieuvres004

それでマリーはフロリアーヌに更に接近することに。
しかし、男子との一線を越えられないフロリアーヌに、その最初の相手になって欲しいと懇願されたときは強く断る。
こころの準備などしているはずもなく単に驚いたにせよ、相方の不甲斐無さに呆れるうちに、それを引き受けることにする。
フロリアーヌのベッドでそれをするが、その後このふたりの関係はどうなるのだろうと思う。
マリーはフロリアーヌに対して恋愛に近い感情は抱いているのだが、フロリアーヌの性的な関心はやはり男子一般に向けられている。マリーのお陰でフロリアーヌは解放されてこれからは自由に気楽に男子と関われるようになったという感じである。
マリーとしてはそれが納得いかない。彼女の方から今度はフロリアーヌにお願いする。
フロリアーヌは直ぐに悟り、マリーを抱き寄せキスをする。「こんなの簡単よ」と謂って彼女は離れてゆく。

Naissance des pieuvres006

丁度そのタイミングで、フロリアーヌに袖にされたフランソワがネックレスをくれたこともありアンヌをその捌け口にやって来た。その勢いでふたりは肉体関係を結ぶ。しかしアンヌは自分が愛されているとは感じていない。単にフロリアーヌに向けた欲望が果たせなかった為にアンヌを代用したに過ぎない。それは彼女も感知していた。

3人の少女たちのこころの動きが淡々と描写されてゆくのだが、不思議にマリーとフロリアーヌ、マリーとアンヌの関係はタップリ描かれるのだが、フロリアーヌとアンヌは全くない。フロリアーヌにとりアンヌは人には見えないのかも。
フロリアーヌはひとり恍惚の表情で踊っており、結局はフロリアーヌに振り回された形のマリーとアンヌは元のように寄り添い、プールにふたりで浮かんでいる、、、。
しかし最後にマリーの目が光り表情が何をか告げている。

Naissance des pieuvres005

ソフィア・コッポラの描く女子よりこちらの方が瑞々しかった。ポーリーヌ・アキュアールはこれからが楽しみの女優だ。
この監督も処女作でここまで描けるとは、凄いものだが、処女作を超えるのは大変だとも謂われる。
今後に期待したい。



U-Nextにて












レア・セドゥのいつわり

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TROMPERIE / DECEPTION
2021
フランス

アルノー・デプレシャン 監督・脚本
フィリップ・ロス 原作
ジュリー・ペール 脚本

レア・セドゥ
ドゥニ・ポダリデス
アヌーク・グランベール
エマニュエル・ドゥヴォス
レベッカ・マルデール


レア・セドゥだから観た。
そうでなければ、観ない。

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「レア・セドゥの~」といちいちつける邦題のセンス、最悪。
やめて欲しい。

それから、長い。長すぎる。拷問に近かった。
恐らく、わたしの体調によるところだろう。
だが、長い。半分で充分。

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初老のアメリカ人作家と33歳のフランス人女性(イギリス人だっけ?)、ともに既婚者であるが愛人関係。
この設定で逢瀬の度におフランスらしい軽妙な会話を交わす。
それだけでどこまでも引っ張って行ける魅力が醸せる作品なのだが。

本来はそうなのだが、とっても長く感じるのだ。
レア・セドゥが部屋の詳細を目をつぶって描写するとその通りに部屋が生成されれていたが、、、
それが後に出て来る、カフカが生きた世界を記述したのではなく、彼が記述した世界に生きたとかいう会話に繋がっている。

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だが、本に書くために会話や情交したりするのも、その描かれた世界に少なくとも逆照射されるのは確か。
勿論作家はそうだが、そこに描かれた人も。
レア・セドゥはそれを読んで、当時の自分が何であったかが分かる。
確かにただ生きているのでは、そんなことは自覚できない。

何と言うか、いつも気づきというものは怒りと共にある。
そして世界と謂うより環界は、ことばによって生成される。
当たり前のことだが。

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このユダヤのアメリカ作家は、執筆用の部屋を持ち、そこで女性と逢っている。
妻は彼の創作ノートを読んでそれを察知している。
この部屋だけでなく、他の場所でも複数の女性と関係を持つ。
それは特に妻との不和と謂うものでもなく、彼曰く「文化的孤独」によるものらしい。

文化的孤独と謂うのはよく分かる。
と謂うより共感する。
別に彼自身に共感する分けでもないが、裁判所で糞フェミニストに吊るし上げられる場面では、わたしも怒りを覚える。
とは言え、この男の書いた小説など読む気にもならない。
それは確かだ。

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文化的孤独というのは、わかる。音楽を聴くのも確かに、そんな感情からだ。
このユダヤ作家にとり、それを埋めるのが、多くの女なのだ。
レア・セドゥがひとりいれば充分な気もするがな。
これほど、身体~ことばの強度のある女性はそうはいまいに。
その上で雑多な(と言っては失礼だが)数を求めても逆に希薄になってしまい創作にとっても逆効果とはならぬのか。
大きなお世話であるが。

そう、レア・セドゥ以外の女性の出た分で、うんと長く感じたのだ。
余計な分量に。とは言えカフカについての言説は彼が大學の授業で教えた女学生によるものだったが。
レア・セドゥと二人だけのあの部屋での対話劇でも充分に魅せる作品に成り得ていたと思う。わたしは。
つまり、レア・セドゥの身体~ことばだけで綴っても純度の高い物語は可能であったはず。


兎も角、長く感じた。
とっても長く感じた。
他の女や場面は、余計に感じた。



U-Nextにて








9人の翻訳家 囚われたベストセラー

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Les traducteurs
2019
フランス・ベルギー

レジス・ロワンサル 監督・脚本
ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン 脚本
三宅純 音楽

ランベール・ウィルソン、、、エリック・アングストローム(出版社社長)
オルガ・キュリレンコ、、、カテリーナ・アニシノバ(ロシア語の翻訳者)
アレックス・ロウザー、、、アレックス・グッドマン(英語の翻訳者)
エドゥアルド・ノリエガ、、、ハビエル・カサル(スペイン語の翻訳者)
シセ・バベット・クヌッセン、、、エレーヌ・トゥクセン(デンマーク語の翻訳者)
リッカルド・スカマルチョ、、、ダリオ・ファレッリ(イタリア語の翻訳者)
アンナ・マリア・シュトルム、、、イングリット・コルベル(ドイツ語の翻訳者)
フレデリック・チョー、、、チェン・ヤオ(中国語の翻訳者)
マリア・レイチ、、、テルマ・アルヴェス(ポルトガル語)
パトリック・ボーショー、、、ジョルジュ・フォンテーヌ(書店経営者、アングストロームの師)
サラ・ジロドー、、、ローズマリー・ウエクス(アングストロームの助手)
マノリス・マブロマタキス、、、コンスタンティノス・ケドリノス(ギリシャ語の翻訳者)


『デダリュス』という(覆面作家の)ベストセラー小説の完結編の9か国同時発売のために9人の翻訳家を大邸宅の地下室に集め、一日20ページ(全480)ずつ翻訳させてゆくという何とも言えない設定。
海賊行為と違法流出を恐れるあまりこういうことになったそうで、実例もあるという(驚。
(何とあの『インフェルノ』はそうした過程で出版を見たそうだ)。
当然、彼らからはネットに繋がる携帯など禁物。入り口で全て取り上げられる。

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毎日ネットにアクセスするのが呼吸するのと等しいわたしなど(多くのひと)は禁断症状が出るはず。
地下にはその分、シアタールームがあり、バーで呑んだりボーリングしたりプールで泳いだり、広い寝室で休んだり、高級ディナーを毎日食したり出来るのだが、2か月間の軟禁には違いない。しかし色々あって、そのまま翻訳が完了して本が出版される、でもドラマは幾らでも可能ではあろう。

そういう映画~物語も充分あり得る。
コメディでも行ける。作家たちの会話や各々の関係性やその深まり又は葛藤、軋轢、反発などドラマを生成して持ってゆくのや、、、
もっと膨らめた異化された形に発展させたり、、、小説の内容に即して彼らの話しも展開させてみるとか、、、色々と(笑。
だがここでは、ミステリーで死人(首つり自殺)も出て来る、飛んでもない修羅場へと直行となる。
「冒頭10ページをインターネットに公開した。24時間以内に500万ユーロの金を払え」といった脅迫メールが社長のもとに順次入って来るのだ。最後は全部流出させ8000万ユーロまで行く。株まで売って支払う羽目に。
当然、この邦訳家たちの中に、犯人がいるはずということで、皆が疑心暗鬼になり互いに攻撃的になる。
勿論、これだけの策を弄し完璧な環境を作ったはずが、原稿は流出、金は要求され社長は半狂乱となり怒りまくる。

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わたし的に一番ショックだったのは、オルガ・キュリレンコが血迷ったアングストロームに撃たれたことだ。
あってはならぬことでその後、病室で酸素マスクをしてベッドに横たわる姿があったが、助かったのかどうかは不明のまま。
(それはない)。
彼女のプールでヒロインの気持ちを体感しようと底にずっと沈んだままでいるシーンは幻想的でこの映画で唯一美しい絵であった。そんなこともあり、撃たれるなんてあり得ないのだ。ホントに。

このような事態を生んだのが、この翻訳家たちの中にこの作品の原作者が混じっていたことによる。
なんなのそれ、である。
それがどうやらこの出版社のせこい社長に対しての復讐の為の行動なのだ。
彼が書いたのだから、原稿を盗み出すとかコピーしてWebにアップするとかするまでもなく、元々自分の部屋に在りそれを自動で脅しながらアップし続ければよいだけの話。

Les traducteurs004

なのだが、奇妙に回りくどい単に鑑賞者にミスリードさせるためみたいな変な原稿の入った社長の鞄を電車ですり替えるみたいなシーンが盛り込まれる。
翻訳作業に入る前の時期のエピソードである。
これに絡んだのは、アレックス、チェン、ハビエル、イングリット、テルマ。つまり彼らは、翻訳で集められる前に知り合いであったことになる。

後日のアレックスとエリック社長の刑務所内のやり取りのシーンが何度も挟まれる。
どうやって小説を盗んだのかこれをエリック社長は聴きだそうとする。
翻訳家を監禁した罪とカテリーナへの傷害罪に加え、アレックスとの会話盗聴から警察はジョルジュ・フォンテーヌ殺害自白も得た。
この時、盗聴マイクを塞ぎ、何故あの段階で完結編の冒頭が暗唱で来たのかの問いに「それは僕が書いた小説だから」とバラす。
社長は、にわかにこれを信じなかったが、これで勝負がついた事となる。

Les traducteurs005

『デダリュス』の覆面作者オスカル・ブラックであった初老の書店店主は、代役に過ぎずそこに遊びに来ていた若者、それこそアレックス・グッドマンであったのだ。
彼が書いた『デダリュス』という作品が余りに素晴らしく、店主は直ぐに出版の手続きをしようとしたが、それを断る。
それを惜しんで出版を勧める店主に対し、アレックスはあなたが書いたことにするなら構わないという。
単に自分の才能をあなたに認めて貰えれば結構、という。その経緯と真相は2人の間だけの秘密であった。
アングストロームは全二巻の出版を自社からしていることから当然完結編もと思っていたら相手は違う出版社から出したいと言い出す。彼の経営方針と翻訳者に対する扱いが気に食わないと。
アングストロームは、大儲けの金蔓が無くなるのを恐れ、彼を突き落として殺害し原稿を盗み店を燃やしてしまう。、
アレックスは、店主ジョルジュ・フォンテーヌの敵討ちに翻訳者に紛れたのだった。自宅から自動で脅迫メールを送り付け原稿をアップする設定をしたうえで。
ふ~んと思ったが、、、

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何もオルガ・キュリレンコを撃つことは無かろうという、その一点に虫酸の走る映画であった。




U-Nextにて










RED/レッド

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RED

ロベルト・シュヴェンケ 監督
ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー 脚本
ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー 原作

ブルース・ウィリス、、、フランク・モーゼズ
モーガン・フリーマン、、、ジョー・マシス
ジョン・マルコヴィッチ、、、マーヴィン・ボッグス
サラ・ロス、、、メアリー=ルイーズ・パーカー
ヘレン・ミレン、、、ヴィクトリア
カール・アーバン、、、ウィリアム・クーパー
ブライアン・コックス、、、イヴァン・シモノフ
ジュリアン・マクマホン、、、ロバート・スタントン
リチャード・ドレイファス、、、アレクサンダー・ダニング
レベッカ・ピジョン、、、シンシア・ウィルクス
アーネスト・ボーグナイン、、、ヘンリー
ジェームズ・レマー、、、ガブリエル・シンガー


REDとは、引退した超危険人物を指すという。
年金生活者となった彼ら殺しのプロをわざわざ殺しに来た組織がCAIであり、そこを操る黒幕をやっつけようと言うもの。
何とも、、、ハチャメチャな。おじいちゃんたちのコスプレも決まっていた(爆。
芸達者な豪華キャストである。

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モーガン・フリーマンが死んだかと思ったら生きていて、良かったと思ったらまた死ぬが、またどこかでふいに出て来ると思って待っていたのだが、最後まで出てこなかったのは、何故?あそこでは死んでいないと思ったのだが。やっぱり死んだのか。一番の狸爺だと思っていたのだが、、、。
そこだけが気になった。

元CIAの凄腕エージェントのフランク・モーゼズが夜の自宅で突然武装集団に襲われるところから始まる。
なかなかの導入部。冷静沈着に最小エネルギーで、全員退治するところが如何に凄いおじいちゃんか充分分かった(笑。
(ここまで極端でなくとも、いつ何があるか分からないのがわれわれの世界だ)。

爽快な殺し屋集結の大銃火器アクションものかと思っていたが、それ程でもなく、勿論地味でもなく、年輩の元凄腕の殺しのプロフェッショナルたちが、経験と頭脳を活かしてどんどん敵の裏をかいて倒してゆくのだが、特に新鮮味はなかった。
兎も角、熟達した人は、一つ先が読めるという事だ。
そして充分に尖っている。
そうでなければ、しっかり生き残り、年金生活まで出来まい。
その上、フランク・モーゼズときたら可愛らしい彼女まで作っている。
(一緒に危険極まりない行動を通して親密になってゆくぱたんであるが)。

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基本、お達者なおじいちゃん、おばあちゃんがハッスルする中で、サラ・ロスとカール・アーバンの存在はこれはこれで良い味は醸していた。
こういう作品は、時々アメリカ映画で観るが、お達者クラブがまだまだ若いもんには負けないと頑張るというフォーマットも好まれるのだろう。

コミカルな面もあり銃アクションも面白かったが、スッキリ爽やかというところまでは行かなかった。
結局、彼らREDを始末する手先となって働いていたウィリアム・クーパーが最後の最後に、黒幕の仕業とその真相を知り、寝返る。
それでスッキリ事件は解決となるようだが、後始末が大変だなあといつも思ってしまうところだ。
そう皆、タフなのだ。
タフと謂えば、あんな危険極まりない弾丸が雨霰みたいに降り注ぐなかを彼女と一緒に切り抜けるというのも何とも言えない(笑。
メアリーは素人である。まず命が幾つあっても足りまい。そしてそんな狂気の行動を共にするうちに楽しくなってゆくのだ。そんなものか?
まあそこが面白い流れなのだが。

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ブルース・ウィリスのこういう演技がもう見られないのは残念だが、もうホントに年なのだ。
ヘレン・ミレンの貫禄も言うことなし。
モーガン・フリーマンはもうすっかり好々爺という域に入っていたが、、、。
ゆっくりゆったり残りの人生を愉しんでもらいたい。
そういう気持ちに自然になれる御話でもあった(笑。

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REDリターンズというのもあるらしい。
油断できない。





U-Nextにて













防災セット SHELTER プレミアム 2人用。
震度6以上は、28回。震度7以上は4回、3.11以降の地震。
首都圏もそろそろという専門家の声も。出来る事はしておきたい。
必要なものが最初から詰まった防災グッズセット!
自立するリュックに全て入っているので、持ち出しも軽快で楽。
地震にバッチリ備えておけば、他の災害時にも充分対応可能。


NOPE/ノープ

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Nope
2022
アメリカ

ジョーダン・ピール 監督・脚本・製作
マイケル・エイブルズ 音楽

ダニエル・カルーヤ、、、OJ(オーティスの息子)
キキ・パーマー、、、エメラルド・ヘイウッド(オーティスの娘、OJの妹)
スティーヴン・ユァン、、、リッキー・“ジュープ”・パーク(元子役。テーマパーク「ジュピターズ・クレイム」のオーナー/クリエイター)
ブランドン・ペレア、、、エンジェル・トレス(フライズ・エレクトロニックスの技術セールスマン)
マイケル・ウィンコット、、、アントラーズ・ホルスト(有名な撮影監督)
レン・シュミット、、、アンバー・パーク(ジュープの妻)
キース・デイヴィッド、、、オーティス・ヘイウッド・Sr.(OJ、エメラルドの父、ヘイウッド・ハリウッド牧場主)


ゲット・アウト」と「アス」は観た。どちらも緊張感たっぷりの傑作であったが、とりわけ「アス」の怖さは今でも印象に残っている(幼い頃に観たりしたらトラウマものだろう)。
本作も異様な空気の中、異次元のエイリアンが好き勝手に捕食して、こんなのホントにいそう。
(うちの猫も食うこと以外、特に何をするでもない、ように見える(爆)。
「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤがここでも主演。妹役のキキ・パーマーが大奮闘であった(笑。

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終始、音の演出と、何だか分からないが、一つだけ全く動かず半年空に留まっている雲という、謂われなければ分らぬ不気味さの飽和感が何とも言えないものだった。
兎も角、危ないものであるのが分かってから、身を案じて避難するのではなく、その危険な物体の映像を撮りそれで大儲けしようというチャレンジ精神旺盛な牧場経営の兄妹の奮闘が描かれる。
何しろ先代の牧場主の父はその物体の落としたコインが頭を直撃して亡くなってしまう。
メディアには、飛行機からの落下物による犠牲者と発表される。
それまでは、その牧場で育てた馬を映画に出して順調に商売してきたのだが、父がいなくなると、途端に経営難に陥り馬を10頭も手放す羽目となる。そしてお気に入りの主力の馬も手放すことになった時に、その馬を連れて行ったテーマパークにその物体が現れ、パークの人々を皆吸い上げ喰い尽くしてしまった。

ニュースでは、この突然の多くの人々の消滅を鉄砲水による自然災害のように報じていた。
まあ、自然災害みたいなものではあるが。

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ホームコメディの撮影現場でチンパンジーの起こした惨劇が挟まれる。
人々を吸い込み、最後にエメラルドの機転で宙に放たれたキャラ風船を食べさせられて爆発したそれが暴れまくった場がこの子役の長じたジュープがオーナーを務めるテーマパークであった。

兄妹は、監視カメラを設置して本格的にこのUFOらしき物体に狙いを定める。
ウマの買い戻しもかかっている熱のこもったプロジェクトだ。
そこに技術屋のエンジェルも加わる。
更に専門家で癖の強い気難しい撮影監督のホルストも引き釣り込む。
彼が最終的に狂ったようにのめり込み、遂にはそれに吸い込まれるがその最中もIMAXカメラで撮影を続けていた。
後で落下したフィルムからは貴重な映像が見られるはず。

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雲に隠れたUFOかと思いきや丸ごとエイリアンだったのね。
縄張り意識があって、目が合うと襲ってくる(向うに眼があったかどうか定かでないが)。
何でも食べてしまい最後はヘリウムガスの充填された巨大キャラクタ風船食べて爆発してしまうというお粗末。
これまで色々な金属片とか落下させていたのは、消化出来ないモノを下に落としていただけのよう。
面白いのは、この生物が捕食活動に出た時は、無電状態になり、その周辺の電気は全てアウトとなる。
電動バイクが物凄い速度で走っていたのがパタンと倒れてしまうのだ。
カメラにその姿を収めるにも手回しカメラで撮る。

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今思い出したが、この映画、「GHOST」、「CLOVER」、「GORDY」、「LUCKY」と章に分かれていた。
観る時にはそれらを意識しないで観ていたが、未だにその章分けが何であるか分かっていない。

最後にその実体を見せるエイリアン。確かに乗り物ではなく巨大な空に浮かぶ生物である。
なかなか見事なフィギュアだ。OJに“Gジャン”と名付けられたそれは、いよいよ脅威をふりまく。
この映画、広い大地の道脇に「スカイダンサー」が沢山フニャフニャ棚引いているのが印象的。
(これもGジャン観測用のツールとなっているか。電気が切れれば倒れてしまうから)。

最後はOJが囮となってラッキー(お気に入りの馬)に乗りGジャンを誘い出す。

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しかし最終的に、電動バイクで「ジュピターズ・クレイム」(例のテーマパーク)にGジャンを誘い込んだエメラルドの大活躍で、この大食いのクリーチャーは滅ぶ。
だがそうなるまでの経緯を彼女は、テーマパークの井戸から上空を撮影するカメラで逐一撮って行くのだ。
最後の最後まで、この何だか分からぬモノを撮ることに執念を燃やした彼らであった。
(ホルストなど完全に命と引き換えの撮影である)。


観終わってみて何だったのかよく分からない。長い映画で、途中知らず寝たところもある。
見逃した部分は、その内観直して確認はするつもり。
この監督特有の質感は堪能した。ドゥニ・ヴィルヌーヴのように、この監督ならではの確固たる雰囲気がある。名匠である。


U-Nextにて











ロニートとエスティ 彼女たちの選択

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Disobedience
2017
アイルランド、アメリカ、イギリス

セバスティアン・レリオ 監督・脚本
レベッカ・レンキェヴィチ 脚本
ナオミ・アルダーマン『Disobedience』原作
マシュー・ハーバート音楽 


レイチェル・ワイズ、、、ロニート・クルシュカ(NYの写真家、父はユダヤ教指導者)
レイチェル・マクアダムス、、、エスティ・クパーマン(ロニートの恋人、ユダヤ教徒)
アレッサンドロ・ニヴォラ、、、ドヴィッド・クパーマン(エスティの夫、次期指導者)
アントン・レッサー、、、クルシュカ(ユダヤ・コミュニティー)
バーニス・ステジャース、、、フルマ(ユダヤ・コミュニティー)
アラン・コーデュナー、、、モーシェ(ユダヤ・コミュニティー)
ニコラス・ウーデソン、、、ゴールドファーブ(ユダヤ・コミュニティー)
リザ・サドヴィー、、、ゴールドファーブ夫人(ユダヤ・コミュニティー)


The Cure の” Lovesong”が唐突に鳴ると二人は過去の時間に飛ぶ。
香りや場所、絵や写真もそうだが、音~音楽は特にその作用は強いと思う。
エンディングにもかかり、しみじみ聴き入った。かつてよく聴いていた音でわたしにとっても特別の意味を持つ。

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厳格なユダヤ教のコミュニティー。
ある意味、ここに全面的に身を任せてしまえば、結構楽に暮らせそうな気もする。
そんな顔をしている人もいるし。
だが戒律が半端ではなさそう。生まれてずっとこの環境ならそういうものだと暮らせるか。
しかし外界の情報は常に入って来るのだから、当然相対化して考えるはず。
ここではとても生きては行けないというユダヤ人も出て来るものだ。
物語は、その厳格なユダヤコミュニティーの指導者の娘が突然ある日消えてNYで写真家となっていたが、父の訃報を受けて帰郷したところから始まる。

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冒頭シーン、ラビが亡くなる前の講話で終盤、「選択」と「自由」をテーマにとり上げていた。
このコミュニティーで生きていれば生活・思想・信条全てが鋳型としてあり例外は認められない。
長い伝統をコミュニティーの成員に厳格に守らせ尊敬されて来たラビが最期に「選択」と「自由」を口にして亡くなる。
このテーマが噺全体の基調となって流れてゆく。

父の葬儀・告別に参加する為に還ったロニートに対し、コミュニティーの面々は皆しかめっ面で冷淡。
迎え入れてくれたのは幼馴染のドヴィッドと今や彼の妻となっているエスティくらいであった。
ロニートは、エスティがドヴィッドと結婚していることに驚きを隠せない。
コミュニティーの誰もがエスティとロニートとの関係を知っていたのだ。
ラビはこの件を知った際、神にわたしを殺してくださいと叫んだという(驚。

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ロニートは独りでここから脱したのであるが、エスティはコミュニティーに残った。
そしてそこで生きるために幼馴染の優しく賢いドヴィッドと結婚をした。ラビの勧めの下で。
だが、愛せるのは女性であり、ロニートであった。その後もずっと彼女の事を想い続けた。
これは辛い。だからラビの訃報も彼女がロニートに伝えたのだ(他の者はその気はなかったらしい。実の娘なのに)。
新聞にも偉大なるラビの死が掲載されていたが、子どもはいなかったと綴られている。
実家を売るつもりでもあったが、遺言で既に寄付されていた。
ロニートの立つ瀬は無い。何とも、、、。ユダヤ教とそのコミューンはこれ程のものなのね。

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しかし一番最初に惹き付けられたのが、2人きりになった部屋で何気なくつけたラジオからThe Cure の”Lovesong”が流れ出した時だ。
それまで疲労感たっぷりで、お互いに強張っていたエスティとロニートのこころから、かつての感情が急に瑞々しく迸るのだった。
確かにあんな環境下ではとても素直な感情など表せない。無意識的にも抑圧してしまうものだ。
だが、ここで2人は昔の2人に還る。
愛し合うが、直ぐにエスティは素面に~日常に戻る。彼女は現在、学校の教師をしており、とりわけ規範を体現していないとまずい立場なのだ。

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しかし一度戻った感情(情熱)~生命力は留められない。
校長や夫、周りの人々に批判されても自分の確固たる核を実感してしまっては法も何もあったものではない。
2人はそれを強く訴えるが、ドヴィッドは激しく抵抗を示し、ロニートがここに戻ってきたことで災難が起きたと彼女を責める。
彼の立場としても自分の妻の覚醒と謂い、新たなラビとしての責務からして、それを認める訳にはいかなかった。
しかし冷静に熟慮し、ラビの告別そして新たに後継者としてラビに就任する挨拶で、彼は前任者の最期のスピーチより「選択」と「自由」の件を取り上げる。
敢えて強調する。われわれは自由だ。そして妻を見詰めて、君は自由なのだ、と。
このシーンは流石に感動的な流れとなった。一時険悪な空気を孕んだ3人の関係であったが、その空気は払拭される。

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わたしは、エスティとロニートは手を取り合い、NYに行くのではと思っていたのだが、エスティには子供が出来ていた。
エスティはコミューンには残るが、これまでとは違う、互いにもっと自立した夫婦としての再出発となるはず。
ロニート1人で帰って行くのだが、エスティは子供の自由を守ることを誓う。
素敵な女優のW主演であった。
見て損はないが、ユダヤ教のコミュニティーの厳しさには、眩暈がした(笑。




U-Nextにて











ストレスボール❣
娘のイライラ解消用に購入(笑。ソフト、ハードの2タイプ。テニスボールよりほんの少し小ぶりで絶妙な触感で握り易く、パソコンのタイプ疲れや腱鞘炎のリハビリ、ピアノ演奏の疲れにピッタリ。まさにストレスフルな日常生活の必需品💛


”Bon voyage.”



金沢国立工芸館「ポケモン×工芸展」6月11日まで。人間国宝の実力派作家たちが新たな解釈でポケモンを創造。

金沢城公園、兼六園、金沢城、ひがし茶屋街、近江市場も直ぐ近く。
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