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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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隣人X

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隣人Xとか言う映画を観た。大変忙しい中。無理やり観た感じ。
原作があり、かなり映画は変えてあるそうだ。
その表現形式の違いから来るものというより、登場人物や筋・設定も変えてあるようだ。
飽くまでも映画を観た範囲で。

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難民異星人を既にアメリカが受け入れているとかで、日本もその方針で、受け容れることにした、とか。
どういう経過を辿ってそうなったのか、人々の反応を見ると唐突に決まったように窺えるが。
異星人が潜り込んでいた事実も初めて知ったみたいな。そんなアホな。
人間には害をなさない異星人だと謂うが、何の根拠から?
トレースしてその人間になり切るって全く意味が分からない。
オリジナルを残して擬態したもう一人の自分が新たに出現するの?
そとれとも元を乗っ取るのか?だとしたら害どころの噺ではない。元の人間は消滅という事だ。立派な殺人。
トレースして普通に混ざってずっと何の支障もなく溶け込んで生活しているってどういう形で?
オリジナルを残してという事なら、戸籍や住民票やらマイナンバーから就職時に書き込むような全ての事柄~経歴などどうなっているの。オリジナルを乗っ取っているのならよくある恐怖のSF映画。

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何だか基本設定が分からないままラブロマンス風に進展して行くが、XでもYでもよいが、そのトレース版がどういう形で日常文脈に嵌めこまれているのかサッパリ分からない。ずっと気づかれずに普通に過ごして来て今回の政府の発表らしいが。
そんな大事な事を或る日いきなりこうなったなどとアナウンスして、そうですか、で済むはずはあるまい。
そして、生理的に違和感を覚える一般大衆がざわつき異を唱えるのも当然、メディアも政府のやり方に抗議するなら分かるが、いきなりXを炙り出し吊るし上げる行為に出るのはキチガイ沙汰であろう。まさに魔女狩りだ。

ここでは国大出て36まで独身のコンビニと宝籤ブースでバイトしている女性と台湾から地震予測の勉強に来ている女子留学生の2人が、主人公記者の担当するX候補者となる。彼女らに張り付いて写真を撮り接触して噺を聴いたり物的証拠を探ってゆく。
全くのアウトローの世界かい?普通こういったとてもナイーブな問題はキチっと細かいガイドラインが政府から下ろされ国民周知のものにされて然るべき。ただ宇宙難民を受け入れたよ、でお仕舞はない。
メディアにX個人を吊るし上げる自由など端から与える訳はない。
もう何なのという感じで進むから、上野樹里がニヒルで素敵とか思っても入って行けないぞ。

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おまけに同列で台湾の女史も言葉がまだ拙いことから差別や虐めを受ける。だがそれも実に不自然。
日本は自分と異なる者への差別意識は強いとは言え、言葉の分らぬ外国人をあからさまに馬鹿にするようなことはない。
異星人も外国人も外部から来た他者という扱いで差別し異様な目で見ると謂うのは無理がある。そんな単純な反応ばかりではないもの。特にマスコミがあれでは酷すぎる。集団リンチではないか。
しかもまだ「容疑者」ですらないのだ。何の確証もなくでっち上げられただけの対象にあそこまで踏み込むこと自体あり得ない。
まずこの段階で、週刊誌の記事として成立しない。実際に記事を書いた主人公が、これはフェイク記事ではないかと怒っていたのはどの部分だったか。編集校正の段階で何やら売れ線の煽情的で刺激的な面白記事にでもされたのか写真が違うモノへ差し替えまたは修正でもされたか。何にしてもアウトローの世界にでもなったのかい、という感じ。

4人の中心人物で、かろうじてリアリティを保持していたのは上野樹里くらいか。母がいい加減結婚しなさいというよくあるパタンの娘である。後の主人公の記者や台湾の女子学生、彼女と彼氏となったロックミュージシャンはそれぞれ変。チグハグで何で?といちいち言ってしまう(笑。特にロックの彼は何で女子学生とバイト先が一緒なのに彼女の扱いが悪いと抗議してそこを辞めて独りにさせてしまうのか、この仕打ちにはびっくりした。ちょっと真面目に見れなくなってしまうのよ。
主人公が上野のお父さんの毛髪が欲しいからって、髪の毛を一本ダイレクトに抜くってするか?普通の映画なら洗面所からブラシに付いた毛髪をそれとなく拝借して行くぞ。何かこうわざとらしくてぎこちなくて思慮が無くて、、、そうそう主人公が上野を食事に誘うところから極めて不自然だったし。あの距離の詰め方自体ないわ。
それはないわで、もうひとつ。記者が既に(各自で)調査を進めている段階でバカリズムが対象のDNAを鑑定しろと。皆そうだそうだって、そんな思い付きみたいな形での提案をその都度加えてゆくの?最初にどのような形で調査を進めてゆくか会議は無いのか。トレースした人間の形でいても飽くまでも中身が異星人であるなら身体の構成情報は異なるはずでしょう。乗っ取り同化しているのでなければ。

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テーマは多様性の時代、自分と異なる他者を受け容れてゆきましょうみたいなもの?
最後に本好きな上野が、「星の王子様」の絵本を子供たちに読み聞かせ、「大事な事は見えない。こころの目で見ないと」とかで締めくくっていたが、ちょっとね。こころの目が問題なのよ。こころで観るからそうなるのだし。見えるものとはこころ自体の反映でしかないのだから。
思考形態が変わらないと。その人間のことばが変わらないと。


ともかく他にも色々あり過ぎでいちいち挙げてゆく気もしない。
いくら上野樹里だからと言ってお勧めは出来ないな。

それで自分を裏切り傷付けた者を最後に許すって、、、スクラッチカードを絡めて粋に決めたかのような終わり方であったが、小学生がスクラッチやってるか?そのカードをお礼に上野に渡すと謂うのも変だけど。ポケモンカードならともかく、、、。

もう辞めよう。「心霊もの」が飽きたとか何とか言ってしまったが、これなら「心霊もの」の方が余程リアルで面白い。
上野樹里は出るモノ選んでね。




AmazonPrimeにて






心霊物が思いの他多い

shinrei 201

谷口猛 監督

心霊アベンジャーズはともかく、「心霊物」がアマプラの中にも溢れている。
こんなにあるの?と思った。
つまり需要があるということ。

一部のマニアというなら分かるが、結構好事家がいるようだ。
そもそもわたしは「心霊」自体に全く興味はない。
存在自体認めない。とは言え「呪い」の効能には興味ある。とっても(爆。
今日、「心霊マスターテープ -EYE-」全六話と同じ監督による映画「心霊 x カルト x アウトロー」というのも観てみた。
もうお腹いっぱい。当分いらない。何故心霊なの?という根本的な疑問。
「映画」を撮りたいと謂うなら分かるが、、、。
テーマ~拘りが、そこ?

やはりこの手の噺なら、物語的によく出来ている「心霊マスターテープ1,2」や「村上ロック」の御話聴いている方がよい。
純粋に面白いし。
そう、問題意識を前面に打ち出すのはよいが、ちょっと極端か。
勿論、この作品かなり映画を撮り慣れている感もありオシャレにスマートにまとめている。
オープニングなどもそうだ。キャストも泥臭さが無くなって、如何にも都会的(死語、な雰囲気。

shinrei 202

「心霊マスターテープ -EYE-」は、カメラを持てば自分は世界~文脈に対しメタ存在になれ、何の責任からも逃れられ、編集した作品をその世界~文脈に戻すことに対しても、作者の自由という自分たちを特権的超越者として括っている。
こんな勘違いを基盤に主人公たちが訳の分からない欲動と使命感を持って熱狂的に「心霊」現象とその周辺~経緯などを追って行く。何処に行くにもカメラを回して。バディと共にヒロイックな気分で突入して行く。よりによって亡くなった娘の仏壇まで調べに。

傍観者は同罪だという感覚のない者が、物語~作品を作って共感を得るのは無理だろう。
(これと同じ趣旨の発言はディレクターもしていたが。彼らもこの若者たちが何をやらかすかという興味を優先する)。
傍観者は当事者より悪質であることは多い。これは彼女も指摘していた。
傍観者と言ってもカメラを持って編集して世に出そうとしている者は、当事者よりも積極的にその意図に加担している。
対象が日々虐めを受けて自殺した女子高生なのだ。
ふざけるにも程がある。

shinrei 200

だが自分たちは、カメラを持って困難にも屈することなく頑張って撮影してきた、というプライドさえも持ち罪悪感の欠片もない白痴 。
噺にならないアホども。だがこの手の輩が確かにいる。この近辺にもそんな糞屑どもは、、、。
最後に彼女も愛想が尽き「もう連絡よこさないで、死ね!」と謂われてお仕舞。
当たり前。
だが、それでも勇猛果敢に撮りに行くのだ。何なんだこいつら。何なんだお前ら!おいお前だ。
で、2人とも死ぬが、それでなんだ、というもの。
変なとこで「シュレーディンガーの猫」を出すのはどうか。ファッションか。

shinrei 301

それから、何だっけ、、、「心霊 x カルト x アウトロー」というもの。
監督のもっと若い頃の作品のようだ。これはテーマ以外に面白いと言うか微妙なところがあり気になった。
最後、お父さんに叱られて映画の撮影はめでたく中止となる。
死なないで良かったね、というところか。

途中資金が尽きてクラウドファンディングで金を集めて取材~製作(撮影)を続行する。
だが、作品の収益がなければ、協力者(資金提供者)に何の返しも出来ない。
まあ、暴漢に襲われるまではしつこく頑張ってはいたように感じたが。

面白いのは、出て来る人が皆ヤンキーなのだ。ヤンキーもいる、ではなく全てヤンキーというところが新鮮であった。
ここは、他の監督も使ってみてはどうか。
ああそういえば、ヤンキー同士の抗争を描いた映画があったな。珍しいものではなかったか。
ともかく、ヤクザ映画の凄みは無いが、ヤンキーの緩めのアウトサイダーぶりが微妙で面白い。
仲間同士では妙に愛想もよく。
カルト臭はほとんど感じられなかったが( -EYE-」には多分にあった)、「心霊」に憑りつかれたヤンキー心霊アベンジャーズはそれはそれで味がある。

shinrei 300

やってることは、何だか分からなかったが、ヤンキー友達が次々に現れ、タイミングよく向うから情報くれたり、仲良し振りが充分に窺え、結構仲間内で盛り上がって愉しそうであった。
最後にお父さんに大目玉喰らって、エンドというのも良い。
自分たちが猪突猛進することで不可避的に生じる他者(更に仲間)への被害の感覚の無いことを特に指摘される。
しかしお父さんにブチ切れられて終わり、、、ここが斬新なところだったか。
真似は出来ないかもね、流石にこのパタン。

どちらも監督が抱える問題意識は充分伝わるところはあるが、、、
「心霊」は飽きた。

「心霊マスターテープ4」が出たら観るかも。





AmazonPrimeにて










心霊マスターテープ2 〜念写〜

shinrei2 001

2020

寺内康太郎 監督・脚本
佐上佳嗣 脚本


杉本笑美、、、「Not Found ネット上から削除された禁断動画」 古賀組 アシスタント
涼本奈緒、、、「心霊マスターテープ 」アシスタント
古賀奏一郎、、、「Not Found ネット上から削除された禁断動画」ディレクター
岩澤宏樹、、、「心霊玉手匣」ディレクター
永友春菜、、、ヨネ/シノミヤキリ (キャバ嬢、念視、千里眼の超能力者)/小田原家の使用人、超能力者)
花乃まみ、、、小田原志津江 (念視者)
寺内康太郎、、、「心霊マスターテープ」 ディレクター
大迫茂生、、、獅童仁平 「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」、「限界戦慄ファイル ヤバすぎ! 」ディレクター
久保山智夏、、、市山果穂 「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」、「限界戦慄ファイル ヤバすぎ! 」カメラ
川居尚美、、、「心霊ドキュメンタリー」スタッフ
菊池宣秀、、、心霊ディレクター
井川広太郎、、、「境界カメラ」ディレクター
徳丸大介、、、「心霊〜パンデミック〜」ディレクター
金井倫子、、、「心霊〜パンデミック〜」スタッフ
谷口猛、、、「心霊×カルト×アウトロー」ディレクター
夏目大一朗、、、「心霊調査ビッグサマー」ディレクター
西川千尋、、、「心霊調査ビッグサマー」アシスタント
中村義洋、、、心霊ディレクター
金田萌黄、、、「ほんとうに映った!監死カメラ」カメラ
鳥居康剛、、、「ほんとうに映った!監死カメラ」ディレクター
佐藤あずさ、、、「心霊曼邪羅」ディレクター
舞城モアサ、、、「心霊盂蘭盆」スタッフ


今日は、あまり意味ない為、1~6話それぞれの粗筋的なことは記述しない。
ボリュームは、ヨネの登場により前作より更に上がった。
登場人物の幅も広がる。犠牲となって消えるメンバーも多い。

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今回はパワハラが入って来る(笑。怖がらせ方が違うぞ(爆。
金属バット振り回して、怒鳴りまくって、どつきまくって脅すと謂うのもホラーと絡むと微妙。
「心霊アベンジャーズ」とか言って真面目なのか冗談なのか、、、その割にメンバーよく死ぬ。
「見ると死ぬ念写写真」を巡る騒動である(魔除けのお札にグルグル巻きされた念写の写真であり、見た者は死ぬ)。
そこに「ヤバすぎ!」という狂暴な配信者たちが加わりその念写の争奪戦となり、厄介なことに。
「作り手の覚悟」もテーマとして横たわる。
この”2 〜念写〜”でも伏線回収はしっかりなされていた。

福来友吉教授が行った千里眼実験で小田原志津江の念写は成功したのだが、結局失敗と判定され郷里に戻ってから地元民に詐欺師呼ばわりされ迫害を受ける。その末に、一家心中してしまう。これほぼ同様の実話がある。
御船千鶴子や長尾郁子らによる千里眼実験が有名で、明治の末の超心理学の実験で話題を集めた。
カード実験などで審査員が「的中!」とか言って印象に残る(古い録画フィルム見たことある)。御船千鶴子も実験を問題視され世間で騒がれマスコミの取り上げ方もあり、彼女は自殺に追い込まれている。
東京帝国大学の福来友吉や京都帝国大学の今村新吉らの教授が中心に行っていた。福来友吉まんまでないの(笑。
「念写」は長尾郁子がパイオニアだが。彼女も変な騒がれ方をして病死している。

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さて本作の話だが、、、一作目は、劇中劇という形で(力技で)終わり、さあこれからも皆で頑張りましょうという決起集会から始まる。
ここで基本的な心霊配信(と製作)に対する理念の相違から中心人物、古賀と岩澤の二人が仲違いし、殴り合いの喧嘩をもってどちらも離脱してしまう。生死を扱う物語に対しもっと真剣に取り組む必要を訴える岩澤とことの真相をもっと広める為商業的なアプローチを求める古賀との立ち位置である。最後の方で、やはり力を持ったこの2人は和解して戻って来てしっかり仕事は果たすが、古賀はインスタ念写術に嵌りビルの屋上に誘われ消されてしまう。他にも有能なメンバーが何人も消されてゆく。煩い「ヤバすぎ!」ペアも余りに煩い為消される。

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この諍いは危うい心霊ものを世に送り出す苦悩がちょっと分かる場面ではある(この監督自身が抱えているものであろう)。
こうなると俄然統率力を発揮して来るのが、前作の始めではとても頼りなさ気であった涼本奈緒女史である。
一番落ち着いており冷静に物事に対処出来、分析力もある。
それにこの人、周りの関係者が次々に死んだり消えたりしている中、運よくずっと生き残っている。
こういう仕事が合ってるみたい。

そして何より本作の魅力的なキャラはヨネである。
まあ超絶的な存在ではあるが。荒唐無稽とは言え実際にいそうな説得力も備える。
千里眼で捉えた対象をインスタにドンドンアップしてしまうのだ。そして追い詰める。凄すぎる。
インスタ映えとかは特に気にしないようだが。
彼女の千里眼は鋭く、この件に深入りして来た者の携帯に恐怖と苦痛で歪んだ恐ろい形相の顔を念写して送りこんで来るのだ。
一種のマーキングの意味もあるようで、皆それからは携帯の待ち受け画像がこれになる(トホホ。

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心霊チームで一番冴えている涼本の分析で、超能力者として話題となった小田原志津江には実は能力は無く、家の使用人であったシノミヤキリこそが能力者であり、彼女を利用して念写などを成功させていたという洞察には説得力あった。更に度肝を抜く推察が、シノミヤキリ=ヨネであるというもの。他のメンバーはその顔が酷似していることから(写真が発見されて)キリの能力を受け継いだ末裔であると断じていたのだが。涼本はその超能力から彼女は100年以上も容姿は変わらず若さを維持し強力な能力を発揮しているのではないかと謂う。わたしは、こちらに一票。
しかしこの容姿をずっと維持できるなら、こうした超能力者は女性に人気の職業になるのでは(職業という問題ではないな。持って生まれた特性~資質だ。自閉特性とかいうような。

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そしてヨネが敵陣~心霊マスターテープ本部にやって来て、彼らが捜していたお札に巻かれた呪いの念写を自ら差し出し、これを本当に見る覚悟があなたたちにあるのか!と迫る。これは良いとか悪いとかを超越した命がけで作った作品であると。モノを作ること、作ったものに対しての覚悟を知りたい、わたしはそれをしっかり見届ける。もしそれを見せたなら残りの人間の命は救ってやると謂って写真を置いて去って行く。凛々しくカッコよい。

アベンジャーズは籤引きで観る~犠牲となる人間を決めるが、いつも言動に味のある杉本笑美が大当たり。
やはりその役はわたしがやるという岩澤の申し出を断りカメラの前で彼女はお札を剥がしてゆく。
モニタ越しで観る人間には問題は起きないがダイレクトに見た者は目から血を流して死ぬのだ。
強がっていた彼女であるが遂に途中で泣きが入る。やはりやめようと岩澤が止めようとするが、そこに入って行ったのがエース涼本である。彼女がその念写写真を見る。するとどうだ、そこに映っていたのはオドロオドロシイ恐怖の絵ではなく、小田原志津江とシノミヤキリが笑顔で仲良く写っている写真なのだった。そして裏にあの念写は小田原志津江によるものと書かれていた。
彼女が死ぬ前に恐らく生涯でただ一度、全身全霊で念写した呪いの作品であったのだろう。
(金田萌黄が懲りずに可能性を信じ、ずっと写真を撮り続け、ついに心霊写真の撮影に成功したことにもリンクする)。
ここでメンバーが想像していた志津江に超能力を利用されていたシノミヤキリの小田原に対する復讐劇は無かったこととなる。
怖い待受け画像が全ての携帯から消えていることに気付く。
皆の表情が緩み安堵するが、では肝心の呪いの念写はどうなったのか?
それは、ヨネ=キリが呪いの念写を持ち逃げした者の子孫の少女からもらい受け、海に封印して投げ捨てていたのだった。
(中村義洋監督の携帯に念写されたVHSテープの整理番号のモノを再生してみると、その光景が録画されていたのだ。ヨネにとり時間とは何であるのか。少なくとも線状的な一方向性を属性とするものではない。寧ろ空間化している)。

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最後の海辺の光景は、とても爽やかであった。時制が掴めないが。相手は女子高生でヨネの年齢は掴めない(笑。
このヨネの存在がこの作品の格をあげた(少なくともわたしのなかで)。
Jホラーもので唯一気に入った作品




AmazonPrimeにて





心霊マスターテープ

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2020
寺内康太郎 監督

涼本奈緒 、、、「心霊マスターテープ」 アシスタント
寺内康太郎、、、「ほんとうに映った!監死カメラ」、「境界カメラ」、「 心霊マスターテープ」 ディレクター
中村義洋 、、、心霊ディレクター
岩澤宏樹、、、心霊玉手匣ディレクター
古賀奏一郎、、、「Not Found 」ネット上から削除された禁断動画ディレクター
福田陽平、、、「監死カメラ」ディレクター
谷口猛、、、「心霊×カルト×アウトロー」ディレクター
増本竜馬 、、、心霊ディレクター
松本了、、、「ラミアプロジェクト、心霊曼邪羅」ディレクター
井川広太郎、、、「境界カメラ」ディレクター
菊池宣秀 、、、心霊ディレクター
佐々木勝己、、、「心霊 〜パンデミック〜、戦慄女子」 中村組 カメラマン
鳥居康剛、、、「監死カメラ」中村組 編集
絢寧(あやね)、、、中村組 アシスタント
杉本笑美、、、「Not Found」 ネット上から削除された禁断動画、、、 古賀組 アシスタント
上園貴弘、、、「心霊玉手匣」、、、岩澤組 アシスタント
蒼乃ありす 、、、増本組 アシスタント
佐藤あずさ、、、「心霊曼邪羅」松本組 アシスタント
徳丸大介、、、「心霊 〜パンデミック〜」 スタッフ
金井倫子、、、「心霊 〜パンデミック〜」スタッフ


ホラードキュメンタリーというシリーズであるが、モキュメンタリーである。
ストーリーもよく出来ていて伏線も丁寧に回収されてゆき面白かった。
出演者は、わたしは知らないが、ホラー・オカルト界では誰もが知る有名人揃いとか、、、ふ~ん。としか言えない(笑。
相変わらず全く怖くないが、30分枠の6話に分れていて飽きない。

1.日本初の心霊ディレクターを追え

中村義洋監督という心霊ドキュメンタリーの先駆けを取材しようとしていたら、それよりも早い時期に撮っていた監督の存在を知る。
その監督は『知られざる心霊世界』というモノを撮っていた。
幻の作品で、心霊マニアでもそのビデオの存在は知っていても見た人は見つからなかった。持っている人も見つからない。
ホラー好きな、コアなマニアやオタクがどんどん出て来る。

2.日本初の心霊ビデオ

局がオーディションで選んだアシスタントに涼本奈緒が決まり、彼女と共に取材が開始される。
彼女は当初、見た目で視聴者受けを狙って選ばれるが、次第に中核を担う頼れる人になってゆく。
広島で『知られざる心霊世界』の海賊版が見つかるが、画質は悪く直ぐに幼稚園の映像に替わってしまう。
かつての持ち主が誤って上書きしてしまったものか。
その最初のビデオは、茨木竜男という監督により作られ、制作会社「ベリーマグナム」から発売され、社長が梅澤真吉であることまでが分かる。
他の専門家にも声をかけ、このテープのオリジナル版(配布版)を人手を借りて探す。
そんななか、ビデオカメラを構えた幽霊が取材ビデオに映り込み、それを撮ったスタッフが次々に大怪我をする事件が起こる。

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3.迫り来る謎のカメラ男

広く業界人や「ニコ生」にも協力してもらったことで、一般マニアたちからも情報が集まって来る。
その日本初の心霊ドキュメンタリーを撮ったとされる茨木監督は1984年に自殺していた。
スタッフの井川広太郎の撮ったビデオにも、ビデオカメラを構えた幽霊が映り彼はパニックになる。
そう、こういう心霊物は、写真とかビデオとか何かの幽霊とかを見ると必ず死ぬ、というような絶対的お約束がある。
ここでもそうだ。泣いてパニクル気持ちは分かる。
取材で得たビデオを何度も細かく検証することで見えて来るものがる。
このビデオ男の使っているビデオカメラがなんであるか。そしてこの男が誰であるか、、、。
茨木監督の妹への取材で、監督の自殺後にその家を社長の梅澤が買い取ったこと、を知り撮影現場も仏間から長野県ではなく、大阪の茨木の実家であることが分かる。

4.空き家から覗き見る者

茨木家に行くが、誰も住んでいる気配は無く、廃屋となっていたが、不思議なことに監視カメラが外から家の内側に向けて装着されていた。役所で調べると持ち主は今も梅澤であることが分かる。
家の内部を何故監視しているのか。聞き込みをするとこの周辺で失踪事件が数件あったという。
青年が鍵を開けて密かに出入りしていることを知り、撮影スタッフが夜二組に分かれ張りこむ。
谷口猛、徳丸大介、金井倫子の張りこみ組4人の内3人が車ごと消える。
家に入って出て行った男の追跡をした涼本のみが助かったことに。
彼女が後をつけた男の消えたアパートは、梅澤のアパートであることが分かる(何故買った茨木の家を捨て近くにアパートを借りて住むのか)。
東京組の分析では、ビデオカメラを構えた幽霊が自殺した茨木竜男監督であることが分かる。
井川の身辺にこの男の姿が頻繁に写り込むようになる。

5.知られざる心霊世界

実際に販売されていたビデオテープが見つかる。
撮影取材スタッフ全員でそれを観る。幾つかの場所で撮られたものが寄せ集められているものであった。
最初は、設定上は、長野だが実際は大阪の茨木監督の自宅。
仏間に現れる若い女性の地縛霊が映るが、最初からそこに出て来ることが分かった上での撮影であり、その出現に驚きは一切感じられないことが見て取れる。
次は香川県であり、箕輪春子というリポーターが川遊びで亡くなった少年の霊に遭遇する。
彼女は急に体調が悪くなり蹲る「逃げて」という女性の声を聴く。それからどうなったのかの映像はない。
今度は、鹿児島県。墓地を彷徨う男の幽霊に出遭う。
最後は、静岡県。山での幽霊の目撃談である。
あと少しというところで、デッキにテープが絡み映像が止まってしまう(そういうことあったわたしも)。
岩澤が自宅に持ち帰り直すことに。
涼本が東京に戻り、残り三人が姿を消したこと、梅澤のアパートの件などを伝える。
杉本のGPSアプリによると金井の携帯~居場所が分かった。彼女は梅澤のアパートにいることを知る。
更にビデオ分析から仏間に現れた女の幽霊が箕輪春子であろうことが分かる。

shinrei1 003

6.心霊ディレクターと云う者ありけり

梅澤のアパートに杉本と古賀が恐る恐る入って行くが、その梅澤というお爺ちゃんは気さくな感じで、2人を迎え入れ大変ホラーオカルト作品に造詣が深いことも分かった。茨木監督の事を質問して行くが、1973年にベリーマグナムに企画を持ち込み、心霊ビデオは作るが、火事で焼失しその後10年かけてまた映像を集め『知られざる心霊世界』の発売至る、ところまでは、スムーズに聴けた。
だが、例のカメラ内向きの家の噺になると、様子が変わる。梅澤がその場を立った隙にあちこちを物色すると金井の携帯が見つかる。その他かなりの数の携帯が机の引出しに入っているではないか。2人は緊張する。
充分に警戒して梅澤に付いてふたりも廃屋に入って行くと、、、そこで彼は驚くべき告白を彼らにする。
「茨木が殺人をして、その霊を撮影していたのだ」という。そして自分も茨木の遺志を継ぎ、新たな心霊映像を撮るつもりだと。
カメラの意味が分かる。

何者かが梅澤の指示で古賀を背後から刺す。驚いて命からがら外に転げ出る杉本。
(その前に金井の声で「逃げて」という言葉を杉本は耳にしていた)。
警察の捜査からその家から沢山の人骨が見つかった。失踪者と思われる人に当てはまる人影も確かにビデオに写り込んではいた。もっともしっかり写っていたのがリポーターの箕輪春子であった(この世に執着のある者が霊になって出て来やすいと監督はビデオの中で騙っていたが)。幽霊を撮りたいが為、殺人を犯すとはね。そういう趣味人もいるかも知れない。
岩澤とその家に転がり込んでいた井川らとの連絡がつかなくなり、寺内が訪れると、様子の変わった岩澤が立っており、茨木監督の霊の目的が彼の口から語られる。自責の念から自殺したとは言え、心霊映像を撮りたい気持ちは残存し霊現象として人を襲っていたのだと。自分に共鳴する監督を探していたが、梅澤以外に誰もおらず、殺傷の対象になったという。
井川は共鳴した岩澤によって殺害されていた。


まあ何と言うかありそうでない微妙な隙間をゆく心霊モキュメンタリーであった。
一度観ても損はないと思われる。
続編がある。明日暇があれば観るつもり。





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怪奇蒐集者 ROCKV 村上ロック

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村上ロックは、わたしが怪奇蒐集者の中で最も信頼を寄せる人。
友達との話をよくするのだが、ホント友人が多い人だと思う。
その人たちが次々にネタをくれる。
どのネタも完全に自分の噺として消化し流暢に語る語り口は流石に元役者だ。
とは言え、こんな話ばかり日々している生活もキツイような、、、。


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1.カラオケボックス
友人が訪ねて来て、季節的に暑いので2人で女友達が店長をしているカラオケボックスに避暑を兼ねて行く。
しかし店には客がいない。こういう日が続いているという。
一緒に行った友人が幽霊が出そうだ、というと彼女は出るわよと平然と返すのだ。
下半身しかない幽霊が、客の部屋を覗くので気味が悪くて客が寄り付かなくなったらしい。
それだけでなく、二階の部屋にも出ると謂われ、彼女が止めるにも拘らず二人して見に行ってしまう。
何と緑に発光する子供が壁を凝視しているではないか。その子供の頭部がこちらに徐々に向いて来る。
このままだと目と目が合ってしまう。びっくりして階下に逃げて降りる。
彼女に告げると、怒らせたわ、と言って目を閉じてやり過ごすことに。それが階段をひたひたと降りて来る。
あるところで、「もう大丈夫よ」とその女性が言うので、良かったと目を開けると、彼女は目をつぶったままの状態であった。
また違う中年の霊が村上氏の耳元で奇声を発する。3人とも飛び上がって外に逃げ出した。

彼女はその後、店を辞め、2人に騙るには、、、
以前、内装工事の時彼女は店中の窓を全て閉じてしまったそうだ。
中にいた霊が外に出れなくなったせいらしい。窓のない建物に入るときは要注意である。

2.陰口
通り魔とは何かという噺であった。
バイトをしていた職場の先輩の朝の山手線での出来事である。
満員電車の中で、乗客同士の些細なトラブルから喧嘩になり、その先輩は隣に座っていた為、大変なストレスに苛まれる。
こころのなかで「ふたりとも死ね」と思ったら、どこからともなく女の子が唄う童謡が聴こえてくるのだ。
「陰口してるのだあれ」という一節が聴き取れた。最初は連結部分にその子を認める。
何故そんな遠くから歌声が聴こえるのかと訝ると、徐々にその女の子は近づいてくるのだ。
身長の関係から見るとあり得ない位置に彼女はいる。その時、彼はその娘がこの世のものではない事を悟る。
その娘の手が伸びて来るのを振り切るように品川駅で降りた。その時ほぼ同時に例の喧嘩をしていた乗客二人も叫びながら改札口を出て行ったという。

後で冷静に考えると、それは少女の形をしていたが、どす黒い感情の塊であった。
手を掴まれたら、その感情が増幅され誰かを襲っていたはずだとその先輩は騙る。
通り魔とよく言われるが、それは「通り悪魔」なのだと。
心の中で何か悪意を抱いていたひとにだけ聴こえる声であり、その声がしたら気をつけなければならない。

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3.白昼夢
廃墟を写真に撮って歩くのが趣味の女性の稀有な体験談である。
ある廃屋に惹かれ入った際、ガラスケースの市松人形を見つける。
人形の目と目が合った瞬間から市松人形の視点で彼女は物を見るようになってしまう。
人形がこの家を見て来た記憶映像をそのまま見る事となったのだ。一瞬に身体を乗っ取られた感じか。
家族が穏やかに過ごしている情景、カチンと映像が切り替わり夫と妻が掴み合いの喧嘩をしていて子供が泣いており、祖母が項垂れて座りそれに耐えている光景、カチンとまた移り変わると家族が皆天井を向いて寝ている光景であった。どうやら服毒して心中したようであったという。
市松人形の視点に置かれた彼女は首が折れそうな体勢に追い込まれ「痛い!」と叫ぶと、何とか自分の視座に戻ったという。
モノに籠る記憶の噺か。

「わたしは一切霊現象など信じませんしこれは白昼夢に過ぎないと自分では考えています。でも矛盾するようですが、はっきり確信したことがひとつあり、家族があのような事態に追いこまれた理由はその市松人形にある」と。モノに魂が籠もり災禍を招いたと謂うのか。その確信というところにわたしは興味がある。

4.線香
村上氏が怪談イベントで出逢った女性客から聴いた噺である。
この女性の上司が失踪し数日経って警察から彼の車が海辺で発見されたと知らされる。
職場はざわついたが、女性には彼は昇進して仕事には前向きであったことからまず自殺など考えられなかった。
しかしその後、警察からその近くの海で彼の遺体が見つけられたという。しかしその女性はその事実が信じられない。
それからその場所で毎日、線香一本、タバコ一本、彼の好きな炭酸を海に流していたという。
職場の霊感の強い女性が彼女が悪いモノを沢山引き連れていることを感知する。
そして更に霊感の強い彼女の母親に引き合わされ、絶対に海に行くのは止めるように忠告される。
だがそれはどうしても出来ないというと、仕方ないという事で命日にこの女性の母と海に行くようになった。
だが最近その同僚女性から連絡が気て母が交通事故死したと知らされる。しかもその時に首を絞められた跡がはっきりあったと。「母が死んだのはあなたのせいだ。もう一切関係を断つ」と連絡が来たと謂うことだった。
その女性は、これから誰と海に行けばよいか、途方に暮れている。
お祓いを皆から勧められるがその気になれないそうだ。
この女性自体がもう完全に取り込まれているのでは、、、。

5.鬼門
村上氏が最初に勤めた職場で出逢った仲の良い同年配の社員との噺。
その同僚が今度借りようと思っている賃貸物件の見取り図を村上氏に見せるが、氏はその物件の押し入れに違和感を覚えた。
北と東の間が鬼門だがそこに出入り口のあるところを避けるものだが、二つの内片方はまさにそれであった。しかし氏が絶対にやめるように言った部屋を奥さんが良いと言って、その物件に決めてしまったという。
そこに移ってから奥さんに異変が起きる。
押し入れに生まれたばかりの子供を抱いたまま寝ていたり、そのような奇行が目立つようになった。
全て押し入れ関係である。その友人が奥さんが実家に出て行った後、自分も押し入れに寝てみると、入眠して女の子に出逢う。その女の子は自分の口から獣の歯を抜いていたのだ。ビックリして声をあげると、目覚める。
下の段には妻の愛用する裁縫箱があった。開けてみると人間の歯がひとつ入っていて流石にまずいことに気付く。直ぐにその部屋を解約し、奥さんと子供と共に新しい部屋に移ることになった。奥さんが何故、あの部屋を強く望んだのか分からず仕舞い。
まあ古くから方位に関する学問もあるし、その法則を蔑ろにすることは避けたいと思う。現代においても風水に凝る人も多いものだ。
それにしてもこの奥さんを捕らえたモノの正体は何であるか。このように何かの隙にスッと乗っ取られるリスクは大変怖いものである。わたしも知らず傀儡化されていたかも知れない。このままでいたら奥さんと赤ん坊はどうなっていたものか、、、。

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こうした職業の人たちはコンスタントにあり得ないような奇談を集めて来るものだ。
いや奇談に見えて日常を侵食して来るありふれた話なのかも知れない。
例え作り話としてもよくこんな物語を思いつくなと感心するばかりである。
作家とは、元々そういう人であるし。
以前と比べ、村上氏、噺自体が少しこじんまりとして来たような印象は受けた。




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久々に怪談を聴く

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「山の怖い話」というのを聴いてみた。
怪奇蒐集者の安曇潤平という人のもの。

山岳怪談というジャンルを開いた人だそうだ、、、
これってホントの噺ならかなり奇妙。
そういうもんだと言われれば、そういうものか、というところだが、、、
山で起きること、というところがミソ。
山ならあるのかも、と想わせる(実際、彼の体験談という形なので法螺話と言う訳ではないはず)。
ちょっとうら寂しく哀しい詩情も感じられる世界を騙る。

村上ロックみたいな奇想天外で哲学的・SF的な鮮烈な世界ではなく、伝統的な怪奇譚に収まるものだと思う。
話し方や佇まい所作などとても地味で静かで落ち着く。
丁度、畑で採れた野菜を届けてくれる叔父が茶を飲みながら何となく世間話を始めるのに近い。

こっちは聞いていても聞いてなくてもどっちでもよいような気になる。
そんななかでじわっと入ってくる話だが、、、
怖さは微塵もなく奇妙で不可思議なものばかり。
彼もその体験に恐怖は全く感じず。、そうなのかと静かに納得する類のものだと騙る。

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1顔無し地蔵
登山仲間の3人と安曇氏が山歩きをしていた時、ふと一人が楠に隠れてずらっと並んでいる地蔵を見つける。
それらは、顔のしっかり彫られたものと全く手の付けられていないものとに分れていたという。
帰って暫くして、一人が山から滑落して死ぬ。その後もう一人はハイキング程度の低い山で心臓発作で死ぬ。残った友人が例の地蔵がしきりに気になり行ってみると、何と顔がふたつ増えており、それぞれ死んだ友人にそっくりだという。かなりの腕の彫刻家である。何者かは知らぬが。それに驚いた友人は安曇氏の元に駆け込み、もう二度と山登りはしないと誓ったそうだ。しかし彼もまた交差点で信号無視の車に轢かれて死んだそうだ。山は関係なかった。一緒に山歩きをしていて安曇氏と他の3人の友人を隔てる要素は何なのか、、、よく分からない。それより親しい友人を3人立て続けに失った割に飄々とその経緯を語る安曇氏が面白い。

2リフト
安曇氏はHPで山の麓の美味しいお店を自主的に紹介する食べログの先駆け的存在であるそうだ。
紹介され繁盛した店主にキノコ採りに誘われ、互いに鈴を身に着けその音の聴こえる範囲での行動を厳重に言い渡されていたのだが、マツタケを見つけて舞い上がり、音の聴こえないところに逸れてしまう。山道なら良いが山の中に一度入ると人は迷って出られなくなるという。彼は日の光の射すところへと向かって歩いていくと、大きな斜面に出くわす。かつてのスキー場跡地のような鉄骨が並びリフトが付いていることを確認する。しかしその中にミイラのようになった人が座っているのに気付く。彼は山の奥に戻るより斜面を降りた方が安全だと察し、まさに降りようと試みた時に例の鈴の音を耳にする。きのこ採りの名人にしこたま叱られ、そこを降りたら滑落して死んでいたと脅される。最近も落ちて戻らない人がいたそうだ。あのミイラの姿は消えていた。この安曇氏、見える人のようだ。

3カーブミラー
箱根湯本に雑誌の取材で訪れた時のこと。車に怪談作家の女性と編集者と乗っていたのだが、急カーブを曲がりながら走ってゆくうちに嫌な感覚を覚える。そんな時、同乗していた女性作家が煙草をやたらと吹かし始めた。彼女は煙草を線香の代用として使っていたのだという。あなたも見ました?と聞くので見ましたと返す安曇氏。カーブミラーに映った自転車をこぐ女子中学生と思われる制服を着た少女であった。後で知ることになるが、バスがカーブの際に上手く曲がり切れず女子中学生を轢き殺してしまったのだった。
周りの人は怖い話ですねえと謂うが、未だにずっとミラーの中を家に帰ろうと走り続ける少女の哀しい噺だと締めくくる。
浮遊霊なら成仏させてあげたのだろうか、、、霊能者なのだし。永遠に家に帰ろうと自転車こいでいるのは余りに哀れ。

4綱引き
安曇氏は登山した際は、山木屋ではなく自分のテントで夜を過ごし4日くらい山の生活を楽しみ下山するらしい。
だが、嵐となった際はテントは危険な為、山小屋に駆け込むという。その時はオフシーズンの為、小屋は自分の他におじさんが一人いるだけだった。天候が悪いので明日下山することにしてその夜はおじさんと酒を酌み交わし話に興じたという。
その男はテントで金縛りにあった時のことを詳細に語りだした。身体が全く動かない時に自分の頭上から手が伸びて自分を上に引っ張り出した。テントの外に引っ張り出されてしまうと思ったら何と今度は足を同様に引っ張る手がテントの外から伸びて来たのだ。その力は同等で、ずっと引っ張られているうちにお腹のところから裂けて真っ二つになってしまったという。
安曇氏笑って、だってあなた今こうしているじゃないですかというと、彼はトイレに出掛け、もっと怖い話をしてやろうと謂ったきり戻ってこなかったそうだ。後に滑落死体で体が真っ二つのモノがあったことを知る。だがその死体に登山時の装備は全く付いておらず、別の状況下で二つに切り離されたことが窺えるという件であった。そのおじさんは真相を伝えに現れたのか?確かにそんな事態を想像する人などいる訳がない。

5釜トンネル
これは安曇氏が友人から聞いた話だという。
とても辺鄙な場所でその友人ら2人が、とっても古い苔むした慰霊碑の並んでいるのを見つけた。
手を合わせて夜も更け、帰り道を一人が酷く遅れ出す。疲労からだと思われ、おい大丈夫かと声をかけトンネルの中で待っていると、その酷く疲れた友人の背中に何か得体の知れぬものがおぶさっているではないか。悲鳴を上げそのことを伝えると彼も叫びながらトンネルを走って駆け抜けて行ってしまった。彼も急いでトンネルを出るとその出口に友人はホッとした感じで座っており、もう心配は無いという。除霊を勧めたのだが、トンネルを出る時それは耳元でありがとうと囁き去って行ったという。
つまり碑から何とかその場所まで移動したかったというのか。霊とはそんなに不自由なのか、というよりまだ地上を移動して何やらやることでもあるのか、、、そこが不可思議に思った。

6牧美温泉
ある宿で味わった「鯉こく」の味が忘れられず、次の年にその宿を再び訪れた安曇氏である。
前回はおかみさんと中学生くらいの女の子が明るく暖かく迎えてくれたそうだ。しかもその時は客が彼一人であったそうで、宿を独占する形で伸び伸び過ごしたという。だが今回現れたのはご主人一人である。安曇氏は前回の噺をして「鯉こく」に感動したことを伝えると、そんなはずは無いと返す。おかみさんから聴いていた通り主人はその時、入院していたのは確かだが、その前に妻と娘は交通事故で亡くなっていたのだ。仏壇の写真を見るとまさにその2人であった。
当然昨年は宿を閉めていたのだ。彼が言うにはその「鯉こく」は奥さんにしか出せない味で、どう頑張っても自分には作れない為、メニューから外していたという。彼があの「鯉こく」を味わうことが出来た安曇氏に羨ましいと語ったそうだ。
わたしもその「鯉こく」が無性に食べたくなったわ。

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不可思議な噺を仄々聴かせてくれるので、この人の山岳怪談、また聴いてみたい。
山岳奇談のような気もするが。





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恋の潜伏捜査

SHES ON DUTY001

SHE'S ON DUTY
2005
韓国

パク・クァンチュン監督
チョン・ヨンギ脚本

キム・ソナ、、、ジェイン(刑事)
コン・ユ、、、カン・ノヨン(不思議な男子クラスメイト)
ナム・サンミ、、、スンヒ(ギャング№2の娘)
ハ・ジョンウ
キム・ガプス
パク・サンミョン


韓国のコメディ・アクション映画。真面目な女性監督のものばかりでなく売れ筋コメディで笑いたい気分のときもある。
ただ、笑いのポイントは腹を抱えて笑う類のものではなくニンマリ来るタイプのもの。
もう少しパンチの効いたコミカルな場面が散りばめられているかと思ったが、それ程でもなかった。
ヒロインが如何にもという感じのパワフル系で、彼女に守られる線の細め美少女が通常ならヒロイン役タイプか。
(ちょっと池田 瑛紗に似ている。ほめ過ぎか)。

SHES ON DUTY002

全体的に平たく面白い感じのドタバタ映画であったか。
高校に潜伏するヒロイン刑事がやたらと強く、ほぼ無双で敵を倒してゆく。
敢えて拳銃は使わず素手で倒す、凄い腕っぷしの女性刑事なのだ。
だから高校のスケバンとか番長など赤子の手を捻るくらいのもの。
立ちどころに高校制圧してしまうが、目的はギャング組織のナンバー2が警察に協力することになったことで、その娘の身が危険にさらされる為、警護するというもの。
抜擢されたのが、学校~勉強大嫌いのヒロイン刑事である。叔父でもある上司に、何とか女子高生ギリセーフということで無理やり命令される(笑。

SHES ON DUTY003

韓国映画のヒロインはとかく繊細でクールな感じの美女が多いが、このヒロインは豪快な姉御肌で庶民的な感じの気の良い人。
懸命に№2の娘と友達になろうと何かと接近を試みるが向うにその気が全くない。
彼女はどうやら学校一の秀才みたいである。
素朴で粗野な感じのヒロインとは直ぐに打ち解けるのは無理か。
なんやかんやと手こずっている間に、不良ばかりが寄って来て、それらをまとめて制圧してしまいそちらの方面でやたらと目立ってしまう。

そんなころ、ギャングは身を隠し潜伏する№2を探し回っていた。
当然、娘の学校にも手下を派遣して来るだろう。
と思ったが、その男だと思っていたのが、まさかヒロインに惚れてしまい、彼女に手を貸すことに、、、。
彼も高校生らしくなく、日本に暫く父の仕事の関係で移住しており急に帰国したという。
(時折、しっかりした日本語を話す。確かにいたみたい)。
何だか怪しく、マークしながら様子を見てゆくヒロイン。

SHES ON DUTY006

そして金で寝返っていたのが、本部から派遣された腕利き刑事である(いつも手柄を横取りする)。
その刑事に協力して事を進めていたのだが、その男が大事なところで、寝返り叔父を刺して例の娘を狙う。
それまで捜査や警護の撹乱とか、ヒロインに対する邪魔などは特になかったような感じであったが、、、。
また、この班のメンバーが皆のんびりしており、特にヒロインの先輩刑事などほとんど使い物にならない。
その先輩刑事も大事なところで裏切る。
彼もまた金でヒロインと娘をギャングに売ったのだ。
日頃から役に立たないのにその上裏切ってどうする。
少しの間ヒロインは電気ショックで戦闘不能になるのだが、、、。
そこへ助っ人として現れたのが、終始怪しいヒロインより少しばかり早く転校して来た例の男子学生である。
これまで度々陰でヒロインを手助けして来たのだが、正面から颯爽とやって来た(笑。

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ここに来るまで、、、2人の関係は典型的なラブコメ路線で、もどかしく走って来たもの。
彼も腕っぷしが強く、ヒロインが警護する女子をピンチから救ったりもしてきた。
そこで彼とヒロインも接近することになったのだが、何と彼女のために警察が借りた部屋が彼の隣と来た。
こりゃ典型的なラブコメお膳立てでないの。安易すぎるが、、。
何かと2人は交錯することに。そりゃ交通上当然である。
それにヒロインの方もまんざらではない。
だが、相手が高校生ではどうにもならないという状況で進行する。

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そして警護対象の彼女のところに父親がひっそり逢いに来たりしてちょっと動きが出て騒がしくなってくるのだ。
同時に娘の方がヒロインを頼って来る。どういう経緯だっけと思ったが急にヒロインと親密になっている(きっかけが思い出せない。
父とのことで心細くなってしがみついて来たという感じか。
この頃もうヒロインは転校生ではなく潜入捜査官であることがバレていた(笑。テストで警察ぐるみのカンニングを担任に見破られ上司の叔父が詫びを入れて身分を明かしたのだ(笑。この辺が何ともポンコツラブコメ感満載。
(担任が凄く良い人で不正を一切しない熱血教師。韓国映画ではほとんど観ないタイプであった)。
この騒ぎに乗じ腕利き刑事の加担でギャングに父親は囚われてしまう。
そこで、娘の目の前でボスの奸計に嵌り父は刺されてしまうのだ。

まさにこのタイミングに彼がやって来てヒロインと2人で八方破れの大乱戦へ。どんどんギャングを圧倒して行く。
そしてここは俺に任せろと言って彼女にボスを追跡させる。
腕の利く男が乱入して来たからと言っても多勢に無勢。
拳銃があれば何とでもなろうが、この男一人にギャングは制圧されてしまう。
どれだけ強いのか。ギャングが不甲斐ないのか、それより警察早く来い、というところ。
敵のボスは金をしこたま持って車で逃走するがヒロインにボンネットに乗られて阻まれ車はゴミ置き場みたいなところに乗り上げそれまで。ボスは怪我をしてKO。強いんだか弱いんだか、アホなのかよく分からないボスであった。

SHES ON DUTY005

そこに現れた裏切り刑事は他のギャングと違い、手強い。かなり追い込まれるが彼女底なしのスタミナである。
何とかこの裏切り者を倒し、もう一人の裏切り先輩を罵っていると、叔父が意識を回復した知らせを聞く。
娘の方は重傷の父と救急車に、、、命は助かりそうだということ。もうハッピーエンドに締めくくろうと急ぎだす。

事件が落着したところに例の彼が爽やかにやって来てヒロインと熱い抱擁。
(この男が誰であったのかは最後まで分らぬまま)。
ちゃんとあんたも高校生ではないわねと確認してキッスと、まあ、鉄板のラブコメディだこと。大雑把だが、、、。

余りお笑い場面がなかったなあ、と残念なところもあるが、全体に満遍なく面白い映画であった
キャストはピタリと合っていた。特にヒロイン。この役はこの人以外ではちょいと考えられない。
若いのに肝っ玉母さんみたいな人(飽くまでもこの映画では、である)。

何だか筋を追って語ってしまっただけだが、他にこの映画を観てすることはない(爆。




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わたしたち

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2015
韓国

ユン・ガウン監督・脚本

チェ・スイン
ソル・へイン
イ・ソヨン
カン・ミンジュン
チャン・ヘジン


又もや韓国若手女性監督の非凡な作品。
しっかりした若手支援(特にお金面)の体制が整っているらしい。
日本人も優れた女性の若手監督はいるが、製作費とか大丈夫なのか。
その辺が心配。

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主人公の11歳の少女が大変可愛い。
こういう子が虐められ役はキツイ。
しかし真っすぐで全く歪んだところが無いのが救い。
いじけてしまったらこの先が危険。

この時期の少女は特に仲間関係の(政治的)流動性は激しい。
目まぐるしく変わる。先生や大人は到底ついて行けない。権力関係の構図を分析しても追いつかない。
今日いがみあっている相手と明日は利害関係から手を組み他の相手といがみ合う(笑。
世界の縮図でもある。そんな感じだ。

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だが勿論、理不尽な目に遭う度にちゃんと落ち込む。
しかし気になる友達とキッパリ離れられるわけではない。
(惹き付けられるものが互いにあるのだ)。
幼い弟も、いつも暴力を振るい怪我をさせる友達と共にいる。
弟の顔の怪我を観て姉として放ってはいられない気持ちになるのも無理はない。
姉が殴られたら殴り返しなさい、もう付き合うの止めなさいと忠告すると彼は、でも遊びたいんだ、という。
「叩かれて叩いたらいつ遊ぶ?」と返される。
これには、彼女もことばが返せない。

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まさにその通りだ。
大人はこのことばをしっかり受け止めなければならない。
「叩かれて叩いたらいつ遊ぶ?」
この弟がまた凄い名優なのだ。
と言うか、ここに出て来る子役は皆凄い。
姉が圧倒的に可愛い。これ程素朴で率直で、しなやかな気持ちを持ち続けられる子はそうはいないのでは。
このまま育って欲しいもの。弟もだ。

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基本、いじめられっ子ではあるが、大丈夫。
親友が出来れば心配ない。居場所が確保され癒される。
彼女は家が貧しく父がアル中。ゴタゴタ拗れてはいるが転校生の彼女は親が離婚。
共に淋しく寄る辺がない。だがその寂しさに耐えよく頑張っている。
それでよい。
弟のことばを噛みしめ、遊びたいというこころを大切にしてゆけばいずれまた仲良くなれる。
何故だか惹かれる気持ちを拠り所にして、遊んで楽しい思いをすることを優先すればよいのだ。
そうしたら顔の傷もお愛嬌。

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ヒロインも転校生と感覚や考えの違いというより、齟齬が生じてそれが大きな葛藤や誤解へと繋がってしまっている。
最初から常にグループの虐めの親分をやっていた子もそれなりの生き難さを抱えているのだと思う。
ひとを虐げ(変な臭いとか生理的な)排除などすることで自分を保っている子にも無理がある。
特にこの子に顕著であったが、個人的な秘密や噂話を広め仲間作りとターゲット攻撃に利用する。
このやり方はどうやら普遍的なもののよう。
(大人もそうだが、噂話や悪口を流されるとコロッとそれに絡めとられてしまうのだ)。
拗れる原因はこれが大きい。ヒロインも大いにこれに巻き込まれる。
転校生と殴り合いの喧嘩に発展し、彼女も顔に傷を負ってしまった(弟の事は言えない((笑)。
しかしこれはちょっとした歩み寄りの気持ちがあれば、すっと忘れてしまうような拗れだ。
元々、ハッキリした対立があったわけではない。

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終わり方が絶妙な映画であった。

こんなことを繰り返しながら大人になるのだな。
それが良いとか悪いではなく。
どうであっても生き難い世の中であるし、楽しく遊べたかどうかだと思う。


韓国の若手女性監督が今後どのような映画を作って行くか、これは期待したい。





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百瀬、こっちを向いて。

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2014

耶雲哉治 監督
狗飼恭子 脚本
中田永一 原作

早見あかり、、、百瀬陽 (瞬に想いを寄せる女子高生)
竹内太郎(15歳) / 向井理(30歳)、、、相原ノボル (百瀬の一学年上)
石橋杏奈(18歳)、、、神林徹子 (瞬の彼女)
工藤阿須加、、、宮崎瞬 (相原の先輩、幼馴染)
西田尚美、、、相原悦子 ( ノボルの母)
ひろみ、、、田辺真治 (相原の親友)
中村優子、、、宮崎徹子 (33歳時の神林徹子)
きたろう、、、吉岡先生


これは終盤に来たね。
ともかく、わたしは何でこの子たちはこんなバカバカしいことやってるのよ、と呆れながらよくまあという感じで観始めた。
どう考えてもあり得ない。
こんな関係性を継続するなんて。何にもない空の下。
金貰って一日だけその振りするというのは、出来たとしても、、、。

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相原は小説家としてかつての高校の担任の吉岡先生に招かれ体育館で講演会をすることになり、故郷に戻って来た。
街頭で、先輩の彼女であった徹子とその娘に出くわし、カフェで暫く昔話をするという設定で物語が展開する。
徹子は講演会の事は知っており、その話から入って行く。
今現在の時間にその当時の記憶が流れ込む。
時間の交錯はとてもスムーズな形で流れる。ここは心地よい。

実際に、百瀬と相原が高校で恋人同士を偽装してもほとんど何の効力もなかった。
誰も何とも思わない。一体この芝居は何であるのか、、、宮崎に対する百瀬の気持ち、その表現、、、。
ずっと律義に先輩の言いつけを守りやり続ける。
少なくとも百瀬と相原にとり楽しくもない残酷で辛いファンタジーだ。
この筋書きにリアリティを感じないというだけでなく、、、演技・演出~ディテールにも白々しさは感じる。
だが、このような荒唐無稽な設定でなくとも、残酷な恋愛関係というものは幾らでもあるはず。辛い自分なりの記憶も呼び覚まされ惹き込まれてゆく。一種の普遍的テーマとも謂えるか。
そもそも宮崎先輩というのが、さっぱり分からない。
だがどういう神経している男なのかと訝るような男も必ずと言ってよいがいるもの。

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確かに学園のマドンナと一番モテる男子が付き合うと言うのは分かるが、
宮崎が百瀬と話していたのを他の生徒に見られたことで噂が広がるのを防ぐため、後輩の相原と百瀬に偽装カップルを頼むってちょっとあんまりでは。しかもそれを引き受けるって、、、?
相原は子供時代に怪我をしたところを助けてもらい病院まで背負って運んでもらった恩があり、百瀬は宮崎を慕っており彼の為なら何でもやるというスタンスだ、という。

しかし好きな相手が彼女とデートするのに、ダブルデートで相原と共に付き合うって、凄いメンタルだ。
そういう形で認めてもらいたいのか彼に。
だがやはり百瀬もデートの還りに感情が爆発する。相原もたまらず田辺に全てを打ち明ける。
恋愛の恐ろしさを訴える。田辺は彼に闘えと謂う。良い友人だ。

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相原はその不憫で一途な百瀬と関わるうちにホントに恋心が芽生えていた。それを思い知る。
ここだけは自然だと思う。手を繋ぎ、髪を切ってくれ、家に来て母のカレーを食べて、映画館では肩を貸してくれて、、、
いやでも情は移るもの。
先輩カップルも怪しいところはあるが、この後輩偽装カップルは虚しさと儚さを噛みしめる。
森鷗外の『舞姫』が出て来るのも分かるが。
百瀬にとりこの形が唯一の恋愛表現でもあったのだ。それを尊重して相原は苦しくも虚しい関係を律義に続けた。
全ては百瀬のため。

宮崎は父親が亡くなり、テーラーの店再建を目指すには金持ちの神林と結ばれることに賭けているらしい。
花言葉に詳しい神林が何故4人デートを敢行後に宮崎に鬼灯をプレゼントしたのか(それは「裏切り・不貞」である)。
彼女は少なくとも何をか知っていたのは確かのよう。宮崎には何も勘づかれないように振舞っていただけなのだ。
その証拠にカフェから出た時に、百瀬さんに逢ったらありがとうと伝えてと謂う。

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かつて、、、ついに耐えられなった相原は宮崎に詰め寄る。
「あなたは人の痛みが分からない」と相原。
「お前が知っていることだけが正しいんじゃない」と返す宮崎。
そして百瀬に手紙を書き彼に託す。
相原は自転車を必死に漕ぎ、夜遅くに百瀬宅を訪れ手紙を手渡す。
もう一切会う事は無いと書かれていたという。
わたしはどうすればよいのかと(今更ながら)悲嘆にくれる百瀬。
相原はそれを後ろから見守るしかない。
気持ちをぶちまけるが同時に、こころを閉ざそうとしている。一生その感情に囚われて過ごすと、、、。
今や愛おしい彼女を何とか救いたい、その一心の相原。

「百瀬、こっちを向いて!」という相原の悲壮な叫びは実によく分かる。
彼と彼女の本心が初めてぶつかり合う。「あなたってやっぱりいいひとだわ」。
そしてそれっきり終わる。
もう偽装の恋人を演じることはなくなったのだから、、、。

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竹内太郎から向井理へのスウィッチはとても自然で良かった。
石橋杏奈から中村優子も上手い形でスウィッチされている。
このキャスト選択は成功している。
劇中のピアノ曲も良かった。

「青い花」のノヴァーリスをモチーフに今度の小説を書くと話す。
青い花は一説では「つゆ草」花言葉は、尊敬、懐かしさであると。彼はその本を彼女に差し出す。
「一番儚いことは不当に所有すること」徹子が一節を読み上げる。
別れ際、「先輩は今しあわせですか」と後姿に声をかけると「世界一幸せよ」と笑みを返した。
相変わらずの彼女であった。

一人になり、百瀬の面影を観てはっとする相原。
相原の胸には彼女の存在はずっと残っていた。彼もまたあの時の感情をずっと引き摺って生きて来たのだ。





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ミナリ

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Minari
2020
アメリカ

リー・アイザック・チョン監督・脚本
エミール・モッセリ音楽

スティーヴン・ユァン、、、ジェイコブ・イ(韓国移民)
ハン・イェリ、、、モニカ・イ(妻)
アラン・キム、、、デビッド(長男)
ノエル・ケイト・チョー、、、アン(長女)
ユン・ヨジョン、、、スンジャ(祖母)
ウィル・パットン、、、ポール(農場の雇われ人)
スコット・ヘイズ、、、ビリー(デビッドの友人)


リー・アイザック・チョン監督自身が韓国系の移民二世であるという。
自らの生活実感から作られたものだけあり説得力が半端ではない。
しかもアメリカへの同化の努力が目一杯描き尽くされており、極めて高い評価を受けている。
アカデミー助演女優賞を妻方の祖母を演じたユン・ヨジョンが韓国人で初めて受賞しているが、確かに圧巻の演技であった。

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アメリカは基本、移民国家である。
成功を夢見て多くの人(種)が渡って来るが、誰もが上手くいくとは限らない。寧ろ失敗例の方が目立つもの。
ここでは、韓国移民のジェイコブ一家が、ミナリ(セリ)のように力強くアメリカの地に根を張る姿を描いてゆく。
ちょっと無謀に思えるアーカンソー州の田舎町に何もない広大な土地を購入して0から農場を立ち上げる事業を個人で始めるのだ。
それが軌道に乗るまで夫婦で、ひよこの雄雌を見分ける作業所でも働く。
大変多忙で過酷な作業が続くが、障害が立ちはだかり上手く事は運ばない。

ドラマチックに盛り上げたりする演出は皆無だが、淡々と進行する切実な物語は胸を締め付けてくる。
音楽は控え目だがとてもマッチしている。

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この物語は、幼い長男デビッドの立ち位置から見た世界と言えるか。
この男の子の心境の変化と成長も見もののひとつ。
長女はほとんど添え物くらいの存在である。
父はわたしが成功する姿を子供達に見せたいと、苦難に遭うたびによりその信念を強くする。
基本的に良い父と母なのだが、考え方の違いで対立は絶えない。

父は妻の孤独を思い、一家は教会デビューをする。それによりコミュニティとの連携が初めてとれる。アメリカのキリスト教の根深さ果たす役割を思う。
農場経営で雇っているポールも十字架を担いで坂を登り、これがわたしの教会だと告げる。
何とも、イエスのゴルゴダの坂を十字架を背負って登るシーンを再現するかのような苦行を自らに強いている。
狂信的なキリスト教信者とも謂えるか。しかし彼もこの片田舎の一つの光景として馴染んでいた。

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そんななか、仕事が大変な上に、長男が心臓に病気をもっている為、子供の世話を妻の母に頼み韓国から呼び寄せる。
この妻の母~祖母が、奔放かつ豪快な人で子供たちは戸惑う。
面白いおばあちゃんとか言って懐かないのだ(おばあちゃん子になるパタンの映画の方が多い気はするが)。
お土産に持って来てくれた食材には大いに感謝され、敷地の河辺には、ミナリ(セリ)を植え込む。
子供たちにはその意味は判らない。

長男はこの祖母に拒絶反応を示し、父親から注意を受ける。
おばあちゃん、臭うから嫌だ、には笑った(年頃の女子なら分かるが~うちの娘なんてまさにそれ)。
更にこのおばあちゃん、文字が読めず料理も出来ないことから子供たち(特にデビッド)からおばあちゃんらしくないと拒否される(笑。
その上、ヤクザっぽい花札をデビッドに教え込み、彼は教会で友達になったビリーに教える。
彼はクールなカードゲームだねとか言っていたが、、、。

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一番笑ったのは、父が煎じて?飲ませる水が嫌いで、おばあちゃんからも飲まされるため、カップに自分のおしっこを入れおばあちゃんに飲ませようとする。
これにはおばあちゃんも直ぐに気づき、大慌て。
父には、本気で叱られる。
このやんちゃさが自然で良い。

ただ、事業が上手く進まずギリギリの生活がづづく中、夫婦間の亀裂は深まる一方。
子供の前で夫婦げんかが始まる始末。
畑の地下水が枯れ水道水を使って散財したり、頼りにしていた取引先に急に断られたり、、、そんなことが続く。
後で取り返すと謂い、色々と機材は買い込んでゆく(これは仕方ないことだ)。
子供の学校はどうなっているのか、病院も遠いが、学校のシーンがなかったような、、、

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そんなときに、おばあちゃんが自分みたいにおしっこを布団に漏らしたのをデビッドは発見する。
どうも様子がおかしい。長女が母に電話し病院に運んで、脳卒中であることが分かった。
退院はするが言葉が出ず、半身麻痺となる。
大変な時に大変な事は重なるものである。もう子供たちの面倒を見るどころではない。祖母の面倒も見る事となる。

だが、定期健診でデビッドの心臓に空いた穴が小さくなっていることが分かる。
担当医は、このままの生活と水を与えなさいと謂う。
夫婦は手術の必要が無いことを知り胸を撫でおろす。
父も子供の為に今まで頑張って来たのだ。ここで夫婦に笑みが見られる。

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更に良く出来た野菜の出荷先を見つけ来週から本格的に取引を開始する契約も取る。
まずは、第一歩がしっかり踏み出せる形となった。
だが、夫婦と子供二人で車で契約先から帰って来ると、周囲が焦げ臭い。
慌てて野菜の格納してある納屋に走ると、何と火が燃え広がり、火事になっているのだ。
4人が病院に行っている最中に祖母が不自由な体でゴミを燃やしている際に、火が一面の枯草に燃え広がっていた。
わたしがこれまでに観た映画の火災で「最もショッキングな火」である。

必死に夫婦で燃えている納屋から荷を運び出そうと奮闘するが、火の回りが早くてほとんど果たせない。
勢いよく激しく全焼する建物、その中の野菜を、ただ座り込んで眺めるだけのふたり。
これ以上の絶望ってあるか。
茫然自失の祖母は、家と反対の方向に向け歩いて行く。
そこに幼い姉弟が立ちはだかり、おばあちゃん何処に行くの、家は向うだよと手を引っ張るのだ。

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残った家で5人で河の字になって寝て朝を迎える。
河辺に行き、父がセリが充分に根を張り育っていることを確認し「おばあちゃんの手柄だ」といって皆で食べようと収穫する。
その後、彼が更に精力的に水を確保し仕事を続けて行く姿が描かれてゆく。
お父さん、実に二枚目になっている。
ミナリ~「セリ」は2度目の旬が最もおいしいと謂われ、子供の代の為に親が懸命に頑張る意が込められているそうだ。


この夫婦と息子の演技には圧倒された、と同時に祖母には鬼気迫るものを感じた。
音楽も含めよく出来た映画だ。この同化の物語、アメリカ人が好むのも分かる。




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今日は公園で書いた(笑。



雨の日の最終日の女子美ギャラリー

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昨日、たまたま相模原公園に行くと、女子美で今日までの展示会がある事を知る。
日曜日は閉館ということなので、運動方々明日、行くことに決めた。
だが、公園は月曜日は植物園には入れない。つまり公園でゆっくり座ってコーヒー飲んだり軽い食事も出来ない日である。
だが月曜日までの展示会では、仕方ない。
今、生憎雨でもある。自転車ならまあ丁度良い距離だが、歩きでゆくところではない。
しかしバスが大嫌いで、運動不足と来ている為、徒歩を覚悟する(爆。

「猫頭倒立的宇宙」サ・ブンティ展というもの。
本業に関する記事は久しぶり。
逆さまの猫の顔が龍の胴体にくっついていて、九猫図とか、なんか何処かの土産物店に来たような気がした。
ビニル製?の龍が天井から吊るされていたり、丸いソーサーみたいなのも壁に並んでいて、何だか、、、やはり観光地の土産物店しか思い浮かばない。
屏風調の画面に竜やトラや豚やペガサスに加え逆さの猫の顔などがコラージュされた作品があったが、これなどお茶目な中国マフィアのボスが客間などに飾っていてもしっくりくる、感じがした。マチエールはかなり盛り上がった豪放な筆遣いも観られたが。

猫が愛おしい対象であると同時に恐怖の象徴でもあるそうだ。確かに一つのモノに対してアンビバレントな感情を抱くの事はよくある。と言うか大概そうだ。
わたしにとり、娘は何にも代え難い可愛い対象だが、恐怖の魔女でもある(爆。
ひとつのありふれたもの~こと、がその意味~ディテールを際立て異化させてしまう例として、異様に克明に描かれた絵(ダリなど)とか、小説ならカフカのものに際立って感じられる。

中国の人で大学院博士後期課程研究作品発表会というのに当たるそうで、ご本人も会場におり、何やらずっと中国の人相手に話していた。
真ん中辺でずっと何やら話をし続けていた、中国語で。
宙に浮いている竜、、、いや猫竜を観ながら自然にその下に入って行ったら監視役の学生から注意を受け、驚く。
「下に入らないでください」と。見ていれば自然に行ってしまうような空間に思うのだが。
動くスペースも少ない会場にデカいものが吊るしてあるのだ。下から見上げるのがいけないのか。
作品数も少なく、インパクトも無かった。

二つの異なるモノを結合して、何やら名状し難いモノを現出させる~意味を解体する、というのは、別に新しくも何ともない。
「シュルレアリスム宣言」この方、、、。
それに、もうわれわれの感覚では、何観ても驚かないのよね(それを言っちゃあおしまいだよ、と寅さんにいわれようが)。
異様で面白く愛着も感じてしまう人気アイテムも時折、生まれたりもするが、その手のものにもなり得ない。
人気キャラ(マスコット)で1970年代だったか、赤塚不二夫の『天才バカボン』に”ウナギイヌ”が登場していたが、とても面白い印象的な造形だった。
いや、これはアートであり、猫の顔が逆さまに結合されている点が肝心だ、とか言われそうだが、それによって何やらこれまでのモノの見方に裂け目が生じたり、居心地が悪くなり、異様な文脈に引き釣り込まれるような感覚とかは、無いな。ただ単なる逆さの猫の顔と竜の身体があるなと思うだけ、、、なのよ。それらはしっかりそのコンテクスト内にいるし。
で、全体として惹き込まれる魅力があるかどうか、なのだけど、、、もう少し他の作品も観てからにしたい。まだほとんど知らない作家さんであり、恨みがあるわけではない(笑。ここで文句をつける気はない。

Zha Wenting002

これまでにここの展示会は少なくとも20回以上は来ている。いやもっとか。娘を連れて10回以上。学園祭は娘と3回来ていて、学食も2度利用した覚えはある。が、随分雰囲気が変わったモノだ。
そういえば小学生の娘と来た時、作者と思しき人が見えていて、質問を娘がしたら何やら答えてくれたことがある。そこに教授と思しき人も混ざり、そこそこの時間、議論していたのを思い出す(笑。
われわれの帰り際、教授(恐らく)が「大学に来るの待ってるよ」と娘に声かけてくれた。彼女もニンマリしていたものだ。

雨の中傘をさして歩いて来た事もあり、昼頃着いたのでお腹も空いた為、久しぶりに学食で食べようとしたら、何と名前と電話番号を記入してもらうと言われ、唖然とした。何なの?という強い違和感。
何で一般開放されている学食だと言うのに、名前と電話番号を書かないと入れないのか?!
仕事の関係で東京外語大の学食をほぼ毎日のように使っていたこともあるが、フリーパスであった(しかもメニュー豊富で美味しかった)。開放している時間帯なのにフリーパスでないの?
コロナとかの関係もあり規制をしているのですか、とか尋ねると、そうですとか話を適当に乗せて来る。
嘘だ!そんなはずない!
ふざけるな、と思い、勿論やめた。
そういえば普通、入場するときは必ず受付で、会場見取り図、パンフレット、絵葉書、アンケート用紙などを渡してくれるものだが、何もなかった。名前、住所を自主的に記帳するノートはどこの会場にもあるが、それも見当たらなかったな。
そう、最初から雰囲気が悪かった。この受付。

何なんだこれは。
雨の日にわざわざ来るようなモノでは全くないし、、、
不快。の一言。
もう、来る気はしないな。
今日が最後だ。

隣りのコンビニでサンドイッチ食べながらこれを書いた。

Zha Wenting003

結構、注目されてるアーティストみたいだが。
(写真は全てWebから)。







はちどり

House of Hummingbird001

벌새、House of Hummingbird
韓国
2018

キム・ボラ監督・脚本・製作

パク・ジフ、、、キム・ウニ(女子中学生)
キム・セビョク、、、キム・ヨンジ(尊敬する塾の先生)
チョン・インギ、、、ウニの父親 
イ・スンヨン、、、ウニの母親
パク・スヨン、、、キム・スヒ(ウニの姉)
ソン・サンヨン、、、キム・デフン(ウニの兄)
パク・ソユン、、、チョン・ジスク(ウニの親友)
チョン・ユンソ、、、キム・ジワン(ウニのボーイフレンド)
ソル・ヘイン、、、ペ・ユリ(ウニの後輩)
ヒョン・ヨンソン、、、ウニの叔父
キル・ヘヨン、、、ヨンジの母親
パク・ユニ、、、担任の教師


最も小さな鳥
ホバリングして蜜を食べる
歩けないが、かろうじて枝にとまることは出来る。「はちどり」とは、、、

House of Hummingbird002

1994の韓国が舞台
鍵っ子である事は分かるが、最初の家のベルを鳴らしても一向にドアが開かずに、ウニが鬼気迫る状況に陥るこのシーンがどこに繋がるのか、分からなかった。
わたしも鍵っ子を長くやっていた。それ自体は気楽で良かったが。

中2のヒロインのウニは勉強は苦手そう。
だが、一丁前に彼氏キム・ジワンがいる。
兄弟は3人。皆塾通いだが、長女はほとんどサボっている。

皆ポケベルを持っているが、然程役には立っていない。確かに情報は限られるな。
姉のスヒは普通に不良。
兄は恒常的に暴力をウニに振るう習慣となっている。半ば無意識ですらある。(差別や暴力は兎角そういうもの)。
両親はギクシャクしているが、離婚に踏み切るまでの気持ちはない。父親は定期的にダンスクラブに通っているようだ。それが母は気に障る。
両親共に店の仕事が忙しく子供、特にウニには、充分な手が届いていない。ウニは兄に殴られても彼女のせいにされ割を食う。
しかし両親とも何かあれば、心配はする素朴で優しい気持ちは持ち合わせている。ただし俗物であり、世間体を凄く気にしており、親の期待からズレることを恐れ、横暴で思慮がない。
家は餅屋であり、注文が多い時は家族総出で手伝う。

House of Hummingbird006

ウニ(たち)は、教師には裏でしこたま口汚く罵っているのに、やけに親には礼儀正しい。韓国特有のものなのか、ここがぎこちなく感じ、最初、親は再婚で兄弟も血が違う家族なのかと思っていた。兄がウニだけ殴りすぎる事もあり。

母スクチャを夜遅く尋ねて来た彼女の兄~叔父。彼は自分の進学の為、優秀な妹に大学を諦めさせた事を深く気に病んで来たようで、その事だけを告げて帰る。数日後、彼は亡くなる。遺言を残すつもりで訪ねたのか。

全体に死の匂いが立ち込めている。生の危うさが所々に潜む。
そう、少女の些細な危うい感情の揺れが微分的に描かれてゆく。
ウニは耳の裏側に何かシコリを感じる。気になって仕方がない。
母が億劫そうにそれを確認して医者を紹介する。
切り取る必要があるが、大病院で厳密な検査が必要であり、入院する必要もあった。
親は忙しい中、しっかり手配と手続きはしてくれた。うちよりはマシだ。

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しかし、彼女の生きにくさ~疎外感は何処までも付き纏う。病院のほうが気が楽のような事を言っていたが。
学校でも担任が生徒相互で不良生徒を特定するアンケートを取ったり、カラオケには行きませんを、大声で全員に唱和させたり、いくらなんでも常軌を逸している。
そして彼女も自分を持っていない。流されやすい。友人に万引きしようと持ちかけられ直ぐに応じてしまう。
お陰で店主に捕まって、友人に自分の家までバラされる。裏切りと家での信頼を更に失い、落ち込むことに。

ウニは彼氏とキスを試してみたり、後輩の女子から言い寄られカラオケに行ったり、タバコを吸ったりディスコで踊ってみたり、姉の素行の悪さから発展した激しい夫婦喧嘩に怯えたり、兄は相変わらず暴力を振るい、彼氏は肝心な時には連絡が取れず、シコリについても何も感じ取れないお見舞いにも来ない鈍感で頼りにならない男だった。
閉塞感と理不尽と喪失感、そして無理解から来る孤独、それらが重なるようにひしひしと伝わって来る。
そう、ここにある生きにくさは、何より移ろいやすく確かなものは何処にも無い、深い喪失感に根ざすものだ。
あの熱く自分に対して愛情を訴えて来た後輩のぺ・ユイですら学期が変わったらと直ぐに去っていく。ここはわたしも強い違和感を覚えた。彼氏の方はダメ押しをするように彼の母から差別的な言葉と共に交際を断たれる。

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そんな日常の中で塾の先生の交代が彼女に転機を齎す。
ソウル大学を休学中のキム・ユンジ先生は、他の人間とは、明らかに違った。
自分の価値観を押し付けない。まず相手を受け入れ、話を聴く。
そして自分を飾らず晒して見せる事ができる大人だ。落ち着いた静かな受容性に安心できる。
ウニにとり、唯一の信頼のおける尊敬できる人になった。

病院にお見舞いに来た際、これもまた遺言のように、先生はウニに対しあらゆる暴力に対し抗うように伝える。
殴られる人になってはいけないと。彼女が初めてウニに自分の強い主張を伝えた時だ。
二人は指切りをするが、また当然逢うと思っていたユンジ先生と語りあうのは、これが最後となる。
入院中にキム・イルソンが、亡くなったニュースが、流れる。
全ては移ろい行く、、、。

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この映画の本質は確かなものは何も無い、移ろいと喪失である。
ユンジ先生からウニのもとに小包が届く。中身はウニが貸した本と先生からのプレゼントのスケッチブックだった。
それが届いた翌日、お礼と手紙を携え家を訪ねる。
だが先生の母が涙ながらに彼女を出迎えるだけだった。娘はもういないと。

先日、姉が時間を遅れずにバスに乗っていれば、他の多くの生徒と共に犠牲となったはずの大橋の崩落による悲惨な大事故にユンジ先生が巻き込まれたのだった。絶句である。
姉は持ち前のだらしなさから助かったのだ。
兄は、無事であった妹に対する極度の心配と安堵の感情の高まりからか、その夜の食事に大号泣する。

ウニは、これからどうするのか?こちらが心配になるが、、、
深夜、兄の運転で姉と一緒に、その橋の無惨な姿を見に行く。
彼ら三兄弟にとり、大きな意味を持つ橋の姿であった。
ウニにとっては墓碑でもあろうか。
彼女の意外と冷静で何をか悟ったような表情が印象に残る。

House of Hummingbird007

そして中3を迎えた新学期のキラキラした学校の明るい光景。
その中のウニの姿、表情で終わる。
先生が手紙に残した最後の言葉、、、、
「世界は不思議で美しい」

そんな気がして来る、、、




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