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GOMA28

Author:GOMA28
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戦場のピアニスト

The Pianist001

The Pianist
2002年
フランス、ドイツ、ポーランド、イギリス

ロマン・ポランスキー監督・脚本・製作
ウワディスワフ・シュピルマン原作
ロナルド・ハーウッド脚本

エイドリアン・ブロディ、、、ウワディスワフ・シュピルマン~ウェイディク(ピアニスト)
トーマス・クレッチマン、、、ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉
エミリア・フォックス、、、ドロタ(ユーレクの妹、チェロ奏者)
ミハウ・ジェブロフスキー、、、ユーレク(ウェイディクの親友)
エド・ストッパード、、、ヘンリク(ウェイディクの弟)
ルース・プラット、、、ヤニナ(旧知の歌手)
ダニエル・カルタジローン、、、マヨレク
ロナン・ヴィバート、、、アンジェイ(ヤニナの夫)
ヴァレンタイン・ペルカ、、、ミルカ(ドロタの夫)
ロイ・スマイルズ、、、イーツァク・ヘラー(ユダヤ人ゲットー警察署長)


ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記を元に描いた重厚な作品。
トーマス・クレッチマンのピーター特派員を演じる15年前のヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉が凛々しい。
実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンという人には大変興味深いものがある。
(勿論、ショパンをホントにここまで弾きこなすエイドリアン・ブロディは凄い、、、代役なしである)。
ロマン・ポランスキー監督もかつてゲットーにいた人であるという。
そうでなければ描けない実体験のディテールを随所に感じる。

The Pianist004

第二次世界大戦におけるワルシャワを舞台とした映画。
ユダヤ人迫害の凄まじさを淡々と見せつけられる。
彼らは、ユダヤ人専用の居住区(ゲットー)に強制移住させられ、ダビデの星の腕章を腕に付けることを義務付けられた。
突然、兵がアパートの一室へ雪崩れ込んだかと思うと、車椅子の老人をベランダから突き落とし、路上に出した他の家族を走らせ狩りのように銃で撃ち殺してゆく。そんな光景を他の家族は窓越しに観る(この老人や体の不自由な人を窓から突き落とすような行為は、ファシストは決して行わない。ナチズムとファシズムの決定的な違いである)。

この頃、フランスとイギリスの宣戦布告を知り、楽観的になるユダヤ人も少なくなかったようだが、逆に厳しさは増すばかりであった。
就労証明書のない者は強制収容所送りという噂が立ち、ウェイディクが何とか家族全員分の証明書を揃えたのも束の間、全員が収容所に連れて行かれてしまう。ウェイディクだけは、ヘラーにその隊列から掴みだされ命は助かる。
この時期には、ごく普通にユダヤ人の銃殺されてゆく光景が街角で日常化してゆく。
散歩の途中といったノリで、ランダムに選んだ老人たちを舗道に俯せにさせ、パンパンと撃ち殺してゆく様は、余りにあっけらかんとして乾ききっている。ドイツ人にとってユダヤ人とはこれほどまでに単純な記号に過ぎなかったか。
(ユダヤ人にも、何か麻痺した極限状態の姿を覚える)。

The Pianist006

ゲットー内に残り、強制労働に就いていたウェイディクは、ユダヤ人が武装蜂起を計画している事を知り、彼らに協力するが実際に蜂起する前にそこから伝手を頼って出てゆく。出てゆくとき「出るのは簡単だが、生き残るのは困難だ」と謂われるが、まさにその通りであった、、、。
ゲットーに残って蜂起したユダヤ人もほぼ全滅する。結局50万いたユダヤ人で残ったのは20人であったという。
旧知のヤニナに頼みこみアパートに匿ってもらうが、大きな(皿を割る)音を出してしまい隣人に怪しまれそこからも脱走することに。
この辺から非常に厳しい逃亡生活が始まる。
アンジェイから渡された緊急用の住所に行くと、そこはかつて恋心を抱ていたドロタのアパートであった。
(ここでは安全の為、外から鍵をかけられ一人残されるも、2週間ほっぽらかしを喰らい栄養失調で死にかける)。
彼女の夫ミルカからもよくしてもらうが、結局子供を安全なところで産むために彼を残し夫妻はそこを去って行く。

The Pianist002

ワルシャワ蜂起が起こると、ウェイディクが隠れ潜んでいたアパートも全て無残に焼き払われる。
この死に絶えたワルシャワ一帯の光景はデビッドボウイの「ワルシャワ」を呼び覚ました。
(ボウイの「ワルシャワ」がこの空間に流されてもよかったかも知れない)。
そして廃墟の中を彷徨い、漸くある家で缶詰を見つける。
その缶がなかなか開けられない。
うっかり下に落としてしまったところを、その家を拠点として使っているドイツ軍のヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉に見つかってしまう。

The Pianist003

主人公の好みであろうが、いくちゃんの好きなショパンが沢山演奏されていた。
ノクターンが何曲か、、、。「華麗なる円舞曲」もあった。
と謂うより、ウェイディク~エイドリアン・ブロディが弾く曲はみなショパンではなかったか。
特に「バラード第1番」は圧巻であった。
ホーゼンフェルト陸軍大尉に弾いて聴かせたものだ。これで彼は命拾いする。食料ももらう。缶切りまでも。
これほどの”芸は身を助く”はあるまい。弾けなかったら銃殺であろう。
映画で流れるのは、わたしが普段聴かない重厚な難曲ものばかりであったが、聴いてみるとやはり聴き入ってしまう。
(これから意識的に聴いてみようかと思う。LPしかないのだが)。

屋根裏部屋にウェイディクが身を隠している時に、どこからか流れて来たベートーベンの「 月光 (ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調)」はホーゼンフェルト陸軍大尉が弾いていたのだ。廃墟の夜に密かに響き渡る、夢か現か判然としないめくるめく音色。
(ショパン以外では他には、ドロタが弾いていたバッハの「無伴奏チェロ組曲」であり、ともにウェイディクが耳を凝らして聴く曲である~弾くのではなく)。
ホーゼンフェルト自身がピアノの素養を持っていた為、ウェイディクはピアノで救われたのだ。
いや、純粋に音楽~芸術の力でここは、人のこころを癒したと言うべきか。
(それは確かに言える。イタリアで日本のバイオリン奏者が屋上からコロナ医療に携わる人々に向けた演奏は率直に凄いパワーを感じた)。
それにしてもやはりそれを受け取れる人に恵まれた部分は大きいと言わざるを得ない。
とても運の強い人だ。
何度、こんな風に絶体絶命のピンチを運よく切り抜けて来たことか、、、。

The Pianist005

ユダヤ人ゲットー警察署長ヘラーにアウシュビッツ行きの列車に乗せられる寸前に助けられたところから、強運だと思ったが。
タイミングよくその場を抜け出していたり、銃殺されてもおかしくないところで、何故か救われている。

ソ連軍の侵攻に押され劣勢になったドイツ軍は退却をはじめ、ホーゼンフェルト陸軍大尉は残りの食料とコートをウェイディクに与えて廃墟から立ち去る。

ポーランド国歌を鳴らして走る車を見て思わず歓び勇んで飛び出すが、そのコートからドイツ兵と間違えられ誤射される。
漸くポーランド人と認められこれまた危うく助かる。
ホーゼンフェルトはソ連軍に捕まり戦犯捕虜収容所でその後、直ぐに亡くなってしまったという。
最後は、ウワディスワフ・シュピルマンの「華麗なる大ポロネーズ」を幸せそうに弾いている姿でエンディング。


ショパンが沢山聴けた死に塗れた映画であった。
また見たいとは思わぬが、大変な力作であることは間違いない。












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COMMENT

私も昔に観た事があるのですが

代役なしで実際に弾かれてたんですね??初めて知りました…!
監督自身も体験者だったとは。あれはリアリティあふれる映画だったんですね。
細かい部分はいつものごとく忘れてますが(汗)、物憂げで不安げな表情の主人公の俳優さんも他の役者さんもとても適役で、何の違和感もなく入り込んで観れた映画でした。
あの時自分を救ってくれた恩人の敵方主将が、数日後には捕虜となって精彩さを欠いたぼろぼろの状態で金網の向こうに座っている姿を偶然目の当たりにしてしまったシーンはとても印象的です。どんな思いでその場に立ち尽くしていたんだろう。

ありがとうございます

何故か夏バテ(早い)気味で、昨日から1日半ばかり寝てしまいました(笑。

>監督自身も体験者だった
どこかであの体験としっかり向き合う必要があると考えていたそうですが、自らの体験そのものはどうにも対象化は出来ない為、自分と異なるゲットーでの体験者の物語を取り上げたそうです。
分かります。その方が作品化し易い。監督にとって特別重要な作品となったはずです。
わたしも、向き合わなければならない(自分としては)大きな問題を抱えていますが、まだその準備中です。

ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉に逢ったのは、シュピルマンの友人の音楽家でしたね。
その音楽家に「わたしはシュピルマンを助けた者だ。彼にわたしを助けてくれるように伝えてくれ」と願いますが、彼は直ぐに送られて行ってしまいました。大尉はきっとコンサートホールでもう一度、、シュピルマンのショパンを聴きたかったのだと思います。
友人から大尉のことを聞かされたシュピルマンには、すでに痕跡も残っていないその場に佇み、もう戻ることのない全ての想いを噛みしめたことでしょう、、、。
全て権力による暴力が齎したものです。

このような暴力は今も至る所に潜んでいます。
油断なりません。
お互いに注意してゆきましょう。

また宜しくお願いします。

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